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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

通路と足場 その5。 足場の材料

      2015/06/23

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2メートル以上の高所で作業する時には、作業床が必要になります。

作業床とは、いわゆる作業するために歩いたり、踏ん張ったりすることができるスペースのことを言います。
作業床を設けるには、それを支える支柱や土台が必要になります。

作業床や支柱などを全てまとめた設備のことを、一般に足場と言います。
足場を組むというと、作業床を設けることを指します。
足場作業というと、作業床を設けて、高所作業を行うということを指します。

今回から、足場についての規定をまとめていきます。

ビル工事などでは、ビルに接して足場が組まれているのは見かけることも多いのではないでしょうか。

この足場作業は、地上よりも高い所でも作業する目的です。
高い場所での作業なので、最も注意しすべきことは、墜落や転落です。

この墜落や転落事故が非常に多く、今も昔も死亡事故では第1位です。

足場の規定は、何よりも墜落や転落を防止すること、そのために簡単には壊れないような構造にすることが求められます。

足場についての規定は、安衛則にまとめられていますので、少しずつ見て行きましょう。

【安衛則】

第2節 足場

第1款 材料等

(材料等)
第559条
事業者は、足場の材料については、著しい損傷、変形又は
腐食のあるものを使用してはならない。

2 事業者は、足場に使用する木材については、強度上の
  著しい欠点となる割れ、虫食い、節、繊維の傾斜等がなく、
  かつ、木皮を取り除いたものでなければ、使用してはならない。

一般的によく利用される足場は地面から上へ、上へと組み上げていくタイプのものです。

吊り橋の下側で作業する場合などでは、下から組み上げるのではなく、上から組む、吊り足場というのももあります。

足場にはいくつかの種類があるとはいえ、共通するきまりがあります。

それは、使用する材料は丈夫なものを使用することです。
損傷や変形、腐食があるようなものは使用してはいけません。


これは、組み上げた足場が使用中に壊れないようにするために必要な条件なのです。
いつ壊れるのかわからない場所では作業することはできませんね。

丸太足場というものもありますが、その場合の材料も丈夫で、危なくないものを使用します。
割れや虫食いなどがあれば、そこが弱点になり、ウィークポイントになります。
木皮が付いたままだと、通路面だと引っかかったり、滑ったりしますし、通路と反対だと、結束部の緩みの原因になります。必ず、皮を剥いだものでなければなりません。

足場を組み立てる際には、まずは材料のチェックを行うのです。

(鋼管足場に使用する鋼管等)
第560条
事業者は、鋼管足場に使用する鋼管のうち、令別表第8第1号から第3号までに
掲げる部材に係るもの以外のものについては、日本工業規格A8951(鋼管足場)に
定める単管足場用鋼管の規格(以下「単管足場用鋼管規格」という。)

又は次に定めるところに適合するものでなければ、使用してはならない。

  1)材質は、引張強さの値が370ニュートン毎平方ミリメートル以上で
   あり、かつ、伸びが、次の表の上欄に掲げる引張強さの値に応じ、
   それぞれ同表の下欄に掲げる値となるものであること。

引張強さ(単位 ニュートン毎平方ミリメートル) 伸び(単位 パーセント)
370以上 390未満 25以上
390以上 800未満 20以上
500以上 10以上

  2)肉厚は、外径の31分の1以上であること。

2 事業者は、鋼管足場に使用する附属金具については、日本工業規格
  A8951(鋼管足場)に定める附属金具の規格又は次に定めるところに
  適合するものでなければ、使用してはならない。

  1)材質(衝撃を受けるおそれのない部分に使用する部品の材質を
   除く。)は、圧延鋼材、鍛鋼品又は鋳鋼品であること。

  2)継手金具にあっては、これを用いて鋼管を支点(作業時における
   最大支点間隔の支点をいう。)間の中央で継ぎ、これに作業時の
   最大荷重を集中荷重としてかけた場合において、そのたわみ量が、
   継手がない同種の鋼管の同一条件におけるたわみ量の1.5倍以下と
   なるものであること。

  3)緊結金具にあっては、これを用いて鋼管を直角に緊結し、
   これに作業時の最大荷重の2倍の荷重をかけた場合において、
   そのすべり量が10ミリメートル以下となるものであること。

