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フォークリフトの「転倒事故」事例

      2015/05/30

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先日、フォークリフト事故で10代の少年が亡くなったという記事を書きました。

それに関連して、フォークリフトでの事故事例について調べてみたので、いくつか事例を見てみようと思います。

参考にしたのは、厚生労働省の労働事故事例です。

各タイトルが事故事例の名称です。

事例1「フォークリフトを運転中、曲り角で転倒し、運転者が死亡」

簡単に事故内容をまとめると次のとおりです。

この災害は、フォークリフトを運転して移動中に発生しました。 工事現場用の掘削機械を解体し、トラックに積込み作業を行っていました。 積み込み作業は、通常資材置き場のフォークリフトを使用しますが、この時は別の作業で使用されていたため、別のフォークリフトを使用しました。
フォークリフトを運転して、資材置き場に移動中、カーブでスリップ、転倒しました。
その際、被災者は投げ出され、ヘッドガードに頭を挟まれ、亡くなりました。

被災者は無資格であり、事故を起こしたフォークリフトは点検しておらず、タイヤの溝がすり減っていたようです。


この災害の型は「転倒」事故になります。起因物は、フォークリフトです。

フォークリフトは、年次点検と月次点検が義務付けられています。
年次点検は、有資格者による特定自主検査が義務付けられています。(安衛則第151条の21、22)
事故を起こしたフォークリフトは、年次の特定自主検査も月次検査も行っていませんでした。
定期の検査を行っていれば、タイヤを交換したでしょうし、これは作業前の点検でも発見できたかもしれません。

スリップの直接的な原因として、スピードの出しすぎが考えられます。
この事故ではどれほどのスピードを出していたかは不明ですが、資材置き場への移動中ということもあり、スピードが出ていた可能性があります。
フォークリフトは、時速10km以下のものを除いて、制限速度を定めなければなりません。(安衛則第151条の5)

また事故を起こしたフォークリフトは車体が3トン以上でしたが、被災者は技能講習を受けておらず、無資格作業でした。

さらにフォークリフトの鍵は差しっぱなしということだったので、鍵の管理も問われそうです。

様々な要因が重なり、事故が起こったケースですが、事業者の管理が問われる事例ではないかと思います。

この事例から、事故防止のために活かせることは、次の通りです。

1)特定自主検査、月次点検など、機械の点検を行うこと。

2)制限速度を定め、それに従って作業すること。

3)有資格者に作業させること。

4)安全教育、管理体制を徹底すること。


事例2「無資格者の運転ミスによるフォークリフト災害」
簡単に事故内容をまとめると次のとおりです。

この災害は、夜間トラックターミナルで貨物の集配を行っている時に発生しました。
長さ100m×幅20m、高さ1.3mのプラットホームの内、長さ62mまでを借りて作業をしていましが、ホーム上の荷物を、隅の方に片付けようと、フォークリフトをバックで移動していたところ、後輪が脱輪しました。
その衝撃で、被災者がホーム下に転落し、その上からフォークリフトが落ちてきて、下敷きになりました。
フォークリフトは、2ヶ月前に購入したばかりでした。被災者は無資格でした。


この災害の型は、「転倒」事故になります。起因物は、フォークリフトです。

事故を起こしたフォークリフトは、購入したばかりなので、特定自主検査はまだ必要ありません。
車体重量は1.5トンなので、技能講習を受講しなければいけません。
しかし被災者は無資格で作業していました。事業場は無資格での作業を黙認していたようです。

夜間の作業のため、プラットホームの端が見えづらかったのかもしれません。またバックで運転していたので、確認も不十分だった可能性があります。

フォークリフト等の使用にあたっては、作業計画を定めなけれなりません(安衛則第151条の3)。また作業指揮者が定めて、指揮させなければなりません(安衛則第151条の4)。
今回の事故では、作業計画については不明ですが、作業指揮者は配置されていませんでした。指揮者がいれば、脱輪することはなかったかもしれません。

この事例から、事故防止のために活かせることは、次の通りです。

1)有資格者に作業させること。

2)作業計画を定め、作業指揮者に指揮させること。

3)作業場に十分な照度を保つこと。

4)安全教育、管理体制を徹底すること。


事例3「未舗装の農道を走行中、フォークリフトが横転」
簡単に事故内容をまとめると次のとおりです。

この災害は、屋外に野積みされた原木を、フォークリフトで運搬し、製材加工場に運搬作業を行っている時に発生しました。
作業自体は順調に終わり、被災者はフォークリフトを加工場に戻る時に、敷地内ではなく未舗装の農道を通って向かいました。
被災者は農道で、急ブレーキを掛け、ハンドルを切った時に投げ出され、ヘッドガードに頭が挟まり、亡くなりました。

フォークリフトは、特定自主検査等の点検を受けておらず、ブレーキが片効きの状態でした。
また被災者は技能講習を受けておらず、無資格で作業を行っていました。


この災害の型は、「転倒」事故になります。起因物は、フォークリフトです。

事故を起こしたフォークリフトは、特定自主検査も月次検査も受けておらず、ブレーキが片効きでした。つまりブレーキをかけても、すぐに止まらない状態です。
おそらくブレーキが効いていないことは、分かってて使っていたものと思われます。
舗装されている場所であれば、誤魔化しながら使えたかもしれませんが、未舗装でガタガタした道では、ダメだったようです。

また急ブレーキをかけるほど、スピードが出ていた可能性もあります。

無資格者に運転させていたことも、事業者として責任が問われそうです。

この事例から、事故防止のために活かせることは、次の通りです。

1)特定自主検査、月次点検など、機械の点検を行うこと。

2)制限速度を定め、それに従って作業すること。

3)有資格者に作業させること。

4)作業計画を定め、作業指揮者に指揮させること。

5)安全教育、管理体制を徹底すること。


先の無資格作業を中心に、事例を拾いましたのですが、資格を有しているが事故になるケースも多々有ります。
しかしフォークリフトは、運搬業務がある事業所では使われているので、資格がなくとも使用させるケースも、よく見受けられます。

また特定自主検査等を受けずに、整備不良であることが事故の原因になることもあります。


そして、多くの事業所で定められていないことが、作業計画と作業指揮者の配置でしょう。
大きな運搬機械ならともかく、フォークリフトは作業指揮者を配置してということは少なく、単独で作業しているというのが現状だと思います。

フォークリフトは資格はなくとも、現場で教えてもらって、操作することができます。
多少整備がなくとも、運転もできます。

しかし、車で考えると、無免許で、車検を受けずに運転させているのと同じといえます。

身近な機械であるからこそ、簡単に思えてしまうのですが、死亡事故も発生しています。

労働者の安全は、事業者の責任です。

フォークリフトの整備、資格者等はそのためにも必要なことなので、もしこの記事をお読みなられたなら、今一度確認の機会と考えてもらえたらと思います。

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