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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

アベノミクスと安全

      2015/05/30

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平成26年11月21日に、安部首相により、衆院は解散しました。
この解散により、12月14日に選挙となります。

解散するかもという話題が上がってから、ほんの1週間程度の内に現実にいたった解散でした。

今回の選挙の大義は、「消費税10%アップ延期の是非」とのことです。
民主党野田政権時の三党合意により、平成26年4月に消費税を8%に増税、さらに平成27年10月に10%まで増税すると決定していました。

しかし、4月の消費増税後の消費が冷え込み、思った以上に景気にダメージを与えてしまいました。
こんな状態なのに、さらに増税してしまうと、さらに冷え込んでしまう。
だから法律で決まっているけれども、この法律を覆し、1年半増税を延期したいというものです。

さらには、民主党政権から自民安倍政権に替わってから、特にアベノミクスの審判が争点になるでしょう。

この辺りは各報道で言われているかと思いますので、各人が判断して投票し、意思を示せば良い話だと思います。

今回は、安倍政権になってからの経済政策「アベノミクス」と安全について。
とはいえ、外交の安全保障には、触れません。
アベノミクスでもたらされたデフレ脱却政策が、安全管理に対してどのような影響があるのかについて。

安倍政権が発足してから、冷え込んでいた景気がにわかに活気ついた感があります。
80円台だった円が、日に日に安くなり、100円を突破するのに時間はさほどかかかりませんでした。
アベノミクスが功を奏し、何となくですが、これから良くなっていくんじゃないかという雰囲気が生まれてきた記憶があります。
麻生財相が、景気の「気」は、気分の「気」と言われていましたが、まさにそんな気が合ったように思います。

各業種においても、まだまだ大企業が中心であるとはいえ、活気付き、上向きになってきたとの報道も目にします。とはいえ、一部を除き給与に反映していると感じるまでには至っていないのも確かなのですけども。

活気付いているのを感じるのは、受注量が増えるなどの、仕事の忙しさでしょう。
不景気の中で、人員削減した所に、仕事が増えてくるのですから、てんてこ舞いです。

私が所属する建設業でも、特に昨年度は、補正予算で、公共工事が増えてきたので、一気に仕事が増えました。
それと同時に、人手不足が叫ばれているのを耳にします。

足りないのは技術者の数。
さらには作業者の数。

東日本大震災の復興工事では、入札業者の技術者不足により、不調となる案件も少なくないとか。

仕事が一気に増え、手が足りない、手が回らない、多忙を極めている状態のようです。
では、この仕事が激増した状況下では、安全管理はどうなるのでしょうか。

仕事をとにかくこなさなければならないとなると、安全管理は後回しになる傾向にあるように思います。
とにかく期限までに仕事を終わらせることは、絶対条件です。
中小企業であれば、現場監督ならともかく、1人で複数の現場に入ることも多いでしょう。
今日の仕事を、とにかくやり切るのですから、他のことに頭は回りきりません。

優先順位は、効率>品質>安全の順でしょう。

では、安全の優先順位が下がったから、事故が増えたかというと、そんなことはありません。
死亡者数は24年と比較して、約60人25年は減少しました。休業が4日以上の死傷事故もやや減少に転じています。
多忙ではあったものの、同時に安全管理もしっかりされたことによる効果だと思います。

タイトルで、アベノミクスと安全についてしていますが、統計を見ると、直接的な関連性はあまりないのかもしれません。

しかし、アベノミクスにより、見えてきた課題はあります。


何より人手不足は相変わらずです。
人が減り、一人あたりの分担作業量が増えると、細かなところまで配慮できなくなります。
細かなことには、安全管理が含まれます。
仮に人を増やした場合は、安全教育が十分でなければ、事故につながるでしょう。

また外国人就労者を増やそうなどという案もありますが、その場合の安全管理は、しっかり対策をしないといけないでしょう。

安全管理はとても重要な事です。
しかし、直接売上に関わらないので、評価しにくいものでもあります。
品質の向上は、売上に影響を与えます。
安全や衛生のの向上は、売上に貢献しません。むしろ作業効率を悪くし、生産性を下げることさえあります。
もちろん製造業では、衛生管理は品質に関わるので重要ですけども。

安全管理とは、余裕がなければ手が回らないものではないでしょうか。

車を運転していて、約束の時間に遅れそうな時、スピードを出し過ぎそうにならないでしょうか?
信号が黄色だけども、そのまま突っ込んだりしないでしょうか?

