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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

掘削工事で、ガス管損傷事故を防ぐために

      2015/05/30

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建設業では、ほとんどの現場にて地山の掘削作業を行うのではないでしょうか。

今回は、地山の掘削作業時に注意しなければならないことです。

地山の掘削作業を行うにあたっては、掘削箇所や周辺について事前に調査しなければなりません。

調査の内容は、掘削箇所の土質、地層、き裂、含水、湧水などがあります。
これらは掘削作業の進め方を決める上で重要です。
砂地と粘土質の土質では、土壁の崩れやすさが違いますので、土止め支保工を検討する材料になります。

もう1つ調査で重要な事があります。
それは、掘削箇所の埋設物の有無です。
埋設物には、水路などの構造物、水道管、下水道管、場所によっては電気や通信のケーブルがあります。

そして、特に都会において重要な埋設物として、ガス管があります。

地方の人口がそれほど多くない場所では、プロパンガスが各家庭にあるというところも多いです。
しかし都会は都市ガスが普及しているので、ガス管を通じて各家庭にガスが供給されています。

ガス管は地下に埋設されていますが、掘削作業でガス管を壊してしまい、爆発や火災事故になるというケースが案外多いようです。

後述の経済産業省による要請書にもありますが、その数は、平成20年から平成23年の4年間で計283件、年平均でも約70件発生しているとのことです。
中でも、東京ガスなどのガス事業者以外の事業者、つまり建設業者による事故は、平成23年だけでも76件発生し、負傷者は16名も発生しました。

ガス管付近での掘削工事は、火災の危険性があるので、慎重でなければなりません。

しかし、実際にはその危険性に対し、無頓着な取り扱いをして、事故に至ってしまっているのです。


この状況を改善したいということで、ガス事業を管理している経済産業省が厚生労働省や国土交通省を通し、各事業者へガス管付近の掘削には、細心の注意をして作業するようにと要請書を出したのでした。

この要請書を受けて、厚生労働省や国土交通省は、各関連団体に通達を出し、ガス管の掘削作業についての注意喚起を行ったのでした。

都会で道路や掘削する場合は、地下に何があるのかはしっかり把握しなければなりません。

水道管や下水道管を破損させても大事ですが、ガス管は爆発のリスクがあります。
作業者自身も大怪我になる可能性があるのです。

今回は、厚生労働省と経済産業省の通達を紹介します。

  平成24年12月21日
建設業労働災害防止協会事務局長

                           厚生労働省労働基準局
                           安全衛生部安全課
                           建設安全対策室長

建設工事等におけるガス管損傷による労働災害の防止について

標記については、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号、
以下「安衛則」という。)において、第355場に基づく地山の掘削の作業を
行う場合の作業箇所及びその周辺の地山についての埋設物等の
有無及び状態の調査の実施等、事業者にと対してガス管損傷による
労働者への危害を防止するための措置の実施が義務付けられているとともに、
平成19年3月22日付け基発第0322002号「建設業における
総合的労働災害防止対策の推進について」により、改修工事において、
作業計画にガス会社等への事前連絡というについても定めるように
指導しているところです。

今般、経済産業省商務流通保安グループガス安全室長より
平成24年12月18日付け24商ガ安第2号をもって、別添のとおり、
建設業地頭におけるガス管損傷事故の防止について事業者等への
要請に関する協力依頼が当職あてあったところです。

この要請では、ガス事業者に事前照会をしなかったため、
ガス管の存在を知らずに重機でガス管を破損し、その結果、火災が
発生し被災者が亡くなった事例等が多数紹介されております。

つきましては、建設工事置けるガス損傷事故による労働災害を
防止するため、貴協会会員各位に対し、下記の事項について周知徹底を
してくださいますようお願いしたします。

                     記

1 地山の掘削作業前の調査(安衛則第355条関係)

  地山の掘削作業を行う場合は、あらかじめ、作業箇所及び
  その周辺の地山について埋設物等の有無及び状態を、埋設物等の
  所有者または管理者に対して照会し、その結果に応じた手順を定め、
  これにより作業を行うこと。

2 ガス管による危険の防止(安衛則第362条関係)

  ガス管に近接する箇所で明り掘削によりガス管を露出させる
  作業を行う場合は、作業指揮者を指名して、その者の直接の指揮により、
  ガス管をつり防具、受け防具等により防護し、又は、
  ガス管を移設する等の措置を講じてから作業を行うこと。

