今日も無事にただいま

「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

道具・工具の使用前点検

      2015/05/30

4456655882_18fe8bb144.jpg

ほとんどの仕事では、何かしらの道具を使用します。

製造業であれば、ボルトを締めたり、容器から物を取り出したりする等の道具があると思います。
建築、特に大工であれば、大工道具は命ともいいますし、インパクトドライバーなどの電動工具は必須です。
建設業では、ショベルなどの土をいじるもののほか、コンパネを切ったり、組み立てたりするための金づちやノコギリなども使用します。
これ以外にも、直接工具というわけではないですが、照明や足場の鋼管などの仮設材料も道具と言えますね。

トヨタ式であれば、各工程で必要な工具は、過不足なく常に使える状態へと徹底的に管理されています。
製造工場では、必要な工具は充分に管理されていることが多いと思います。

一方、建設業では、道具や工具は、作業者が持参し、その都度必要な物を使用します。
使う道具はその日の作業内容によって、違ってきます。

もし作業を行っている時に、道具が壊れていたらどうなるでしょうか?
電動のものを除けば、工具は固い鉄の塊のようなものがほとんどです。
余程のことがなければ、折れたり、欠けたりはないでしょう。
しかし全くないかというと、そんなことはありません。

必要な道具が壊れたら、仕事ができません。
ボルト・ナットを手で締めるのも限界があります。
手では釘は打てません。
手で木を切ることはできません。
似たような道具を代替品にしようとしても、スパナ等はサイズが合わず、点かなかったりすることも多いです。
仕事がストップしてしまうのです。

そして、影響は仕事が止まるだけではありません。

道具の故障や不具合は、怪我につながることもあり、安全面にも影響があるのです。

ナットを締める時は、力を入れていますね。
力を入れている時に、スパナが滑ってしまうと、勢い余って手をぶつけてしまうかもしれません。
金づちの柄が折れてしまうと、頭の部分が飛んでいって、人にぶつかるかもしれません。

ましてや電動工具であれば、強いエネルギーで仕事を行うので、被害はさらに大きくなる可能性があります。

先日、とある安全講習会に参加した時に、災害事例でこのような事故を紹介していました。

家庭のコンセント設置工事で、屋根裏に電線を這わせる工事をしていた時のことです。
1人が屋根裏で作業を行い、もう1人が脚立に立って、照明を当てていました。
この時使用した照明は、懐中電灯などではなく、もっと大きな投光器です。
作業してしばらくすると、照明を当てていた作業者が「ビリっと来た」と言い、脚立から落ちてしまいました。
すぐに、作業を中断し、倒れた人を見たのですが、心肺が停止していました。

この事故の原因は、感電です。
感電の原因は、照明に使っていた投光器なのですが、外部からは問題なさそうに見えました。
しかしこの投光器を分解してみると、内部配線の絶縁被覆が破れており、そこからカバーに通電していたのです。

暗い場所では、照明をとるため、投光器は必需品です。
普段使っている道具ですが、分解してまで内部を点検することは少ないでしょう。

しかし、何かしらの不具合があると、この事故のように命にかかわることもあるのです。

日常的に使用する道具の点検は大事です。
とても手に取る機会が多いものだからこそ、きちんと使えるかを確認するのが大事です。

ショベルカーやクレーン、プレス加工機などの機械は、法的に作業前の点検が規定されていたり、事故が起こった時に身に降りかかる災害の大きさが想像できるので、比較的点検はされます。
機械でなくとも、クレーンに使用するワイヤーロープなども、点検がまめにされているものでしょう。

しかし、道具や工具は、特に規定もなく、個々人の管理に任されていることもあり、作業前に念入りに点検というは少なそうです。
もちろん、手に馴染んでいるものが多いので、不具合があれば、違和感を感じるというのはあるでしょう。

道具の中でも、先の事例で紹介した投光器や、電動のインパクトレンチ、ネイルガンなどは電気を使用するので、故障したまま使用すると、大きな怪我になったりします。
インパクトレンチを使っている時に、先端のソケットを固定しているピンが取れてしまって、ソケットが勢いよく飛んでしまうという事故もあるようです。
人の力以上の仕事をするのですから、及ぼす被害も大きくなるのです。

道具や工具は、普段使っていると、状態がわかるものでしょう。
そのため意識して、点検する機械は少ないかもしれません。

とはいえ、使っている時に、突然壊れることもあります。
もしかすると、気づきにくいところで、破損があるかもしれません。
その気づきにくい兆しを、見つけられるのは点検ではないでしょうか。

頻繁に使う道具だからこそ、月に一度などは、しっかり手入れを兼ねて、点検することは、安全に怪我なく仕事することにもつながるはずです。

特に電動工具については、感電の危険性もありますから、点検は重要です。

ということで、今月の安全教育は、道具や工具の点検についてでした。

iQiPlus

 - ○コラム, ○今月の安全大会 , , , ,