焦り、余裕を失うと、普段とは違う行動を行いがちです。

仕事であれば、締切間近であれば、焦ってイライラしたりすることもありませんか?

そんな状態で、保護具を着用したり、指差呼称したりなどできるでしょうか?
私はやる自信がありません。省略することもあります。

心理面だけでなく、締切が迫ると、残業もあるでしょう。
工場の必要な場所以外の照明は落ちた状態での仕事。
建設業の作業現場で日が落ちてからの仕事。
暗い場所では、周辺の確認ができなくなるので、事故が起こりやすくなりますよね。

人手不足は、時間不足になり、事故を起こしやすい環境を作ってしまいがちです。

事業者や安全管理者は、このような状態でもいかに安全に仕事を行ってもらうかが重要です。

明治維新後、富国強兵、戦争、その後の高度経済成長。
多忙の中で、経済成長をしてきました。
勢いよく成長している時は、とにかく経済が一番でしょう。
安全衛生は、二の次、三の次です。
そのため、労働災害は非常に多く、統計上の数字でしか表れない死傷者多数いました。

今の経済成長著しい国を見てみると、これは納得のいくことではないでしょうか。
中国の北京は、数十年前の四日市をよりひどくしたようなものです。
首都の大気でさえ、あのような状態なのですから、おそらく労災事故も少なくないでしょう。

経済成長が落ち着き、余裕が出てくると、経済以外に視点が移ります。
その1つが人命であり、健康であり、安全、衛生です。

ビルの建設工事をしていて、落下した人がたくさんいたのでしょう。
今は作業床を設け、墜落防止ネット着け、ヘルメットを被り、安全帯を着用することが法律で規定されています。

昔は得体のしれない添加物が入ったお菓子などはたくさんあったらしいと耳にするのですが、今は産地が違うだけで大問題です。

息苦しいほどに、厳しい社会です。

安衛法とその関連令則の条文は、追加追加されるものです。
何かしらの労災があり、その労災を防ぐための条文を制定していったのです。
墜落事故があれば、それを防ぐ条文を。
フォークリフトで事故があれば、それを防ぐ条文を。
過大な表現をすると、条文1つ1つに、人命が込められているとも言えます。

今後アベノミクスが金融や大企業だけでなく、中小にまで経済効果をもたらすことは期待しています。
その政策により、活気付き、多忙になると、給与が増え、従業員も増えていってほしいものです。
雇用拡大が政策課題なのですから、ぜひともそうあって欲しいものです。

雇用が増えた時に、忘れてはならないのが、安全と衛生対策です。
技術者の数もすぐには増やせないので、仕事が増えると一人あたりの負担ばかりが増えるかもしれません。
そうなると安全や衛生については意識が向かなくなるのも仕方がありません。

理想的なのは、分担することです。
しかしそうも言ってられないので、できるだけルーチンにしてしまい、考えず意識の外に飛ばしていても実行する安全対策を確立するのも一つの手でしょう。

毎日の安全管理については、チェックリストで管理すると、やるべきことを覚えておかず、何をしようかという迷いも省略できるのではないでしょうか。

忙しくなって、給与が増えてきたとしても、あなたが事故にあっては意味がありません。
アベノミクスの最終的な恩恵は、国民一人一人に至る経済成長なのでしたら、怪我なく健康で受けないとですよね。

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