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酸欠作業 その5。 ボーリング、消火設備、冷蔵庫、溶接の酸欠対策

      2015/05/30

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酸欠になりやすい環境や作業というものがあります。

特に起こりやすいのが空気の循環のない閉鎖された場所です。

四方を囲われ出入口が一箇所しかないような部屋や空間、トンネルの中などが、酸欠の起こりやすい環境と言えます。
また酸素を大量に消費したり、ガスを噴出させる作業なども、作業者付近の酸欠を起こりやすくなります。

特に酸欠の危険性が高い作業について、酸欠防止のため規定があります。

それぞれ特殊な作業で注意しなければならないことになります。

これらについても、酸欠則にまとめられています。

【酸素欠乏症等防止規則】

第3章 特殊な作業における防止措置

(ボーリング等)
第18条
事業者は、ずい道その他坑を掘削する作業に労働者を
従事させる場合で、メタン又は炭酸ガスの突出により
労働者が酸素欠乏症にかかるおそれのあるときは、
あらかじめ、作業を行なう場所及びその周辺について、
メタン又は炭酸ガスの有無及び状態をボーリングその他
適当な方法により調査し、その結果に基づいて、
メタン又は炭酸ガスの処理の方法並びに掘削の時期
及び順序を定め、当該定めにより作業を
行なわなければならない。


ボーリングとは、地面に対して垂直に深く穴を掘ることです。
地層や地質の調査で行われる事が多いです。

仕事によっては、地中で行う作業もあります。
トンネル作業や、鉱山の仕事などは、地中での作業になります。

地中では、地盤の落下の危険がありますが、もう1つ注意しなければならないのが、ガスの噴出による酸欠や中毒です。

地中には、ガスが溜まっていることが多いのです。
もし作業中、ガスが噴出してきたとしても、地上に避難するまで時間がかかり、被害に合う可能性が高いのです。

トンネルなどの地中で行う作業を行うには、事前にボーリング調査などを行って、地中に含まれるガスの状態を調べなければなりません。
この調査結果を元に、作業の計画を立てるのです。

事前に調査しておくと、しておかないとでは、対処が変わってしまいます。

安全に作業するためには、事前のボーリング調査は必ず行わなければなりません。

(消火設備等に係る措置)
第19条
事業者は、地下室、機関室、船倉その他通風が不十分な場所に
備える消火器又は消火設備で炭酸ガスを使用するものについては、
次の措置を講じなければならない。

  1)労働者が誤って接触したことにより、容易に転倒し、
   又はハンドルが容易に作動することのないようにすること。

  2)みだりに作動させることを禁止し、かつ、
   その旨を見やすい箇所に表示すること。


最も身近な消火設備としては、消火器ではないでしょうか。
事務所であれば、必ず設置が義務付けられているので、見たことはあるでしょう。

消火器にはいくつか種類があります。
火を消すためのものですが、それが紙や木材、油、電気なのかで成分が異なります。

種類は消火器に表示されていますが、ほとんどはA火災という紙や木材など一般用です。

B種の油、C種の電気は、特にそれらの火災の可能性がある場所に置かれます。

A火災用の消火器は使ったところを見たことがあるかもしれませんが、粉を噴出して消火します。
B種は油火災を消すための、特殊な液体が噴出します。
そして、C種は粉や液体をふりかけると、それらで通電してしまうので、使えません。そのためガスで消します。

このガスは炭酸ガスなど人体に付着しても、無害なものではありますが、周りの二酸化炭素濃度を急激に上昇させます。
二酸化炭素濃度が高くなると、呼吸できなってしまいますね。

屋外や広い場所であれば、支障はありませんが、四方が囲われている狭く、換気が行われにくい場所では危険ですよね。

もし火災が起こった場合は、空気呼吸器などの対応をして、使用できます。
危険を承知するので準備もできます。

しかし、平時にガスが噴出してしまうと、何の備えもなく巻き込まれてしまいます。

通風が充分でない場所での消火設備は、意図せずガスが噴出しないように、倒れたり、知らずに触れてガス漏れを起こさないようにします。
勝手に手に触れないように、全員に知らせなければなりません。


