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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

安全に荷役運搬機械を使用するための措置

      2015/11/13

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機械にはそれぞれ役割がありますが、何よりも社会に恩恵を与えている機能は、「運ぶ」ことではないでしょうか。

人を運ぶ自動車、電車、飛行機。
荷物を運ぶ貨物車、トラック、貨物船。
荷物を吊り上げて運ぶクレーン、デリック。
コンクリートを運ぶ、ミキサー車などなど。

機械は、ありとあらゆる運ぶ役割を持っています。

運ぶ機械の中で、倉庫や工場など、ある一定の範囲で活躍するものは、まとめて荷役運搬機械といいます。
荷役運搬機械の代表は、何と言ってもフォークリフトです。
業種や屋内屋外などの制限なく、ありとあらゆる場所で使用されています。

ありとあらゆる場面で大活躍する荷役運搬機械ですが、その分事故も多いのです。
使う機会が多くなれば、その度に事故の可能性があるのです。
便利さは、一方では危険とも隣り合わせなのです。

安衛則には、荷役運搬機械の規定はなく、後から丸ごと追加されたものです。
荷役運搬機械の条文は、安衛則第151条の2から始まります。
第152条は、車両系建設機械になるので、追加するには「第151条の2」枝番の条文にする必要があったのでしょう。
荷役運搬機会に関する条文の数は、83まであります。この番号の前には、全て「第151条の」とつきます。
これで、後から丸ごと追加されたのだと分かりますね。

これだけの条文追加の背景は、荷役運搬機械の事故が多くなり、規定を定める必要があったからでしょう。

それでは、荷役運搬機械の規定について見て行きたいと思います。

【安衛則】

第1章の2 荷役運搬機械等

第1節 車両系荷役運搬機械等

第1款 総則

(定義)
第151条の2
この省令において車両系荷役運搬機械等とは、次の各号のいずれかに
該当するものをいう。

  1)フォークリフト

  2)ショベルローダー

  3)フォークローダー

  4)ストラドルキャリヤー

  5)不整地運搬車

  6)構内運搬車(専ら荷を運搬する構造の自動車
  (長さが4.7メートル以下、幅が1.7メートル以下、
   高さが2.0メートル以下のものに限る。)のうち、
   最高速度が毎時15キロメートル以下のもの
  (前号に該当するものを除く。)をいう。)

  7)貨物自動車(専ら荷を運搬する構造の自動車
  (前2号に該当するものを除く。)をいう。)

まずは、荷役運搬機械には何を指すのかという、定義です。
代表は、フォークリフトです。
ショベルローダーは、フォークローダーは、屋外で使用することを目的とした運搬機械です。
ストラドルキャリアは、港湾などでコンテナの持ち運びに使わたりします。
不整地運搬車は、土木作業などで、悪路でも土や木を運ぶことができます。
あまり馴染みがないものもあるかもしれませんが、大量の物資を短距離移動させるために、大活躍する機械です。

構内運搬車や貨物自動車は、いわばコンテナ車などですから、イメージしやすいのではと思います。

フォークリフトショベルローダー
フォークリフトショベルローダー
フォークローダー不整地運搬車
フォークローダー不整地運搬車
ストラドルキャリヤ 
ストラドルキャリヤ 

さて、こんなものが荷役運搬機械に含まれるんだなということを前提にして、安全に荷役作業を行うための規定を見て行きたいと思います。

(作業計画)
第151条の3
事業者は、車両系荷役運搬機械等を用いて作業
(不整地運搬車又は貨物自動車を用いて行う道路上の
走行の作業を除く。以下第151条の7までにおいて同じ。)を
行うときは、あらかじめ、当該作業に係る場所の広さ
及び地形、当該車両系荷役運搬機械等の種類及び能力、
荷の種類及び形状等に適応する作業計画を定め、
かつ、当該作業計画により作業を行わなければならない。

