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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

寒い時に起こりがちな事故

      2015/05/30

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今年も12月に入り、何度も寒波が襲ってきています。

少し前まで暖冬という予報も耳にしたのですが、予報虚しく寒波は強烈に列島を冷やしています。

特に北海道や本州の日本海側は、爆弾低気圧という物騒なものに覆われ、大雪と強風に襲われてしまいました。

冬なのですから、雪や寒さは仕方ないのですが、寒さゆえに起こる事故には注意しなければなりません。

今回は、寒さと事故について考えてみたいと思います。

事故原因1 「凍結」

まず冬になると発生するものは、路面の凍結です。
特に雪が降る地域では、凍結による転倒や自動車のスリップは避けられません。

九州や四国、太平洋側では、雪が路面を覆うほど積もることは、稀です。
そのため、寒冷地では必須の冬用タイヤに交換することも、少ないのではないでしょうか。

路面が雪に覆われたり、凍結したりすると、車の運転は至難の業となります。
ブレーキを掛けても、滑る。坂道を登れない。
私も目の前の車が、坂道でブレーキを掛けたところ、180度ターンしたところを目撃したこともあります。

冬場の交通事故は、凍結によるスリップが増えてくるのです。

今月の寒波は四国の徳島も襲いました。
雪に慣れてない土地に大雪が降り、被害も甚大になったのでした。

交通事故以外にも、凍結による事故は起こります。

道路以外の場所も凍結しているので、滑って転倒事故が起こりやすくなります。

屋外作業であれば、特に日陰は気温も上がらず、凍結がなかなか解けません。

靴底はなるべくザラザラしたものにするとともに、歩く場所にも注意して、転倒には注意しましょう。

事故原因2 「大雪などの悪天候」

大雪などの悪天候になると、屋外の作業はできなくなります。

悪天候の定義は、こちらにまとめています。

悪天候時にできること

冬場で最も注意しなければならないのは、雪と風でしょう。

少々の雪や風であれば、作業を行うでしょうが、大雪や強風、暴風ともなると、屋外の作業では止めなければならないものもあるのです。

次の仕事は、大雪などの悪天候時は中止しなければなりません。

・枠支保工の組立等の作業 
・造林等の作業 
・木馬又は雪ソリによる運材作業 
・林業架線作業 
・鉄骨の組立等の作業 
・鋼橋の架線等の作業 
・木造建築物の組立等の作業 
・コンクリート造の工作物の解体等の作業 
・コンクリート橋の架線等の作業 
・高さ2メートル以上の箇所での作業
・足場の組立等の作業
・クレーン作業
・クレーンの組立等の作業
・移動式クレーンの作業
・デリック作業
・デリックの組立等の作業
・屋外エレベーターの組立等の作業
・建設用リフトの組立等の作業
・ゴンドラを使用する作業

クレーンやデリックの仕事は、大雨や大雪の時には規制はありせんが、強風では作業中止です。

言われなくとも、仕事どころではないというのが、実状でしょう。
しかし工期が迫っていると、焦って作業を行いたくなります。

悪天候時に作業を行っても、仕事ははかどりませんし、事故のリスクが高くなるのです。

事故原因3 「病気」

寒くなると、風邪をひきやすくなります。
インフルエンザが流行ります。
お腹を壊しやすくもなります。

そして、体の節々が痛くなることもあります。

冬は病気にかかりやすいのです。

仕事をしていると体が温まったりしますが、汗は急速に体温を奪います。

服装やエアコンなど、暖をしっかりとるとともに、うがい手洗いなどで体調管理に十分注意する必要があるのです。

またじっとしているだけでも、つらいものがあります。
この時期、交通誘導員やガードマンは大変です。
休憩があるとはいえ、じっと立っていなければなりませんし、ぼんやりしていると事故になります。
しっかりとした、防寒と体調管理に気をつけて頂きたいです。

