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タイヤの空気入れに、ご注意!タイヤの破裂で死亡事故。

      2015/10/31

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車の事故です。
車の事故といえば、まず交通事故が思い浮かびますね。

人身事故、物損事故など、車と人や物が接触することによって起こる事故です。

車の免許をお持ちの方であれば、講習などで事故の映像を目にするでしょう。
またその他にニュースや、警察に密着した番組などで事故映像も目にします。

巨大な鉄の塊、重さが数百キロから数トンに及ぶ重量のものが、加速をつけてぶつかるのですから、当たられた方としては、ひとたまりもありません。

そんな車を支えているのは4本のタイヤです。
大型トラックなどでは、後輪は2本並んでいたりするので、6本や8本のタイヤです。

実はこの接地面積というと、各タイヤはがき1枚程度の大きさなのだそうです。
意外と小さいですよね。

重い重量を小さな接地面積で支えているのです。
タイヤに掛かる荷重は相当のものでしょう。

タイヤの内部には、そんな荷重を支えるために、高い圧力がかかった空気が詰め込まれています。
荷重を圧力で支えているのです。

タイヤを手で触ったことはあると思いますが、少しもへこみませんよね?
蹴ってもびくともしません。
表面のゴムは、カチカチといってもいいですよね。

そんなタイヤですから、空気は家庭で入れるのは困難です。
自転車の空気入れでは、全く無理です。そもそも差口が合いません。

空気圧が小さくなると、燃費の良し悪しだけでなく、パンクの危険もあります。
どうやって空気補充するかというと、ガソリンスタンドなどで入れてもらうのが一般的ではないでしょうか。

実はこの車のタイヤの空気入れは、危険と隣り合わせなのです。
どんな危険かというと、タイヤの破裂です。

入れ方を間違えてしまうと、破裂事故になるのです。

今回は、タイヤの空気入れで起こった事故事例を紹介します。

ガソリンスタンドでタイヤ破裂、空気入れていた男性店員が死亡 滋賀・甲賀(平成26年12月22日)

22日午後4時50分ごろ、滋賀県甲賀市水口町北脇、国道1号沿いのガソリンスタンドで、店員が、大型トラックのタイヤに空気を入れていたところ、タイヤが破裂。その衝撃であおむけに倒れて意識がなくなり、搬送先の病院で死亡が確認された。

滋賀県警甲賀署によると、死因は破裂の衝撃による「大動脈解離」とみられる。当時、ガソリンスタンドには店員や客ら数人がいたが、他にけが人はなかった。同署で事故原因を詳しく調べている。

 同署によると、被災者はトラック助手席側の後輪タイヤ(直径80センチ)に、空気をエアコンプレッサーで入れていて、タイヤが突然破裂。音を聞いて駆けつけた別の男性店員が、あおむけに倒れている被災者を見つけ、119番通報した。

産経新聞 (元の記事が削除されたようです。)

この事故の型は「破裂」で、起因物は「車(タイヤ)」です。

年末に起きた事故でした。
年末になると、あちこちが忙しなくなります。

年内にできることは、なるべく終わらせ、気持ちよく新年を迎えたいという気持ちが働くようです。

ガソリンスタンドも、年内に洗う、ガソリンを入れておく、タイヤ交換などで、活気づくようです。
そんな中で起こった事故でした。

車のタイヤは、人力で入れるのは困難です。
理由は、非常に高い圧力であること、容積が大きいからです。

夏に海で、ビニルの浮き輪やボートをふくらませる経験はないでしょうか?
口で吹き込むと頭がクラクラしますし、足踏みポンプでも相当時間がかかります。

浮き輪などは高い圧力を必要としません。そんなでも、一苦労なのです。
車のタイヤに至っては、その何倍もの容積を、何倍もの圧力をかけて、空気を入れるのです。

そのためコンプレッサーという、圧縮空気を送り込む機械を使用します。

コンプレッサーを使うと、短い時間で一定の圧力をかけることができるのです。

事故はコンプレッサーで空気を入れている時に、起きました。
タイヤが破裂してしまったのです。

タイヤ内のチューブに詰め込まれていた高圧の空気は、破裂と同時に一気に吹き出し、人を吹き飛ばします。
その力は同時に、人体内部を損傷させ、作業者を死に至らしめてしまったのです。

車のタイヤはワイヤーが入っていて相当丈夫ですよね。
それが破裂するのですから、どれほど大きな力だったかは想像できるのではないでしょうか。

では、なぜ破裂したのでしょうか?