2 前項の作業計画は、当該車両系荷役運搬機械等の
  運行経路及び当該車両系荷役運搬機械等による作業の
  方法が示されているものでなければならない。

3 事業者は、第1項の作業計画を定めたときは、前項の
  規定により示される事項について関係労働者に
  周知させなければならない。
(作業指揮者)
第151条の4
事業者は、車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、
当該作業の指揮者を定め、その者に前条第1項の作業計画に
基づき作業の指揮を行わせなければならない。
(制限速度)
第151条の5
事業者は、車両系荷役運搬機械等(最高速度が
毎時10キロメートル以下のものを除く。)を用いて作業を
行うときは、あらかじめ、当該作業に係る場所の地形、地盤の
状態等に応じた車両系荷役運搬機械等の適正な制限速度を定め、
それにより作業を行わなければならない。

2 前項の車両系荷役運搬機械等の運転者は、同項の制限速度を
  超えて車両系荷役運搬機械等を運転してはならない。

荷役運搬機械共通の規定が事細かにまとめられています。
これ以降、各機械についての規定も続いていくのですが、似通っている内容が続きます。

まず、荷役運搬機械を作業するためには、調査が必要です。
機械の種類や能力、そして何よりどのような場所で、どのような作業を行うのかということをしっかり調べなければなりません。
その調査結果を踏まえ、作業計画を作成しなければなりません。
作業計画には、きちんと機械の運行経路や作業方法を含まなければならないのです。


作業計画を作成したら、作業者にきちんと伝え、計画に則った方法で作業するよう徹底します。
そして作業時には、作業指揮者を指名して、指揮をさせることが求められます。


また、作業計画と合わせて制限速度を定める必要があります。
制限速度は作業場などの条件を考慮し、決定します。
ただし、もともと時速10キロ以下でしか走れない機械は、特に制限速度を定める必要ありません。

この作業計画や作業指揮者について、実際どれほど徹底されているのでしょうか。
作業計画とかならばともかく、ちょっとフォークリストを使うのに、作業指揮者が指揮をする。
なかなか、難しいというのも現実かと思います。
特に少人数の事業所であれば、そのための人員配置は現実的ではありません。

実際の作業と照らしあわせて、規定に叶うようにするのが理想ですが、課題があることですね。

作業前の取り決めの次は、作業時の規定です。

(転落等の防止)
第151条の6
事業者は、車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、
車両系荷役運搬機械等の転倒又は転落による労働者の危険を
防止するため、当該車両系荷役運搬機械等の運行経路について
必要な幅員を保持すること、地盤の不同沈下を防止すること、
路肩の崩壊を防止すること等必要な措置を講じなければならない。

2 事業者は、路肩、傾斜地等で車両系荷役運搬機械等を
  用いて作業を行う場合において、当該車両系荷役運搬機械等の
  転倒又は転落により労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、
  誘導者を配置し、その者に当該車両系荷役運搬機械等を
  誘導させなければならない。

3 前項の車両系荷役運搬機械等の運転者は、同項の誘導者が
  行う誘導に従わなければならない。
(接触の防止)
第151条の7
事業者は、車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、
運転中の車両系荷役運搬機械等又はその荷に接触することにより
労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に労働者を
立ち入らせてはならない。
ただし、誘導者を配置し、その者に当該車両系荷役運搬機械等を
誘導させるときは、この限りでない。

2 前項の車両系荷役運搬機械等の運転者は、同項ただし書
  の誘導者が行う誘導に従わなければならない。
(合図)
第151条の8
事業者は、車両系荷役運搬機械等について誘導者を置くときは、
一定の合図を定め、誘導者に当該合図を行わせなければならない。

2 前項の車両系荷役運搬機械等の運転者は、同項の合図に
  従わなければならない。
(立入禁止)
第151条の9
事業者は、車両系荷役運搬機械等(構造上、フォーク、
ショベル、アーム等が不意に降下することを防止する
装置が組み込まれているものを除く。)については、
そのフォーク、ショベル、アーム等又はこれらにより
支持されている荷の下に労働者を立ち入らせてはならない。
ただし、修理、点検等の作業を行う場合において、フォーク、
ショベル、アーム等が不意に降下することによる労働者の
危険を防止するため、当該作業に従事する労働者に安全支柱、
安全ブロック等を使用させるときは、この限りでない。

2 前項ただし書の作業を行う労働者は、同項ただし書の安全支柱、
  安全ブロック等を使用しなければならない。
(荷の積載)
第151条の10
事業者は、車両系荷役運搬機械等に荷を積載するときは、
次に定めるところによらなければならない。