3 ガスが存在するおそれのある配管の溶断等(安衛則第285条関係)

  溶接、溶断その他火気を使用する作業又は火花を発生する
  おそれのある作業を行う場合は、ガスが存在するおそれのある配管に
  ついては、あらかじめ、不活性ガスまたは水を封入すること等により
  爆発又は火災の防止のための措置を講じること。

4 改修工事における爆発防止
  (「建設業における総合的労働災害防止対策」関係)

  改修工事における作業計画には、ガス会社への事前連絡等に
  ついても定め、これに基づく作業を徹底すること。

5 経済産業省からの要請に基づくガス管損傷事故の再発防止

  ・ 工事前には、ガス事業者、ガス管の有無、その配置及び
    使用状況について照会するとともに、必要に応じ、工事の際に
    ガス事業者に立会を求めること。

  ・ ガス事業者に照会して偉えた情報は、現場の作業者全員に
    周知して適切な作業が行われるようにすること。

  ・ ガス管が埋設されている付近は、火気や電動工具の使用を避け、
    特に慎重に手掘り等で作業すること。

  ・ 敷地内に引き込まれる埋設ガス管は、歩道部や車道部よりも浅い
    場所にあることが多いため、特に注意すること。

  ・ ガス臭いと感じた時は、火気や電動工具の使用を中止し、
    すぐにガス事業者に連絡すること。


経済産業省より、ガス管破損による事故が多発していることを受け、この事故を防止するようにとの通達です。

安衛則では、地山の掘削作業を行うにあたって、あらかじめ作業場所や周辺を調査しなければなりません。
その調査には、ガス管などの埋設物についても含まれます。


埋設物は、発注図書に示されていることもありますが、全て網羅しているとは限りません。
道路や歩道では、水道やガス管などが通っていることを示すマークなどもありますので、存在の有無と大体の場所は把握できることもありますが、実際どれほどの深さにあるのかなどは分かりません。

事前調査では、現地調査とともに埋設物を管理している事業者に確認を取ることが重要なのです。

ガス管のことを知りたいのであれば、ガス事業者に聞くのが一番確実です。
ガス事業者であれば、配管ルートの図面を持っていますし、場合によっては一緒に現地に赴いて、ルートの確認をしてもらうこともできます。

図面で大体のルートを把握したら、本作業の前に試掘して、正確な位置や深さなどを確認することも大切です。
現物を確認してみて、作業方法や埋設物の防護方法などを検討することができるのです。

試掘をする際、とても大切なことがあります。
それは、機械を使用しないということです。

ショベルカーでの掘削は、早く効率的です。
しかし、バケットの爪は大きく、強いですが、繊細な動きは難しいのです。
慎重に動かしていても、ちょっとした加減で、ガス管を破損させてしまうなんてことは、十分に考えられるのです。

試掘の時に限りませんが、ガス管付近を掘る場合は、手で慎重に掘りましょう。

確認ができたら、本作業の時のために、地表にペンキなどで印を書いておきましょう。


掘削作業を行う時に大切なのは、事前にどこに何が埋まっているかを確認することなのです。

そしてもう1つ大切なことは、作業者全員がガス管の存在や位置を把握することです。
試掘を行った監督だけが把握しているのでは意味がありません。
実際に作業を行う人全員が、「ここにはガス管があるのだ」と理解した上で、作業しなければならないのです。
一人でも把握していない人がいると、その人がガス管を破損してしまう可能性もあります。

必ず、全員に周知することを徹底します。

掘削時にガス管を露出して、作業しなければならないこともあります。
その場合は、ガス事業者と相談することになりますが、破損させないような対策を取りましょう。

対策としては、ガス管の防護や移設などがあります。
移設は別の場所に動かすものです。可能であれば、移設するのが安心ですね。

しかし移設できない場合も多々あります。
その場合は、外部からの衝撃に備え防具をつけたりもあります。

さらにガス管の下部も掘る場合、空中に浮いている状態になるので、支えてやらなければなりません。
数メートルも支えなく、浮いている状態であれば、管自身の重さに耐えられず、途中で折れてしまうこともあるのです。