備えは大事ですが、それが命取りになることは避けなければなりません。

(冷蔵室等に係る措置)
第20条
事業者は、冷蔵室、冷凍室、むろその他密閉して使用する施設
又は設備の内部における作業に労働者を従事させる場合は、
労働者が作業している間、当該施設又は設備の出入口の扉
又はふたが締まらないような措置を講じなければならない。
ただし、当該施設若しくは設備の出入口の扉若しくは
ふたが内部から容易に開くことができる構造のものである場合
又は当該施設若しくは設備の内部に通報装置
若しくは警報装置が設けられている場合は、この限りでない。


冷蔵庫などのような密閉した空間も酸欠事故が起こりやすい環境です。

映画や漫画などでも、金庫や冷蔵庫などに閉じ込められた人を救出するために、必死に解錠しようとするのは、よくあるシチュエーションではないでしょうか。

O・ヘンリの「よみがえった改心」などは、まさにこういった状況ですね。

密閉され、空気の循環がない場所は、酸素を使い果たせば、終わります。
何かの拍子で、閉じ込められてしまったら、危険なのです。

冷蔵庫などの密閉空間で作業する場合は、出入口を確実に確保しなければなりません。
閉じてしまっても、内部から開くようにしなければなりません。
もし、内部から開けられない構造であれば、通報装置や外部への連絡手段が必要です。


閉じ込められないようにする、閉じ込められても容易に脱出するようにしなければなりません。

(溶接に係る措置)
第21条
事業者は、タンク、ボイラー又は反応塔の内部その他通風が
不十分な場所において、アルゴン、炭酸ガス又はへリウムを
使用して行なう溶接の作業に労働者を従事させるときは、
次の各号のいずれかの措置を講じなければならない。

  1)作業を行なう場所の空気中の酸素の濃度を
   18パーセント以上に保つように換気すること。

  2)労働者に空気呼吸器等を使用させること。

2 第7条の規定は、前項第2号の空気呼吸器等
  について準用する。

3 労働者は、第1項第2号の場合において、空気呼吸器等の
  使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。


溶接作業では、ガスを用いて行うものもあります。

ガスを噴出するのですから、先の消火器のようにガスを充満させ、酸素の吸入を妨げます。

こちらも屋外や広い場所であれば、常に新たな空気が周りにあるので、支障はありません。

しかしタンクやボイラー等の内部は、空気が送り込まれない場所だと危険です。

通風の悪い場所でのガス溶接作業は、換気や空気呼吸器の着用を行わなければなりません。

換気を行って、酸素濃度は常に18%以上確保します。
換気が難しい場合は、送風マスクなどの呼吸器を使用します。

溶接するのに、あれこれ装備を背負い大変な作業になります。
しかしこれを怠ってしまうと、作業中に倒れてしまうこともあるので、重く面倒でも、確実に呼吸器を着用します。

作業の中には、酸欠の危険がどうしても避けられないものもあります。

そのような場合でも、事前調査と準備によって、その危険性を低下させます。

少し油断をすると意識をなくしてしまうのですから、事前の防止対策が重要だと言えますね。

まとめ。

【酸素欠乏症等防止規則】

第18条
ずい道その他坑を掘削する作業にでは、噴出するガスの対策を行わなければならない。
第19条
地下室などの換気が不十分な場所に備える消火器等の設備では、転倒させず、みだりに振れないように注意しなければならない。
第20条
冷蔵室等で作業を行う場合は、出入口を確保し、容易に開くようにしておかなければならない。
第21条
タンク内など通風が不十分な場所において、溶接作業を行わせる場合は、酸素濃度を保つよう換気する、空気呼吸器を備えるなどの措置をとらなければならない。

 

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