  1)偏荷重が生じないように積載すること。

  2)不整地運搬車、構内運搬車又は貨物自動車にあっては、
   荷崩れ又は荷の落下による労働者の危険を防止するため、
   荷にロープ又はシートを掛ける等必要な措置を講ずること。
(運転位置から離れる場合の措置)
第151条の11
事業者は、車両系荷役運搬機械等の運転者が運転位置から
離れるときは、当該運転者に次の措置を講じさせなければならない。

  1)フォーク、ショベル等の荷役装置を最低降下位置に置くこと。

  2)原動機を止め、かつ、停止の状態を保持するための
   ブレーキを確実にかける等の車両系荷役運搬機械等の
   逸走を防止する措置を講ずること。

2 前項の運転者は、車両系荷役運搬機械等の運転位置から
  離れるときは、同項各号に掲げる措置を講じなければならない。
(車両系荷役運搬機械等の移送)
第151条の12
事業者は、車両系荷役運搬機械等を移送するため自走
又はけん引により貨物自動車に積卸しを行う場合において、
道板、盛土等を使用するときは、当該車両系荷役運搬機械等の
転倒、転落等による危険を防止するため、次に定めるところに
よらなければならない。

  1)積卸しは、平たんで堅固な場所において行うこと。

  2)道板を使用するときは、十分な長さ、幅及び強度を
   有する道板を用い、適当なこう配で確実に取り付けること。

  3)盛土、仮設台等を使用するときは、十分な幅及び強度
   並びに適当なこう配を確保すること。
(搭乗の制限)
第151条の13
事業者は、車両系荷役運搬機械等(不整地運搬車
及び貨物自動車を除く。)を用いて作業を行うときは、
乗車席以外の箇所に労働者を乗せてはならない。
ただし、墜落による労働者の危険を防止するための措置を
講じたときは、この限りでない。
(主たる用途以外の使用の制限)
第151条の14
事業者は、車両系荷役運搬機械等を荷のつり上げ、
労働者の昇降等当該車両系荷役運搬機械等の主たる用途以外の
用途に使用してはならない。ただし、労働者に危険を及ぼす
おそれのないときは、この限りでない。
(修理等)
第151条の15
事業者は、車両系荷役運搬機械等の修理又はアタッチメントの
装着若しくは取外しの作業を行うときは、当該作業を指揮する者を
定め、その者に次の事項を行わせなければならない。

  1)作業手順を決定し、作業を直接指揮すること。

  2)第151条の9第1項ただし書に規定する安全支柱、
   安全ブロック等の使用状況を監視すること。

車両系建設機械とも共通しますが、屋外でデコボコした悪路を走る場合、坂道を走る場合などでは、転倒しないような措置をとります。
運行経路は、走れるだけの幅員、つまり道幅を確保すること、不同沈下といって、同じ道ばかり走ってデコボコにしないこと、路肩の崩壊することは注意します。

そして転倒する恐れのある場合は、誘導者に誘導させるようにします。

フォークリフトなどは、車体の前方のフォークで荷物を支えます。
そのため坂を登り降りには、注意が必要です。
坂を登るときは、前進でよいのですが、問題は坂を下る時です。
前方に荷物があるのですから、重心は前方にありますね。

前方に重心があるのに、前のめりで坂を下ったら、どうなるでしょうか。
当然ですが、荷物が滑り落ちてしまいます。
さらには、機械そのものが前に転がってしまうかもしれません。
そのため、坂を下る場合は、後進しなければなりません。

当然ですが、機械が動いている付近は、作業者は立ち入ってはいけません。
運転者も機械周辺で作業している人も、お互いに注意しましょう。

見通しが悪い場所では、誘導者を配置することもあると思います。
誘導者を配置する場合は、あらかじめ合図を決めておく必要があります。


フォークリフトやその他の機械は、フォークやバケットに荷物を載せ、上げ下げすることができます。
荷物を上に上げている時に、荷の下に人が入ってはいけません。
機械ですから不意に故障することはあります。
もし荷の下に人がいるときに、故障して、荷が落下したら。
大変な事故になるのは想像できますよね。
そのため、荷の下は立入禁止にしなければなりません。