支え方には2種類あります。
吊り支持と受け支持です。

吊り支持は、ガス管の上部に吊り桁を置き、そこにU字の金具を付けます。
ガス管は、U字金具の中に置きます。

受け支持は、穴の底から土台を組み上げ、土台の上にガス管を置くものです。

これらの支持を行うのは、時期によって異なります。

吊り支持はガス管が露出した時点で、行います。
まだ下部の土を取り除く前です。

しっかり吊り支持で支えてから、ガス管の下部を掘っていくのです。

目的の深さまで掘り終えたら、次は受け支持を作ります。
受け支持が完成したら、吊り支持を取り除きます。

上から吊り金具で支えているだけの吊り支持だけでは、振動で揺れたりと不安定です。
そのため、しっかりと土台で固定する受け支持ができるまでの、一時的な支持方法であると言えます。

支持により、とにかくガス管が折れないようにします。

これらの支持や防護などの際には、必ず作業指揮者を指名し、直接指揮させます。
個々の作業員が連携が取れておらず、好き勝手に作業していたら、危ないですよね。

全体の作業を把握し、指揮する人は、ガス管の防護作業には重要なのです。

ガスは可燃性です。
可燃性ですから、当然、火気厳禁です。

しかしガス管付近の作業時には、このことが忘れてしまうこともあるようです。

ガス管にたいして溶接機を使用したら、どうなるかは分かりますよね。

ガス管付近では溶接や溶断、また火花が飛ぶような作業は、厳禁です。
もし行う必要があれば、ガスの供給をストップし、残留しているガスも取り除くなどの事前措置が必要になります。

具体的には、不活性ガスで置換したり、水で満たしたりの方法がありますが、可燃性ガス付近では火気は厳禁です。

目の前の作業に集中してしまうと忘れてしまうことも、あるのかもしれません。
もし作業者が火気を使用しそうなら、現場の監督や職長は、止めなければなりませんね。

ガス管損傷による事故は、改修工事で多く発生しているようです。
改修工事などでは、それ以外の工事でも同様ですが、ガス事業者と打ち合わせて、ガス管の位置を確認しなければなりません。

事前協議と現地での打ち合わせは、火災や爆発事故防止のために、最重要でなのです。

さて、この厚生労働省の通達は、経済産業省からの要請があって出されました。

別添で、経済産業省の協力依頼要請が添付されていますので、こちらも紹介します。

別添
経済産業省 平成24年12月18日 24商ガ安第2号

  建設工事におけるガス管損傷事故の防止について(協力依頼)

ガス(都市ガス及び液化石油ガスをいう。以下同じ。)事故のうち、
ガス事業者(都市ガス及び液化石油ガスの供給に係る事業者をいう。
以下同じ。)以外の者がガス関東の近傍で行う工事(以下「他工事」という。)の
際、建設工事等の作業者がガス管を損傷する〃とにより、自ら負傷し、
又はガス供給支障を起こしなどの事故が、平成20年から平成23年の
4年間で計283件、年平均でも約70件発生しており、ガス事故全体の中でも
毎年1割以上を占めるとともに、36名の負傷者を生じさせています。
平成23年は、他工事事故は76件発生し、負傷者は前年の7名から16名へと
大幅に増加しました。

平成23年2月には、福井県において、ガス事業者に事前照会をせずに
解体工事を行ったところ、ガス管を損傷し、ガスの漏えいに気付かず
そのまま作業を続けたため、引火・爆発にいたり、作業員3名が
負傷(重症2名)しました。また、平成24年10月には、福岡県において、
ガス事業者に事前照会をせずに外構工事を行ったところ、作業者が
重機でガス管を損傷させたことによりガスが漏えいし、作業中の
ハツリ機が着火したため火災に至り、ハツリ作業者1名が
負傷し約1か月後に亡くなりました。

事故の原因としては、工事の際にガス事業者に事前照会を
しなかったため、ガス管の存在を知らずに作業したこと、目的の配管と
誤ってガス管を切断したこと、ガス漏えいの処理を自ら行おうとし、
誤った対応をして着火させてしまったこと、ガス臭に気付いたが
そのまま作業を続け、その後漏えいガスに着火してしまったこと、
ガス事業者への事前照会は行っていたものの、その内容を
現場作業員に知らせていなかったこと、など基本的なミスが
多いことが認められます。

