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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

除雪作業の時、用水路に流されてしまう事故

      2016/02/14

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冬場になると、どうしてもつきまとうものが雪です。

この冬も北海道や日本海側を中心に、吹雪や大雪になっているだけでなく、徳島などでも大雪になり、被害をもたらしました。

雪が積ったままにしておくと、道路は封鎖され通行できなくなります。
家の屋根に雪が大量に積もると、その重みで家が崩れてしまうこともあります。

そのため除雪作業を行うわけですが、道路であれば、除雪車が活躍します。
しかし屋根の上や家の周りは、自分でやるしかありません。

屋根の雪下ろし作業では、毎年足を滑らせるなどして、転落する事故があります。
特にお年寄りが雪下ろしをしていて、転落するというのは、よくニュースで見ます。

仕事ではないので、墜落・転落防止のための安全対策は行われにくいようです。
屋根の雪下ろしでは、ほとんど親綱などの設け、安全帯を着用するなどは、少ないようです。

傾斜した屋根の上で、雪で滑りやすい状況なのですから、墜落する危険はかなり高いです。
しかし、危険を危険なままの状態にして、作業をしているのが現状です。

家や道路も雪による危険は高まるのですが、それ以外にも雪が積もって危険が高まる場所があります。

特に用水路や池の付近では、境を隠してしまい、何気なく歩いていたら、水路などに落ちてしまうということもあるのです。

しかも水路であれば、雪が水の流れをせき止めてしまい、道路に溢れさせてしまうこともあります。
溢れだした水は、凍結し、スリップ事故などの二次被害を起こしてしまいます。

用水路などは、公共物なので、市職員や消防などが対応しますが、除雪の危険は屋根降ろしの時と同じようにつきまとってしまうのです。

除雪作業は、足元を見えなくすること、滑りやすくなることなど、危険がつきまとう作業なのです。
さらに基本的には、雪が降っているという悪天候の中での作業なので、危険はさらに高まるのです。

先日、そのような除雪作業中に、事故があり、1人の方が心肺停止となりました。

今回は、除雪作業中の事故について、原因と対策を検討してみたいと思います。

除雪作業の消防士が心肺停止 富山・黒部市
(平成26年12月18日)

18日午後3時10分ごろ、富山県黒部市宇奈月町浦山で、用水路で除雪していた宇奈月消防署の消防士ら2人が流された。魚谷さんは約130メートル下流の水中で見つかったが、心肺停止。もう1人は自力ではい上がった。

黒部署によると、用水路はコンクリート製で深さ約1メートル、幅約75センチ。同日午後2時半ごろ「水があふれた」と通報があり、消防士3人で用水路の雪を取り除いていた。

用水路に入り、雪を外にかき出していた際、突然流れてきた大量の水に押し流されたとみられる。周辺には約50センチの高さで雪が積もっていた。

産経新聞(記事リンク切れ)

この事故の型は「その他」で、起因物は「雪・水」です。

大量の雪や水が押し寄せてきたということなので、激突されともことなりますし、水中に墜落して溺れたわけでもないので、その他と分類しました。

用水路の中で、せき止めている雪を外に出す作業を行っていた際の事故でした。

深さが1メートルで、幅が75センチくらいの水路とのことなので、外から雪を掻き出すには深すぎ、胸辺りまでの入り込んでいたと思われます。
水路の脇には、50センチくらいまで積雪していたので、もうすっぽり中に入っての作業と言ってもいい状態でした。

大量の雪や水が流れてきたのは、上流でも雪のせき止めがあったものが崩れた、もしくは用水路の側に積もった雪がまとめて落ちたのでしょうか。
突然、流れてきたものでは、逃れるすべがなかったでしょう。

洪水などでも、腰までの高さの水が押し寄せてくると、まず助からないとのことです。
この時、消防士に襲いかかってきたものは、腰までではないにしても、足をすくい、押し流すには十分な水量だったでしょう。

流された2人のうち、1人は自力で用水路から這い出しましたが、もう1人の方は130メートルも流されてしまったのです。

雪が降る中の水です。とてつもなく冷たかったでしょう。発見された時には心肺停止状態で、搬送されたのでした。

このような事故は、雪が降るといつでも起こる可能性があります。

雪は道路を封鎖し、家を押しつぶすなど以外にも、除雪時の二次災害ももたらす可能性があるのです。

これらのことを踏まえて、原因を推測してみます。

1.除雪箇所より上流の水路の様子が確認できていなかったこと。
2.上流からの雪を防ぐ措置をとっていなかったこと。
3.流される対策をとっていなかったこと。
4.事前にKYなどを行っていなかったこと。


緊急性を要した作業であり、十分に準備ができていなかったのではと推測されます。
おそらく、消防もあちこちの現場で対応しており、1箇所に当てられる人員も限られていたものと思われます。

余裕があるならば、事前に上流の様子を調査する、上流からの雪を防ぐための柵を設ける、救命胴衣を着用し、安全帯を付けられる杭を打ち、親綱を張るなどの対策も考えられたかもしれません。

十分な危険予知や対策がないことが、この事故を大きくしてしまったものと思われます。

この事故の対策を検討してみます。

1.事前に作業場所の上流を確認し、せき止めを崩す、崩れそうな場所などを取り除くなどを行う。
2.雪が押し寄せてきても、止めるせきを設けるなどの措置をとる。
3.親綱を張り安全帯を着用する、救命胴衣を着用する保護具を着用する。
4.作業場所のすぐ下流に、流されないような柵を設ける。
5.危険ポイントなどを把握する。


作業前に危険箇所を取り除く、仮に大量の雪が押し寄せてきても、防ぐまたは、流されないようにするなどの対策が考えられます。

雪が降る中、緊急性の高い作業ですので、どうしても準備万端とはならないでしょう。
それでも、どのような危険が考えられるか、危険に対してどのような対策をとるのかといった危険予知を行っておくと、いざという時に少し冷静に行動ができるようになります。

対策が不足していると分かっている時は、せめてKYは行っておくのがよいですね。

まだまだ雪のシーズンは始まったばかりです。
今回の事故事例のように、用水路で流される事故のほか、水路に転落する、屋根の雪を降ろしの時に墜落する事故などが、起こってしまいます。

どうしても足元が見えない、滑りやすい、つまづきやすいなど悪条件の作業になります。
家を守るために、自分が怪我をしては意味がありません。

きちんとヘルメットや安全帯を着用するなど、身を守りながらの作業が何よりも大切なのです。

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