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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

4Sは安全と品質向上、そして思いやりの活動

      2015/05/30

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年末、仕事納めでは、会社を、少なくとも自分のデスク周りは片付けたのではないでしょうか?

事務所だけでなく、工場内や倉庫、車や機械、道具なども片付けたものと思われます。

とにかく物が多い。
不必要なものがたくさんある。
関連のないものが雑多に並んでいる。
必要なものと不必要な物が判断できない。
ホコリや泥、油などでベトベトする。
などなど。

乱雑であったり、汚れている環境であると、仕事ははかどりません。
仕事がはかどらないどころか、精神的にも沈んでしまいそうです。
職場であれば、自分だけでなく、周りにも影響を与えてしまいます。

時々、汚部屋なんてのがテレビで紹介されたりしますが、汚部屋で生活するのと、きちんと掃除されれている部屋で生活するのでは、どちらの方が住み心地は良さそうでしょうか? おそらく、多くの人にとって後者のほうが住み心地が良いと思うはずです。
中には自分は、汚部屋の方が居心地がいいという人も中にはいるかもしれませんが、少数でしょう。

乱雑で、汚れている環境というのは、衛生的な理由で、心と体に負担をかけます。
同時に、単純に安全上の問題もあるのです。

単純に、とても危険なのです。

危険について、汚部屋で考えてみましょう。
ゴミ袋がたくさん積み上がり、脱いだままの服や物が乱雑に積み重なり、足の踏み場もない。
座るスペースはかろうじてベッドの上の半分くらいだけ。

さて、この状態だと、おそらく部屋の入口から飛び石のようにベッドまで移動するでしょう。
その道中で、硬くて尖ったものを踏む、足をぶつける、転ぶ、荷物の山に手を突っ込んだら、ハサミが開いたままあって手を切るなど、ありとあらゆる怪我の可能性があります。
荷物が積み重なって、目隠しになった下に、何が潜んでいるのかわからないのです。

片付けられていない状態は、それだけで危険度は増すと言えます。

そしてこのような環境を作り出してしまう、ズボラやずさんは、危険を生み出しているとも言えます。

自分の部屋の中で、自分しか生活しないのであれば、怪我をしようが自己責任といえます。

しかし、仕事でこのような環境を作り出してしまうと、一緒に仕事をする人たちや、周囲に済んでいる人などの第三者も巻き込みかねません。

つまり片付けないことは、自分だけでなく、周りの人も危険にさらしているのです。
片付けないことは、人を危険にさらしているということも、理解しておかなければなりません。

前置きが長くなってしまったのですが、今月の安全教育のテーマは、「4S」についてです。

4Sというのは、安全衛生活動では基本となるものなので、耳にしたことはあるでしょうが、「整理」、「整頓」、「清掃」、「清潔」の頭文字をとったものです。

何となく意味はわかるでしょうが、それぞれが何を意味しているのかは、じっくり考えたことはなかったしませんか?
特に、「整理」と「整頓」はセットにされることが多いので、それぞれ違う意味だということを、案外知らないこともあるのですが、いかがでしょう?

それぞれの内容を確認してみます。

「整理」
必要なものと不要なものを分け、不要なものを捨てる。

「整頓」
必要な物がいつでもすぐに取り出せるように、収納する。

「清掃」
身の回りや作業場、衣類などにゴミや汚れがあれば、取り除く。

「清潔」
常に整理、整頓、清掃を継続し、衛生的で快適な状態を維持する。


4Sは、これらのことを常にやろうという活動なのです。

整理と整頓は、同じように扱われますが、意味が異なるんですね。
順番としては、整理の後に整頓が来るのです。

この4S活動は、特別なことではありません。
家庭では、常日頃行われていることでしょう。

なぜ、これが重要視されるのでしょうか?