つきましては、このような建設工事等におけるガス管損傷事故の
再発防止のため、他工事にかかる事業者等に対し、以下の要請を
行っていただきますようお願いいたします。

  ・ 工事前には、ガス事業者、ガス管の有無、その配置及び
    使用状況について照会するとともに、必要に応じ、工事の際に
    ガス事業者に立会を求めること。

  ・ ガス事業者に照会して偉えた情報は、現場の作業者全員に
    周知して適切な作業が行われるようにすること。

  ・ ガス管が埋設されている付近は、火気や電動工具の使用を避け、
    特に慎重に手掘り等で作業すること。

  ・ 敷地内に引き込まれる埋設ガス管は、歩道部や車道部よりも浅い
    場所にあることが多いため、特に注意すること。

  ・ ガス臭いと感じた時は、火気や電動工具の使用を中止し、
    すぐにガス事業者に連絡すること。

(添付資料)
 ・参考資料1 平成23年の建設工事等におけるガス管損傷事故
 ・参考資料2 他工事業者向けパンフレット


ガス事業者以外の事業者による、ガス管破損事故が多く発生していることへの対策を求めている内容です。

冒頭でも紹介しましたが、年間70件以上のガス管破損事故が起こっているということです。
これは非常に多いといえます。

添付資料は割愛したのですが、参考資料1には平成23年度に発生した全ての事故が紹介されていました。

事故の原因としては、事前にガス事業者に照会しておらず、知らずに作業をしていたことや、ガスが漏れているのに、電動機械を使用したなどがあります。

目先の作業のことだけに目を取られると、明らかな危険に対しても見えなくなってしまいます。

ガス臭がするところで、ハツリなどをしていたら、着火するということは、分かると思いますが、作業中は、分からなくなるようです。

さらに、ガスが充満している掘削場所であれば、火災に至らなくとも、酸欠や中毒になることもあります。

ガス管付近での作業は、実に危険と隣り合わせなのです。

経済産業省として、ガス管付近での掘削作業について、いくつかの要請を行っています。
それは簡単にまとめると、次のとおりです。

1.事前にガス事業者と照会すること。現地の立会確認をすること。
2.全作業者に周知すること。
3.ガス管の付近では、火気や電動工具を使用しないこと。手掘りとすること。
4.敷地内のガス管は、車道や歩道より浅い位置に埋設されているので注意すること。
5.ガスの臭いを感じたら、すぐに火気や電動工具の使用をやめて、ガス事業者に連絡すること。


ガス管の位置を全作業者がが把握し、適切に作業することを求めています。

敷地内などでは、道路に比べ、埋設物は浅い位置に埋められている事が多いです。
それは道路では、人や車の往来が激しく常に荷重がかかっているので、深い位置に埋設して、影響を小さくする必要があります。
一方、敷地内では、往来は激しくないので、影響も小さく、深くまで埋める必要がないからです。

道路と同じ感覚で掘っていたら、予想より浅い位置にガス管があり、気付かず壊してしまったということもあり得ますので、注意する必要がありますね。

敷地内についても、ガス事業者と確認し、試掘するのがよいですね。

万が一ガスが漏れていたら、自分でどうこうしようとしてはいけません。
ガス事業者に連絡して、対処してもらいましょう。


下手に対処しようした結果、着火させてしまった事故もあります。

ガス事業者との連携は密にしておく必要があります。

地山の掘削作業時のガス管取り扱いについては、慎重に行わなければなりません。

ガスは着火しやすいものですから、取り扱いを誤ると、火災や爆発と大事故になってしまうのです。
当然ですが、ガスの供給も止まるので、周辺への影響も甚大なものになります。

都会の道路工事だと、ガス管などの埋設物の存在は重要です。

知らずに掘っていて、火災になったでは、済まないほど重要な事ですので、事前の調査と周知徹底は確実に行うよう、今一度確認するのが大切ですね。

さて、これも割愛したのですが、添付資料2は、ガス管付近での作業についてのパンフレットになっています。

最後に、このパンフレットで紹介されている、3つのポイントを載せておきます。

パンフレット3つのポイント

1.工事前にまず確認
 工事前にガス管一夜ガスが通じていないことを確認。
 ガス管付近は特に慎重に手掘りで作業する。

2.不明な場合は、ガス事業者へ連絡
 ガス管の位置や深さが不明な場合やガス管の撤去、移設工事が必要な場合、
 その他必要に応じて、ガス事業者にご相談下さい。

3.情報は全員で共有
 ガス管の位置などの情報は、図面などで作業員全員で情報を共有する。

ガス管損傷事故防止は、全員で行うことが大切ですね。

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