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ガス管工事の火災・爆発事故

      2015/05/30

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掘削作業の時に、ガス管を損傷させて火災や爆発する事故が多いため、経済産業省より災害防止の要請があることをまとめました。

実際にどのような事故があるのか、事故事例をまとめてみます。

経済産業省から国土交通省や厚生労働省への通達には、添付資料として平成23年度に起きた、ガス事業者以外の事業者が起こした事故事例一覧が紹介されていました。

その数はなんと76件!負傷者は16名にもなっています。

原因をまとめると、事前にガス管の位置などを、ガス事業者に照会していない、ガス管の位置などを全作業員に周知していない、ガス漏れを自分たちで対処しようとして被害を拡大させてしまう、等があるようです。

中には、ガス漏れを起こしているのに、火気を使用したというケースもあるようです。

ガスは可燃性だということは、おそらく知らない人はいないでしょう。

しかし、いざ仕事となると、仕事が優先され、危険性が見えなくなるようです。

今回の事故事例は、ガスによる火災と爆発について、まとめます。

まずは、火災についてです。

参考にしたのは、厚生労働省の労働事故事例です。
労働事故事例

ガス管取替工事において、漏れ出したガスにはつり作業の火花が引火

この災害は、ガス管を取り替える作業中、漏れ出したガスに引火し、火柱が現場に面していたビルにまでおよび、その火柱によりビルが延焼したものです。

災害が発生した日、ドラグショベルを用いて掘削作業を始め、正午に終了しました。
引き続きガス漏洩箇所のガス管を切断し、新しいガス管に取り替える作業を行うことになりました。

ガス管の取替えの準備として、バイパス管を取り付け、ガス管の切断箇所の上流側と下流側それぞれに装着したガス遮断装置から、2個づつ袋をガス管内に挿入して空気を吹き込みガスの流れを遮断し、漏洩箇所部分のガス管を切断しました。

しかし、このとき下流側に挿入してあったガスを遮断していた袋を破いてしまっていました。

その後、新しいガス管を取り付けるに際して、掘削によって露出したマンホールのコンクリート外壁が邪魔になるのではつることになりました。

作業員がはつり作業を実施中、下流側の切断した箇所から火炎が立ちはじめ、まもなく、上流側からもガスが噴出し、作業場所に面していたビルの5階にまで達する火柱となりました。

そのため、現場の作業員1名と、ビル内から避難しようとした2名が熱傷等を負いました。


この事故の型は「火災」で、起因物は「可燃性ガス」です。

1名が亡くなり、数名の方が火傷を負うという、大惨事になったのです。

ガス漏れを起こしていた配管を取り替える作業を行っている時に起こった事故でした。

バイパス管を付けて、仮設を行っていた際に、栓止する袋が破れてしまったのに、対処せず、火花を出す電動機械を使用したのでした。

これは作業方法自体に問題があったようです。

ガス遮断装置を装着した位置から、切断箇所は多少余裕が必要です。
今回は管を切断する時に、袋を破るということのなので、かなり接近していたのでしょう。
遮断装置の取り付け位置、切断位置などが、よくなかったのでしょう。

また万が一、ガスが漏えいすることに備え、ガス検知器などがなかったのも、対策としてはよくなかったと思われます。

都市ガスは、漏えいが分かるように、わざと臭いをつけているそうです。
しかし屋外で風がある場所などでは、すぐに拡散してして、人の鼻だけでは、検知できないかもしれません。
電動工具を使用しているならば、エンジンの臭いでなおさら、分かりにくくなります。

ガスが漏れる可能性がある場所での仕事なので、ガス検知器などの備えは大切ですね。

元サイトによると、作業標準通りの作業ではなかったということです。
これは現場の状況で変更したのかもしれません。
計画が現場に合っていなかったのか、現場の判断で変えたのか分かりませんが、事前に確認を取る必要はあったと思われます。

特に、電動コンクリートカッターで、はつり(コンクリートの取り壊し)作業は、ガス管付近で、火花の飛び散る作業なので、事前調整や確認は不可欠です。

ちょっと現場で行った判断が、大きな事故になってしまったのでした。

これらを踏まえて、事故の原因をまとめてみます。

1.ガス遮断装置と切断箇所が近いなど、作業標準通りの作業ではなかったこと。
2.ガス漏えいを検知できなかったこと。
3.当初予定のない、コンクリートはつり作業を、現場判断で行ったこと。
4.ガス管付近で、電動工具を使用したこと。


元方事業者と現場の、連携が十分でなかったことも背景にあるようです。

ガス管付近の作業では、最も中止しなければならないのは、ガス漏えいです。
ガス漏れがしている状態では、いつ火災が起こるか分かりませんし、時には酸欠になることもあります。

万全に対策しても、ガスが漏れることもあることを理解して、作業を行わなければなりません。

コンクリートをはつる必要があったのかもしれませんが、安易に電動工具をしようするのではなく、作業方法について、事前に関係者と協議する必要がありました。

こんなことを聞く必要がないと思われることもあるでしょうが、緊密な連携は災害防止に大切なのです。

これらのことから、対策を検討してみます。

1.ガス遮断装置の取付などは、ガス漏れを起こさない方法を検討し、実施する。
2.ガス漏えい検知器などを使用する。
3.予定外の作業が必要になった場合は、元方事業者などを交え、検討すること。
4.ガス管付近では火気や電動工具は使用しない。仮に使用する場合は、防爆構造のものを使用する。
5.元方事業者、作業場巡視などで、随時状況を把握すること。