事故原因4 「防寒着」

寒い中での作業になると、防寒着を着ます。
今では、ヒートテックなどで、かなり暖かくなりましたが、それでもコートやジャンパーなど厚着になります。
厚着になると、どうしても自分の身体よりも容積が大きくなるので、身体間隔がわからなくなるのも一因にありそうです。

時には、この防寒着が事故の原因になることもあるのです。

こんな事故例があります。

工場で、ボール盤などの高速回転する機械で作業している時に、寒いので手袋をしていたところ、巻き込まれてしまった。 また、コンベアー付近で作業している時に、マフラーが巻き込まれてしまったなど。

回転体を持つ機械を使用する時は、手袋を使ってはいけません。
この手袋には、軍手も含まれます。


コンベアーの近くでマフラーも、寒いという事情は分かるとはいえ、危険なのはよく分かりますよね。

寒さは時として、危険意識を忘れさせてしまいます。

いかに寒いとはいえ、回転する機械を使う時は、巻き込まれないようにするのは、絶対なのです。

工場以外の建設業でも、防寒着が原因で事故が起こることがあります。

建設業は屋外作業が多いので、工場内の仕事よりも厚着になります。
中には、上着を何枚もということもあります。

ショベルカーを使用している時、ジャンパーなどの防寒着が、操作レバーに引っかかり、本人が少し体を動かした時に、勝手にアームが旋回し、近くの作業者にぶつかるという事故が少なくないのです。

本人は、レバーに引っかかってると気づいていないので、操作をストップするのも遅くなるのです。

体にぴったりした作業服であれば、起こりにくいミスも、防寒着を着こむと起こってしまうのです。

対処としては、前のファスナーをしっかり閉じる、不用意に動かないように、エンジンを切ったりなどを行うなどがあります。
ショベルカーによっては、不意な動作を防ぐための制御レバーがあったりしますので、このような安全装置もしっかり使いましょう。

服の引掛けでの、機械の動作は、周囲の人にとっては脅威なので、十分注意する必要があります。

事故原因5 「換気不足」

厚着だけでは、なかなか体を温めることはできません。
室内であれば、エアコンやストーブなどで暖をとります。

この暖のとりかたも、注意しなければなりません。

暖を取る時の一番の注意事項は、換気です。
特にストーブなどであれば、どんどん酸素を消費していくわけですから、適度な換気は必要になるのです。

ですが、寒いからあまり窓は開けたくないんですよね。

その気持は十分に理解できますが、適度な換気も大事なのです。

換気は、様々な業務でも大事になります。

気温が10℃を下回るような寒い時期にコンクリートを打つと、内部の水分が凍ったり解けたりして、しっかり固まらず、品質が低下します。
そのために、固まるまでの間は暖めて、温度養生をします。

コンクリートの養生には、以前は練炭が使われていました。
コンクリートの打設した場所の上に、カバーかぶせ、中で練炭で温める。
数日間はこの状態にするのです。

この時、よくある事故が、作業者がカバーの中に入り、一酸化炭素中毒になるという事故です。
風通しが悪い中での練炭なのですから、中には一酸化炭素中毒が満たされているのです。
作業者が入る前には、十分な換気もしくは、防護マスクが必要になります。

同じような例で、室内の作業中に、エンジン付きの電動工具を使用して、一酸化炭素中毒になるという事故もあります。
風が入ると寒いので、閉めきって作業している時に起こります。

いかに寒くとも、適度に換気を行わないと、中毒になります。

このような事故も寒さによって引き起こされる事故と言えます。

寒くなると体がこわばってしまい、動きづらくなります。
そのため転倒したりという事故も増えてきます。

夏の暑さは、熱中症対策として、WBGT値で管理しましょうなどと、一定の基準があります。
しかし冬の寒さには、そのような基準はありませんし、決まった対策もありません。

事業者や、作業者個々の判断などに頼るのが現状です。

ですから、自分自身で注意することが、大切になるのです。

建設業などでは、秋から冬にかけてが、最も忙しい時期になります。

忙しくなると安全対策も疎かになりがちですが、防寒対策とともに安全にも注意して、怪我なく、病気なく毎日を過ごして下さい。

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