その理由として、まず不要なものがないので、間違えることが少なくなります。
機械であれば、誤操作や誤作動なども、整理されている環境下では、勘違いが減るので、起こりにくくなります。

また、あちこち障害物のように、道具や荷物が置かれていない環境ですと、つまづいたり、ぶつかったりする危険も減ります。

そして、乱雑で無秩序な環境で仕事をしていると、作業者のモラルが低下します。
環境が手抜き、いい加減、ショートカットを許してしまうのです。

機械であれば、所定の安全措置をとらずに、近づいて修理する。
粉砕機に材料を入れる時に、治具を使うことになっているのに、手で入れる。
マニュアルを決めていても、無視する環境を作るのです。

ゴミだらけの作業場なのに、仕事の手順はきっちりというのは、想像しにくいでしょう。

安全上の問題だけでなく、品質面にも影響があります。
マクドナルドが、中国で生産していたチキンナゲットが問題になったことは、記憶に新しいと思います。
あのように、ずさんで、不正性な状態で食品を作っていて、誰が買いたいと思うでしょうか。

さらに、道具1つ使うにしても、必要なものがすぐに見つからないとなると、作業効率も低下します。

乱雑で不衛生な環境は、何一つメリットがないのです。

安全で、高品質、効率よく作業するためには、4Sが欠かせないのです。

4Sは、誰でもできて、効果のあることです。
仕事の質の差は、この4Sができるかどうかが多大な影響を与えているのです。

トヨタはトヨタ式という生産システムを持っています。
ラインで使用する工具1つ1つを選定し、徹底して不要を排除する。
この徹底した4Sが、高品質の車を作っており、1つのモデルとして参考にされているのです。

4Sはすぐに誰でもできます。
同時に、たやすく後回しや放置されるものでもあるのです。


高度な知識や技術は、誰しもが持てるものではないので、重要視されます。
一方、たやすくできることは、どうしても軽んじられます。

しかし仕事というトータルで見ると、どちらも同じくらい大切なものです。

仕事は個人プレーではなく、組織的なチームプレーでもあります。
自分を含めた組織が、うまく動くことは、どれほど価値のあることか。
たかが整理整頓や清掃で、その価値を生み出せるのですから、費用対効果は安いものです。

4Sは安全や品質面で価値ある活動なのです。

梱包材や、端材、使えなくなったものなど不要なものを捨てましょう。
いつか使うからもったいないと思った物が、再度活躍する機会は、非常にマレです。
迷ったら捨てると考えても、差し支えありません。

片付けたものは、安全に分かりやすく、取り出しやすいようにまとめましょう。
とにかく片っ端から、収納箱に突っ込むと、次取り出せません。
決まった場所に入れることなど、ものの数秒でできます。
その手間を惜しんだら、次使う時に数分を失います。

掃除しましょう。
後で掃除しようは、二度とその機会が訪れなくすることです。
気がついた時にゴミを捨てる。
もしくは、毎日仕事終わりには、きれいにする。

清潔にしましょう。
汚れたままの服で仕事すると、体に悪いです。
材料や道具が汚れたままだと、作業する度に、あちこちを汚しますし、最終的な製品も低品質です。

品質の悪いものを作ってしまうと、破棄したり、やり直したり、コストが掛かってしまいます。

4S活動は、毎日できますよね。
特別な技術も必要ありませんよね。
たったこれだけのことで、安全で衛生的になり、品質も向上し、コスト削減にもなるのです。

また、4Sを実施は、周りの人に対する思いやることでもあるのです。
これについては、もう1つの「S」も関わってくるのですが、周りの人の安全も守ることができます。
片付けてないと次使う人が困るだろうな、といった想像と思いやりが、4S活動の核心だと言えます。


4Sをスローガンに掲げている事業所は多いでしょう。

しかし、スローガンだけで終わっていませんでしょうか?
本当に実施し、徹底されているでしょうか?

4Sで大切なのは、日々徹底することです。
気が向いた時ではダメなのです。


1年を通して、常に実施する安全活動。
4Sは、全ての安全活動の基本です。

明日の朝、職場の自分の作業場所が、きちんと整えられていたら、気持ちよくありませんか?

そのために、今日はきちんと整理、整頓、清掃、清潔しましたか?

溜めれば時間がかかりますが、毎日やれば、ほんの短時間でできることです。

今日もあなたと周りの人のためにも、4Sしていきましょう。


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