移動はしごと脚立の安全な使い方
2015/06/12
これは先日、職場を巡視していた時に発見したのです。
倉庫の2階に上がるために、脚立を使った形跡があったのですが、この脚立の使い方に問題がありました。
どんな使い方かというと、こんな感じです。
ダメなのが分かりますね。
脚立を開かずに、立てかけて使うのはダメですね。
脚立は脚立の使い方があり、はしごのような使い方をするものではありません。
何故かというと、足元がしっかり地に着いていません。
ほんのちょっとバランスを崩すだけで、足元を滑らせてしまうのです。
本来の使い方はこんな感じですね。
しっかり開き、開き止め金具を止めましょう。
ちなみにこの後、脚立を立てかけて使われないように片付け、全員に使い方について周知しました。
巡視でこんなことがありましたので、今回は移動はしごと脚立についての条文です。
移動はしごと脚立については、安衛則に規定されています。
【安衛則】
(移動はしご) 第527条 事業者は、移動はしごについては、次に定めるところに適合した ものでなければ使用してはならない。 1)丈夫な構造とすること。 2)材料は、著しい損傷、腐食等がないものとすること。 3)幅は、30センチメートル以上とすること。 4)すべり止め装置の取付けその他転位を防止するために 必要な措置を講ずること。 |
安衛則で規定さているものは、使い方ではなく、構造についてです。
構造として、何より重要な事は丈夫であることですね。
そして、壊れていたり、腐食しているものもダメです。
人が乗って、壊れてしまうようなものであれば、どうしようもありません。
その他、構造的なことでは、幅は30センチ以上の広さがなければなりません。
そして、足元には滑り止めがあり、使用中に滑ったり、倒れたりしないようにしなければなりません。
つまり、使用時に安全に使えるものとするのです。
しかし、はしご自体が丈夫であっても、使い方を誤れば、危険になります。
さらには本来の機能を発揮させることができなくなります。
使い方については、はしごの取扱説明書などに書いてあります。
説明書から、ピックアップしてみます。
・はしごの頭は接点より、60センチ以上突き出す。
・立てかける角度は75度以下にする。
縦横の比は、縦:横=4:1とする。
・伸ばして使用する場合は、留め金を必ず留める。
・滑りやすいところや、ドアの前などに設置しない。
・建物のヘリや突き出した部分に、立てかけない。
・はしごの接点より上に、体重をかけない。
・はしごに乗っている時に、横にはみ出さない。
・はしごには表と裏があるので、注意する。裏面から登らない。
・はしごを背にして、昇り降りしない。
・水平にして橋にしない。
・電柱など立てかける場所が、平面でない時は、バンド等で固定する。
などです。
どれも安全に使うのに大切なことですね。
もし取扱説明書があるのでしたら、一読しておくと、よいのではないでしょうか。
はしごに表と裏があるなどは、ただ使うだけでは気にしないかもしれません。
しかし、強度が異なるので、裏から登ると、最悪折れてしまうこともあるようなので、注意です。
それでは、続いて、脚立の条文です。
(脚立) 第528条 事業者は、脚立については、次に定めるところに適合したもの でなければ使用してはならない。 1)丈夫な構造とすること。 2)材料は、著しい損傷、腐食等がないものとすること。 3)脚と水平面との角度を75度以下とし、かつ、 折りたたみ式のものにあっては、脚と水平面との角度を 確実に保つための金具等を備えること。 4)踏み面は、作業を安全に行なうため必要な面積を 有すること。 |
はしごと似通っていますね。
脚立も使い方には触れておらず、構造についての規定です。
脚立も、丈夫な構造でなければなりません。
そして、壊れていたり、腐食しているものでないものを使用します。
脚立は、必ず開いて使います。
開いた時の角度は、75度以下にします。
この角度は、はしごを立てけかるときの角度と同じですね。
これ以上だと急すぎるのです。
また脚立は、階段のように昇り降りするものです。
はしごであれば、横さんは棒でも構いませんが、脚立はそれでは困ります。
横さんに立って、作業も行うので、安全に作業できる程度には、踏み面の面積が必要なのです。
はしごと同様、使う時に壊れてしまう、また落下してしまうようなものは、ダメなのです。
条文には、使い方は書かれていませんが、取扱説明書には注意事項がまとめられています。
いくつかピックアップしてみます。
・脚立を開いた時には、留め金は必ずロックする。
・はしごのように、立てかけて使用しない。
・作業床や台の上で使用しない。
・作業は、昇降面を作業対象に向けて行うことが基本。
・脚立の天板をまたいで、作業しない。
・脚立の天板の上に立たない。
・脚立を背にして登り降りしない。
脚立は、その上に登って作業できるように作られています。
しかし、どこに乗っても大丈夫かというと、そうではありません。
天板の上は不安定なので、この上に立って作業してはいけません。
またいで行うのも、いけません。
何よりダメなのは、作業床や台の上で、立てることです。
必ず固い地面の上に、しっかり開いて使いましょう。
時には、脚立をいくつか並べ、その上に板などを載せ、簡易作業床にするケースもあります。
2メートル以内のところで、足場を組むほどではない場合に、使われたりします。
このような使い方をする場合には、次の注意点を守りましょう。
1.高さは2メートル以内とする。
2.足場板は両端と中央の3点支持とする。
ただし、足場板を2枚重ねする場合は、両端の2点支持でもよい。
3.両端の脚立は、ゴムバンド等で固定する。
4.両端の突き出し、足場板の重ね部分は、20センチ以上とする。
5.両端の脚立から突き出している部分では、作業禁止。
6.脚立と脚立の間は、1.8メートル以内とする。
7.積載荷重は150キロ以下とする。
一時的な足場になるでしょうが、しっかりとた構造にしなければならないのです。
はしごや脚立は、昇降目的の他、作業床を使用するほどではない作業で使います。
必要な設備も簡単なものなので、つい油断しがちですが、はしごなどの作業も墜落・落下事故になることも多いのです。
墜落事故が起こるのは、足場などの高所作業だけではありません。
事故事例を見ていると、1.5メートルくらいの高さから落下したところ、頭を打って亡くなったというケースもあるのです。
今回は私が巡視中に、不適切な脚立の使い方を発見したのですが、このように実は危ない使い方は多いのではないでしょうか?
はしごや脚立は誰でも簡単に使える設備です。
本当に安全に使えているのか、今一度確認するのも大切なことですね。
まとめ。
【安衛則】
第527条 移動はしごは、丈夫で規定に適合したものを使用しなければならない。 |
第528条 脚立は、丈夫で規定に適合したものを使用しなければならない。 |