鋼管を組んで足場にする場合、使う材料はしっかり選定しなければなりません。
鋼管も継手もJIS等の規格を満たしたものを使用します。


具体的な規格値とうは、条文にありますので、再掲しませんが、これらの条件を満たした材料を使用しましょう。

ただ、組む立て作業前に、これらの規格を満たした部材なのかとチェックすることは少ないでしょうね。

足場用の部材ということで購入したら、だいたいはこの規格値を満たしたものが手に入るでしょうから、気にもしないことがおおいでしょう。

鋼管なら何でも使っていいもんじゃないというくらいで。

平成27年7月法改正部分について、追記です。

条文中の赤字が、追加部分です
 
足場の材料について、曲がったり折れたりする材質を使わないでおきましょうねということですね。
JISとか細かい仕様については、触れませんが、今手持ちの足場材が規格に適合しているかはチェックしておく必要はありますね。
(構造)
第561条
事業者は、足場については、丈夫な構造のものでなければ、使用してはならない。

材料だけでなく、足場は構造も丈夫でなければなりません。

いい加減な組み方をしてたら、危ないので、事前にどのような構造にするのかは計画を立てましょう。

足場の構造については、細かい決まりもあります。
それはまた後の条文になります。

(最大積載荷重)
第562条
事業者は、足場の構造及び材料に応じて、作業床の最大積載荷重を
定め、かつ、これをこえて積載してはならない。

2 前項の作業床の最大積載荷重は、つり足場(ゴンドラのつり足場を
  除く。以下この節において同じ。)にあっては、つりワイヤロープ
  及びつり鋼線の安全係数が10以上、つり鎖及びつりフックの
  安全係数が5以上並びにつり鋼帯並びにつり足場の下部及び上部の
  支点の安全係数が鋼材にあっては2.5以上、木材にあっては
  5以上となるように、定めなければならない。

3 事業者は、第1項の最大積載荷重を労働者に周知させなければならない。

足場は丈夫な材料、丈夫な構造であっても、地面の上やコンクリート床とは異なるので、強度にも限界があります。

最大積載荷重、つまり足場が支えられる限界の重量以上のものを載せたりすると、崩れ落ちることもあるのです。
この最大積載荷重は、足場の材料や構造によって、異なります。

必ず足場には最大積載荷重を定め、これ以上の荷重を載せてはいけません。

下から鋼管などで組み上げる足場も、あまりに重いものを載せて崩れると大変ですが、上から吊り下げる吊り足場だと、この最大積載荷重の決まりは、とても重要です。

足場が崩れると、墜落してしまいますからね。

吊り足場を支えるのは、チェーンやワイヤーなどです。
このチェーンやワイヤーはかなり太く上部なものでなければなりません。
基準として、安全係数というものがあるのですが、ワイヤーロープで10以上、チェーンでは5以上などと定め等ています。

安全係数は、直径や切断荷重、つり方などによって変わるので、計算して算出します。
どのように計算するかは、玉掛け教育などでもあるかと思うので、そちらに譲るとして、使用前には、丈夫さを確認しなければなりませんね。

(作業床)
第563条
事業者は、足場(一側足場を除く。第3号において同じ。)に
おける高さ2メートル以上の作業場所には、次に定めるところに
より、作業床を設けなければならない。

  1)床材は、支点間隔及び作業時の荷重に応じて計算した
   曲げ応力の値が、次の表の上欄に掲げる木材の種類に応じ、
   それぞれ同表の下欄に掲げる許容曲げ応力の値を超えないこと。

木材の種類 許容曲げ応力 (単位 ニュートン毎平方センチメートル)
あかまつ、くろまつ、からまつ、ひば、ひのき、 つが、べいまつ又はべいひ 1,320
すぎ、もみ、えぞまつ、とどまつ、べいすぎ 又はべいつが 1,030
かし 1,910
くり、なら、ぶな又はけやき 1,470
アピトン又はカポールをフエノール樹脂により 接着した合板 1,620

  2)つり足場の場合を除き、幅、床材間の隙間及び床材と建地との隙間は、
   次に定めるところによること

   イ 幅は、40センチメートル以上とすること。
  
   ロ 床材間の隙間は、3センチメートル以下とすること。
  
   ハ 床材と建地との隙間は、12センチメートル未満とすること。

  3)墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、
   次に掲げる足場の種類に応じて、それぞれ次に掲げる設備
  (丈夫な構造の設備であって、たわみが生ずるおそれがなく、
  かつ、著しい損傷、変形又は腐食がないものに限る。
  以下「足場用墜落防止設備」という。)を設けること。