記事には原因までは書かれていませんが、可能性は2つありそうです。

1つは、内部のチューブがタイヤとホイールの間に噛み込み、空気を入れることによって、圧迫され破裂したこと。

チューブ交換時に、チューブがきちんと所定の位置に収まっていないのが原因で起こる事故です。
自転車を乗る人であれば、チューブ交換時によくやってしまうのではないでしょうか。

もう1つは、空気を入れすぎたこと。

これは単純に規定圧力以上に、空気を入れ、タイヤが圧力に耐え切れず、破裂したものです。

コンプレッサーには安全装置や圧力計が付いているのですが、これを見ていなかったのか、機能していなかったのか、過剰に入れてしまうと、弾けるのです。

直接原因としては、これらが考えられるのではと思います。

さて、以上のことを踏まえて、事故原因を推測してみます。

1.タイヤのチューブ交換時、チューブがタイヤとホイールに噛みこんでいたこと。
2.規定の圧力以上の空気を入れたこと。
3.コンプレッサーが整備されていなかったこと。
4.資格を持たないものが作業していたこと。


直接原因としては、チューブの噛み込みか空気の入れ過ぎかなのではと推測されます。

その他間接的な原因として、使用したコンプレッサーの圧力計が壊れていた、規定圧力になると停止する安全装置がなかったというのもあるのではと思います。

安全装置もですが、圧力計が壊れていたならば、不注意ではすまないですよね。
どれだけ入れたのかがわからないのは、怖すぎます。

きちんとした設備だったかも重要です。

さて、実は車のタイヤに空気を入れるのには、資格が必要なのです。

正確には特別教育を修了しないと、やってはいけないのです。
扱いとしては、車のタイヤの空気入れは、チェーンソーなどと同じ扱いなのです。

なぜ特別教育が必要かというと、わかりますよね。
この事例のような事故が起こってしまうからです。

被災者が、もし特別教育を受けていなかったならば、危険性を分からずに仕事をしていたことになります。

1と2は作業者による原因ですが、3と4は事業者に責任があります。

これらのことを踏まえて、対策を検討してみます。

1.チューブ交換時は、全周にわたって噛み込みが無いかを確認する。
2.圧力は規定値まで入れる。
3.コンプレッサーの圧力計や安全装置が正しく機能するように、整備する。
4.有資格者に作業させる。


チューブの噛み込みは、タイヤをぐるっと一周確認します。
もし噛み込みがあれば、空気を入れている時に、分かりますので、すぐに中止して、やり直しましょう。

空気の入れ過ぎは、安全装置だけでなく、圧力計を見ながら確認します。
決してよそ見をしながら、空気を入れてはいけません。

規定の圧力まで空気を入れるためには、何よりもコンプレッサーが正常でなければなりません。

空気圧なんて触った感覚でやればいいのだというのは、違いますよね。

設備が正常でなければ、事故を招くので、点検と整備は大事です。

さらに、作業する人には特別教育を受けさせましょう。
事業者は、特別教育を受けた人以外に、作業させてはいけません。

頻繁に行われている作業ですが、実は危険な作業なのです。

また、忙しくなると、同時にあれこれ作業をしながらということはあるでしょう。
しかし、目を離すと危険なものについては、しっかり集中しましょう。

事業者は、ここはしっかり確認な!と注意することが大事です。

冬が過ぎ、春がくると、雪が多い地方では、冬タイヤから普通タイヤに取り替えます。
タイヤ交換時には、空気の補充もあるでしょう。

たかが空気入れですが、されど空気入れです。
タイヤ破裂の可能性も増えますので、注意して、作業しましょう。

 

(追記)平成27年10月31日
コメントでご指摘があり、記事に追加します。

空気の補充については、資格を必要としますが、これはホイールにタイヤやチューブを組み込んでから、空気を入れる場合です。つまり最初の空気入れは資格が必要です。

一方、ガソリンスタンドなどでは、空気圧をチェックし、減っていれば入れますよね。これは「空気の調整・補正」作業で、必ずしも資格を必要としません。
資格は必要としませんが、車のタイヤは高圧です。補充だけとはいえ、入れすぎると爆発するかもしれませんので、作業時には注意が必要ですね。

こちらのサイトに書かれている内容を参考としました。
セーフティレターズブログ「ガソリンスタンドでの空気圧の調整作業」

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