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酸欠作業 その7。 圧気工法、地下室、下水作業など特殊環境下の酸欠防止

      2015/05/30

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特殊な環境下では、それ特有の危険があります。

閉塞した空間の中で、最も重要なものは、空気の確保になります。
通風が十分でなければ、限られた酸素しかなく、空気の流入がなければ、あっという間に、酸素を使い果たし、酸欠に至ります。

先に、トンネル内や冷蔵庫内での酸欠防止作業について、まとめました。
これら以外にも特殊な環境下で、酸欠のおそれのある作業もあります。

圧気工法など十分に危険性を理解し、作業に当たることが求められる作業もあります。

これら特殊環境での作業についても、酸欠則で規定しています。

【酸素欠乏症等防止規則】

(圧気工法に係る措置)
第24条
事業者は、令別表第6第1号イ若しくはロに掲げる地層が
存在する箇所又はこれに隣接する箇所において圧気工法に
よる作業を行うときは、適時、当該作業により酸素欠乏の
空気が漏出するおそれのある井戸又は配管について、
空気の漏出の有無、その程度及びその空気中の酸素の
濃度を調査しなければならない。

2 事業者は、前項の調査の結果、酸素欠乏の空気が
  漏出しているときは、その旨を関係者に通知し、
  酸素欠乏症の発生を防止するための方法を教示し、
  酸素欠乏の空気が漏出している場所への立入りを
  禁止する等必要な措置を講じなければならない。


安衛令別表第6は酸欠危険場所についてまとめられています。
第1号のイとロは、次のような場所です。


1)次の地層に接し、又は通ずる井戸等(井戸、井筒、たて坑、ずい道、潜函、ピットその他これらに類するものをいう。次号において同じ。)の内部(次号に掲げる場所を除く。)

イ 上層に不透水層がある砂れき層のうち含水若しくは湧水がなく、又は少ない部分

ロ 第一鉄塩類又は第一マンガン塩類を含有している地層



水気がない場所、特定の物質を含んだ地層に接した場所で、圧気工法を行う場合の注意です。

圧気工法とは、地上よりも高い圧力をかけた場所での作業ということです。
これは地中や水中で、作業を行う場合に行われる工法です。
内圧を高め、周りに押し出す力をもたせ、作業場に水や土が流れ込まないようにするのです。

そのような環境なので、当然閉塞している空間です。
出入りに際しても、高圧力に体をならすための減圧室があります。
通風をよくすると圧力を維持できないので、空気配管を通じて行います。

まさに完全閉塞空間といえます。
隙間が命取りになるので、全くありません。

当然、酸素濃度が重要です。
周りの土壌に鉄やマンガンがあれば、酸化して、酸素を消費してしまいます。
また水気がない土壌であれば、土と土の隙間にどんどん空気がいってしまいます。

このような場所で圧気工法を行う場合は、酸素濃度を常に確認しておかなければなりません。

異常が発生したら、退避させ、対応する必要があります。
しかし圧気工法では、減圧などの時間が必要になるため、すぐに退避することができません。

常に酸素濃度を把握し、対処も備えておくことが、圧気環境下での作業者を守るために必要なことなのです。

(地下室等に係る措置)
第25条
事業者は、令別表第6第1号イ若しくはロに掲げる地層に
接し、又は当該地層に通ずる井戸若しくは配管が
設けられている地下室、ピット等の内部における作業に
労働者を従事させるときは、酸素欠乏の空気が
漏出するおそれのある箇所を閉そくし、酸素欠乏の空気を
直接外部へ放出することができる設備を設ける等酸素欠乏の
空気が作業を行なう場所に流入することを
防止するための措置を講じなければならない。


井戸の底や地下やピット内などの閉塞した環境で、周りの土壌が酸素を消費したり、空気を漏出したりする場所では、酸素が失われるのを防がなければなりません。

そのような場所では、換気を行うとともに、周りの土壌に空気が逃れないようにしなければなりません。
また酸欠状態の空気を排出する場合、その空気が別の作業場に流れ込まないようにします。

限られた空気と酸素なのですから、換気もですが、これをきちんと確保することが大事です。

(設備の改造等の作業)
第25条の2
事業者は、し尿、腐泥、汚水、パルプ液その他腐敗し、
若しくは分解しやすい物質を入れてあり、
若しくは入れたことのあるポンプ若しくは配管等
又はこれらに附属する設備の改造、修理、清掃等を
行う場合において、これらの設備を分解する作業に
労働者を従事させるときは、次の措置を講じなければならない。

  1)作業の方法及び順序を決定し、あらかじめ、
   これらを作業に従事する労働者に周知させること。

  2)硫化水素中毒の防止について必要な知識を有する者の
   うちから指揮者を選任し、その者に当該作業を
   指揮させること。

  3)作業を行う設備から硫化水素を確実に排出し、
   かつ、当該設備に接続しているすべての配管から
   当該設備に硫化水素が流入しないようバルブ、
   コツク等を確実に閉止すること。

  4)前号により閉止したバルブ、コック等には、
   施錠をし、これらを開放してはならない旨を
   見やすい箇所に表示し、又は監視人を置くこと。

  5)作業を行う設備の周辺における硫化水素の濃度の
   測定を行い、労働者が硫化水素中毒にかかるおそれが
   あるときは、換気その他必要な措置を講ずること。


下水処理の施設では、酸欠の危険があります。
これは単に悪臭で息苦しいというだけではありません。

腐敗により酸素が消費され、酸素濃度が低くなるのです。
また、汚水に含まれる硫黄が化学反応し、硫化水素を発生させます。

特に汚水を貯留する水槽内では、この危険性が高まります。

下水処理施設で、作業を行う場合は、酸欠や硫化水素による中毒の危険を防ぐ対策が必要です。

特に硫化水素は、100万分の10(10ppm)という微量でも、影響が現れます。

注意するのは、汚水だけではなく、それから発生する気体も危険だということです。

そのため、作業にあたっては、あらかじめ作業内容を周知する必要があります。
硫化水素が発生する恐れがあるので、第二種酸素欠乏危険作業作業主任者を選任します。

また換気だけでなく、硫化水素等を含んだ気体が流入を防ぐためにバルブやコックで閉止します。
バルブなどは、関係者以外が誤って開かないようにします。
バルブには施錠したり、開放厳禁の表示を取り付けます。これらのことが困難な場合は、監視人を建てる必要があります。


また作業前や作業時には、硫化水素の濃度を確認し、安全を確保しなければなりません。

下水処理場は、酸欠だけでなく、硫化水素の注意が必要になるので、測定器もそれに対応したものが必要なります。

酸欠作業は、異常環境の事故です。
圧気工法や下水処理場などでは、酸素の漏出や硫化水素の発生など、通常の換気だけでは、十分ではないことはあります。
このような特殊な環境のため、それに対応しなければなりません。

硫化水素の測定機器や漏出を止めるバルブなど、特別な設備も必要になることもあります。
しかし十分な対処がなければ、事故につながります。

どんな環境でも、酸欠事故や中毒事故を起こさない対応は、準備が最も大事と言えますね。

まとめ。

【酸素欠乏症等防止規則】

第24条
圧気作業では、酸素濃度の測定のほか、関係者以外が立ち入らないような措置をとらなければならない。
第25条
井戸若しくは配管が設けられている地下室で作業を行う場合は、換気措置をとらなければならない。
第25条の2
し尿、腐泥、汚水等を処理する設備の作業では、作業手順の確認、換気、バルブの閉止、空気呼吸器の使用などの措置をとらなければならない。

 

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