ガスが通る付近での作業になるので、常に火災のリスクがあります。
そのことを踏まえて、作業に臨むことが大切なのです。



さて、もう1件別の事例を紹介します。

こちらも参考にしたのは、厚生労働省の労働事故事例です。
労働事故事例

ビル解体工事において、ビル内の配管の撤去作業中、爆発が発生し、熱傷を負った

この災害は、ビル解体工事現場で、ビル内の配管を撤去していた際に、起こりました。

ビル解体工事現場において、ビル内の配管の撤去のため、被災者2名が解体ビル1階東側入り口付近のガス管をレシプロソー(防護構造ではない電動ノコギリ)で切断していました。
作業中、ガス臭がしたものの残ガスであると判断しガス管の切断、撤去作業を続けた。

その後、ガス管の大部分を切断、撤去したところでガス臭が続いていたことから、ガスが薄まるまで一旦その場を離れることにしました。
その間、ビル一階西側の水道管の切断、撤去を行ったところ爆発が起き熱傷を負いました。

もう1名の被災者は、地下1階で作業を行っていたが、携帯用グラインダーの刃を替えようと、刃が置いてある1階へ上がったところ爆発に巻き込まれまいた。

3人は自力でビル外へ逃避しました。


この事故の型は「爆発」で、起因物は「可燃性ガス」です。

この事故は、ビル解体作業中の配管撤去作業中の事故です。

ガス臭がしていることには気づいていたものの、対策を行わず、電動ノコギリで作業を続けていたのでした。
端から見ると、何でそんな危険なことをと思ってしまうのですが、現場では作業が優先される面もあるので、これくらいなら大丈夫という心理も働いたのかもしれません。

そもそもの原因として、作業前にビルへのガス供給がストップしているかの確認ができていないことがあるようです。
ガス事業者などと現地で確認し、確実にガスを止めなければ、作業自体を進めてはいけなかったのです。

また、現場作業時に、ガス臭がしたら、一旦作業を中止し、原因を調べる必要がありました。
この手順については、作業手順書などに記載しておくべきといえます。

これらのことを踏まえて、原因をまとめてみます。

1.作業開始前に、ガスの供給状況の確認を行っていなかったこと。
2.作業中にガス臭を感じたにも関わらず、電動工具での作業を続行したこと。
3.残ガスの可能性がある管の切断に、防爆構造のものを使用していなかったこと。


通達では、特に改修工事でのガス管損傷工事が多いとの指摘がありました。
この工事は、改修ではなく解体ですが、建物の構造を変更する点では、共通する所もあります。

ガス管の切断を行う場合には、ガスがないことが条件です。
供給をストップできない場合は、バイパスなどで迂回ルートを作ります。
しかし作業を行う箇所には、ガスがあってはいけないのです。

何より大切なのは、ガス事業者に確認すること。
これが一番確実です。

十分に対策をしても、残ガスがあったりと、ガスが漏れることもあります。
また近くに火気厳禁のガスがあるのですから、使用する電動工具は、防爆構造のものをしようしましょう。
通常のものでは、内部で火花が飛び散ったりすることもあるので、機械の選択が、危険の有無に繋がってしまうのです。

この事例ではガスの供給が止まっていたとしても、ガス管の切断を行うのですから、電動工具は防爆構造のもの使用したほうがいいですね。

この事故の対策をまとめてみます。

1.作業開始前に、ガス事業者と立会うなどして、供給を停止する。
2.作業中にガス臭を感じたら、直ちに作業を中止し、原因調査と換気を行う。
3.残ガスやガス管付近での作業では、防爆構造の電気工具を使用する。
4.ガス漏れに備えて、ガス検知器を設置する。
5.作業員の教育、KYなどで、安全意識を高める。


ガス管付近で掘削する、またはガス管改修などを行う場合は、まずガス事業者に照会し、必要に応じて立会、作業方法について協議することが大切です。

ガスの取り扱いは、ガス事業者に任せなければなりません。
下手に自分たちだけでやろうとすると、自体の収束どころか、大事故になってしまうこともあります。

ガス漏れを起こした時も、事業者に連絡しましょう。

ガス事業者の連絡先については、現場に緊急連絡体制などを掲示し、誰でも見られるようにしなければなりません。

そして、ガス管の存在や取り扱い方法、ガス漏れ時の対処については、全作業員が理解するようにしましょう。
特に、埋設されているガス管については、掘削作業時に分からないと、危ないので、必ず周知します。

そしてガス管付近では、防爆構造の電動工具を使用しましょう。
防爆構造のなんて持ってないということもあるでしょうが、その場合はレンタルするなどの手段もあります。
火花1つで、火災や爆発事故になるのですから、対策は十分にする必要がありますね。

ガスによる火災や爆発事故については、通達を出され、各団体、事業所で対策を行い始めていると思います。
危険を伴う仕事ですが、事前に十分に注意することで、危険を提言することができるのです。

ガス爆発は、大きな被害になるのですから、しっかり注意していきましょう。

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