  イ わく組足場(妻面に係る部分を除く。ロにおいて同じ。)
    次のいずれかの設備


   (1) 交さ筋かい及び高さ15センチメートル以上
     40センチメートル以下の桟若しくは高さ15センチメートル以上の
     幅木又はこれらと同等以上の機能を有する設備

   (2) 手すりわく

  ロ わく組足場以外の足場 手すり等及び中桟等

  4)腕木、布、はり、脚立その他作業床の支持物は、これにかかる
   荷重によって破壊するおそれのないものを使用すること。

  5)つり足場の場合を除き、床材は、転位し、又は脱落しないように
   2以上の支持物に取り付けること。

  6)作業のため物体が落下することにより、労働者に危険を及ぼす
   おそれのあるときは、高さ10センチメートル以上の幅木、
   メッシュシート若しくは防網又はこれらと同等以上の機能を
   有する設備(以下「幅木等」という。)を設けること。
   ただし、第3号の規定に基づき設けた設備が幅木等と同等以上の
   機能を有する場合又は作業の性質上幅木等を設けることが著しく
   困難な場合若しくは作業の必要上臨時に幅木等を取り外す場合に
   おいて、立入区域を設定したときは、この限りでない。

2 前項第2号ハの規定は、次の各号のいずれかに該当する場合であつて、
  床材と建地との隙間が12センチメートル以上の箇所に防網を張る等
  墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じたときは、
  適用しない。

  1)はり間方向における建地と床材の両端との隙間の和が
   24センチメートル未満の場合
 
  2)はり間方向における建地と床材の両端との隙間の和を
   24センチメートル未満とすることが作業の性質上困難な場合

3 第1項第3号の規定は、作業の性質上足場用墜落防止設備を
  設けることが著しく困難な場合又は作業の必要上臨時に
  足場用墜落防止設備を取り外す場合において、次の措置を
  講じたときは、適用しない。

  1)安全帯を安全に取り付けるための設備等を設け、
   かつ、労働者に安全帯を使用させる措置又はこれと
   同等以上の効果を有する措置を講ずること。

  2)前号の措置を講ずる箇所には、関係労働者以外の
   労働者を立ち入らせないこと。

 第1項第5号の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、
  適用しない。

  1)幅が20センチメートル以上、厚さが3.5センチメートル以上、
   長さが3.6メートル以上の板を床材として用い、これを作業に
   応じて移動させる場合で、次の措置を講ずるとき。

   イ 足場板は、3以上の支持物に掛け渡すこと。

   ロ 足場板の支点からの突出部の長さは、10センチメートル以上とし、
     かつ、労働者が当該突出部に足を掛けるおそれのない場合を除き、
     足場板の長さの18分の1以下とすること。

   ハ 足場板を長手方向に重ねるときは、支点の上で重ね、その重ねた
     部分の長さは、20センチメートル以上とすること。

  2)幅が30センチメートル以上、厚さが6センチメートル以上、
   長さが4メートル以上の板を床材として用い、かつ、前号ロ及び
   ハに定める措置を講ずるとき。

 労働者は、第3項の場合において、安全帯の使用を
  命じられたときは、これを使用しなければならない。

6 事業者は、第3項の規定により作業の必要上臨時に足場用墜落防止設備を
  取り外したときは、その必要がなくなつた後、直ちに当該設備を
  原状に復さなければならない。

足場設備は、作業床を設けるための設備と言えます。

その作業床は、ただ板を並べればいいというものではありません。
きちんと決まりがありますし、満たすべき基準もあるのです。

2メートルを超える高所に設けられる作業床は、材料や構造などの基準を満たさなければなりません。

なお1号に一側足場を除くとあります。
一側足場とは、「ひとかわあしば」と読みます。
この一側足場は、建地となる支柱部に、にブラケットを取り付け、その上に足場板を敷く足場を言います。
建地の反対側にも支柱を建て、支えとすることともありますが、足場を支えるのは片側の支柱というものです。
高い場所などでは向きませんが、住宅建築など、比較的低く、省スペースで設置できる足場です。