ただし、どうしても修理などで、フォークの下に入り込む必要がある場合は、安全ブロックなどの支え棒を置いて、落下防止対策を行わなければなりません。

荷役運搬機械は荷物を載せて運ぶのが使命です。
荷物を安全に運ぶためには、きちんと載せなければなりませんね。
荷物の重心が片方に寄っていたり、雑な載せ方をしていたら、運搬途中で荷物が落ちるかもしれません。
必ず、きちんと載せましょう。


また道路上で、荷物を載せて運ぶ場合は、落下したり、飛んでいかないようにシートで覆いをかけるのも大切ですね。

荷役運搬機械を運転していて、席から離れる場合は、フォークやショベルなどは最下部にして、ブレーキを掛けて、エンジンも切りましょう。
確実に鍵を取るとより確実ですね。

フォークリフトを始めとする荷役運搬機械は、資格がなければ運転できません。
資格を持っていない人が運転しないようにするためにも、鍵の管理はしっかり行わなければなりません。

ショベルローダーやフォークローダーなどは、畜産林業や建設業など、あちこちの現場に運び使用することがあります。

車検を受けているのであれば、道路を自走して行けますが、そうでない場合はトレーラーなどで運ぶ必要があります。
トレーラーなどで運んだ場合、荷台からの上げ下ろしの際に、転倒する恐れがあります。
この転倒を防止するためには、平坦な場所で荷の上げ下ろしすること、地面と荷台をつなぐ踏み掛け板は丈夫なものとします。

荷役運搬機械には運転席があります。
原則として運転席以外の場所に乗ってはいけません。
ヘッドガードの上に乗る、運転席から見をはみ出しながら乗るなどは、やめましょう。

またフォークの上に載せて運ぶなどの、主たる用途以外の使い方も、やめましょう。
これは主たる用途以外の使い方になります。
人を載せる以外にも、荷物を吊るのもやめましょう。
ただし、人に危害を加えるおそれがない場合は、除かれます。
とはいえ、なるべく避けるほうがよさそうです。

機械ですので、故障したりすることがあります。
またショベルローダーのバケットをフォークに替えるなどのアタッチメント交換も、場合によってはあります。
修理や改造を行う場合は、指揮者を定めて、指揮させましょう。

各条文は、車両系建設機械の規定と共通したものが多いことに気づきます。
機械の使用なので、気をつける点は似通うのでしょう。

一方では、荷物を載せて運ぶ特性があるので、その特性に合わなければなりません。

フォークリフト等は、倉庫などでは、無くてはならない機械でしょう。
その点、非常に身近な機械であると言えます。

事故は使用する度に、起こる可能性があります。
使用する機械が多ければ、それだけ事故に遭う確率も高くなると言えます。
フォークリフトの事故も少なくありません。

個々の荷役運搬機械については、また機械を改めてまとめていきます。

まとめ。

【安衛則】

第151条の2
車両系荷役運搬機械の種類について。
第151条の3
車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、あらかじめ作業場所を調査し、作業計画を作成し、作業すること。
第151条の4
車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、作業の指揮者を定めて、指揮させなければならない。
第151条の5
車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、適正な制限速度を定めなければならない。
第151条の6
車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、転倒や転落を防止する措置をとらなけばならない。
第151条の7
車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うとき、接触するおそれのある場合は、誘導者を指名し、誘導させる。
第151条の8
車両系荷役運搬機械等について誘導者を置くときは、一定の合図を定めなければならない。
第151条の9
車両系荷役運搬機械等のフォークなどに載せている、荷の下に労働者を立ち入らせてはならない。 修理などで、立ち入る場合は、安全ブロックなどを使用する。
第151条の10
車両系荷役運搬機械等に荷を積載するときは、落下しないようにすること。
第151条の11
車両系荷役運搬機械等の運転者が運転位置から離れるときは、逸走防止の措置をとらなければならない。
第151条の12
車両系荷役運搬機械等を移送し、荷降ろしを行う場合は、必要な措置をとらなければならない。
151条の13
車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、乗車席以外に労働者を乗せてはならない。
第151条の14
車両系荷役運搬機械等を荷のつり上げ等の主たる用途以外の使い方をしてはならない。
第151条の15
車両系荷役運搬機械等の修理等の作業を行う場合は、指揮する者を定め、指揮をさせなければならない。

 

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