この条文は、一側足場は除くとありますので、ご注意下さい。

さて、床材は金属や木材が使われることが多いです。
木材の場合、種類ごとに強度が異なるので、基準強度を超えるもの使用しましょう。

作業床の幅は狭くては、仕事になりませんね。
幅広い作業床を設けるため、何枚かの木材を並べておくこともあります。
作業床の幅は、40センチ以上としましょう。2列に並べる場合、その隙間は3センチ以下とします。

ただし吊り足場の作業床は、隙間はあってはいけませんのでご注意下さい。

作業床に立って作業をしている場合に、何よりも注意すべきことは墜落することです。

そのため、墜落防止のための設備を設けなければなりません。

枠型足場や鋼管足場などで、少々必要とする設備は異なりますが、ほぼ同様です。

ただし、例外的に、どうしてもつけることができない状況の場合に限り、安全帯などが着用できるようにすることで、これらの設備を設けないこともできます。
あくまで例外ですけどね。

以下に設けなければならない設備をまとめます。

・(わく組足場)交さ筋交い、35センチ以上50センチ以下の中さん。
 15センチ以上の幅木。
・(わく組足場)手すり枠。
・(鋼管足場等)85センチ以上の手すりと中さん。
・腕木、布、はり等の支持物は、丈夫な接続部材を使用する。
・床材は、転位し、又は脱落しないよう2点以上の支持物で支える。
・墜落防止ために、10センチ以上の幅木。メッシュシートや防網など。


床材は2点以上で支持物に固定しなければなりませんが、一部の条件では除外されます。
それは床材を1箇所に固定するのではなく、移動させながら使用する場合です。
足場の組立などでは、足場組立のための作業床を設けることもあるので、そのような場合も含みます。

移動させながら使用する足場の使用条件は次のとおりです。

・幅20センチ以上、厚さ3.5センチ以上、長さ3.6メートル以上作業床を使用する場合
 ただし次の通りの条件を満たします。
 1.作業床は、3点以上掛ける。
 2.足場の突出部の長さを一定以上とする。
 3.足場の重ねた長さは、20センチ以上とする。

・幅30センチ以上、厚さ6センチ以上、長さ4メートル以上作業床を使用する場合
 この場合も、上記の2と3を満たさなければなりません。


固定しない分、確実に落下せず、ガタガタしないような構造が求められるのですね。

さて、今までは部材や構造についてですが、作業者は安全帯着用を忘れてはいけません。
特に、手すりなどを設けられない場合は、必ず着用しましょう。


平成27年7月法改正部分について、追記です。

条文中の赤字が、追加部分です
足場の構造について、細かく規定した条文です。
着色している箇所は多いものの、ほとんどは今までの構造と同様です。
最も大きな改正ポイントは、第1項2号のハです。
ハ 床材と建地との隙間は、12センチメートル未満とすること。」
 
ここですね。
今までは、作業床本体については、幅が40センチ以上、2枚並べる時は隙間を3センチ以下というのはありました。
しかし、作業床の隙間は他にもあったんです。
それが、床材、つまり作業床と建地の隙間です。
建地というのは、垂直に建つ棒、いわば柱になっている部分です。
この建地の間に、ハリに当たる腕木という横棒を置き、布の間に床材を置き、固定します。
床材と建地には若干の隙間ができてしまいます。
規制がないので、今までだったら、40センチも50センチも開いていたとしても、OKでした。
しかし、広い隙間がある場所は、人はすっぽりはまる危険がありますよね。
実際に床材と建地の隙間から、墜落したという事故もありました。
見過ごされていた部分ですね。
そのため、隙間を狭くして、人が入らないようにしましょうというのが、この法改正です。
中には、今まで使っていた床材や建地が使えないという足場屋さんもあるかもしれません。
しかし大きな隙間は、危険を伴うので、これを機に替えた方がよさそうです。


足場の部材や作業床は、人が乗ったり作業するので、強度が求められます。

安心して作業するためには、まずは足場からといいますが、文字通り強固な足場が必要になるわけですね。

まとめ。

【安衛則】

第559条
足場の材料については、著しい損傷、変形または腐食のあるものを使用してはならない。
第560条
鋼管足場に使用する鋼管については、十分な強度を持ったものを使用しなければならない。
第561条
足場については、丈夫な構造のものでなければ、使用してはならない。
第562条
足場の構造及び材料に応じて、作業床の最大積載荷重を定め、これをこえて積載してはならない。
第563条
高さ2メートル以上の作業場所には、作業床を設けなければならない。
作業床は、適当な強度や構造、設備を設けなければならない。

 

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