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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

千葉市で起こった粉砕機に巻き込まれる事故

      2015/05/30

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製造業で起こる事故で、他の業種よりも発生しやすいものがあります。

それは、工作機械による事故です。
プレス機に挟まれたり、旋盤で切ったり、ロール機に巻き込まれたりとする事故があります。

直接、そのような機械に触れたことがなくとも、イメージするだけでも、痛いというのは分かるのではないでしょうか。

もちろん、事故が起こらないように、工作機械には安全設備がついていますし、安全装置がないものは使用してはいけません。

安全装置の一例としては、角が尖っていない、手や指が挟まないような本質安全化があります。
また誤操作を防ぐために、フールプルーフというものもあります。

現状考えられる危険の可能性を排除しようとしています。

しかし人と機械がすぐ側で、一緒に仕事をします。
そのため、接触し、事故が起こることを確実に防ぐことも困難です。

また事故原因は、常に機械だけにあるわけではありません。
作業者側に原因があることもあります。

それは、安全装置を意図的に外していたり、あえて危険な方法で作業を行うようなケースです。
このようなケースは、作業の効率を上げようとして、行われることが多いのです。

人と機械、事故の原因はどちらにもあるといえます。

今回は、事故事例として、人が機械に巻き込まれたというものを見ていき、原因の推測と対策の検討をしていきたいと思います。

この事故は、読むだけでも痛い事故だと言えます。
しかし痛い事故を、自分に起こり得るものとして捉えることは、事故防止になります。

粉砕機に巻き込まれ作業員の男性死亡 千葉市
(平成27年1月29日)

29日午後2時45分ごろ、千葉市緑区下大和田町のプラスチックリサイクル作業場で「男性が機械に巻き込まれた」と110番通報があり、作業をしていた50歳ぐらいの男性の死亡が現場で確認された。

 千葉南署によると、男性は同日朝から同僚ら2人とプラスチック粉砕機の掃除をしており、中の回転羽に左腕から頭などを巻き込まれたとみられる。

 同署は男性の身元確認を急ぐとともに、業務上過失致死の疑いで詳しい事故原因を調べている。

ちばとぴ

この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「粉砕機」です。

プラスチックを粉砕、つまり粉々にするための機械に人が巻き込まれ、亡くなったという事故です。
想像するだけで痛いですね。

機械に巻き込まれる事故は、非常に体を痛みを感じる事故でしょう。
被災された方は、毎日のように機械が動いている姿を見ていたのですから、どれほど強力なのか、もし手を入れようものなら理解されていたものと思います。

それにも関わらず、起こった事故です。
原因は作業方法にあります。

この事故は、粉砕機の掃除を行っている時の起こりました。
掃除の時に、回転体に引っかかり、引きずり込まれました。

なぜ、引きずり込まれたのでしょうか?

それは、稼働中に手を入れたからでしょう。

原則として、工作機械の清掃や整備を行う場合は、停止してからでないと行ってはいけません。
もし停止することができないのであれば、治具を使うなどを行わなければなりません。

作業時だけでなく、清掃や整備する時にも、安全な方法を取らなければなりません。

回転体が動いている時に、手を突っ込むというのは、端から見ると危険極まりありませんよね。

しかしどれほど危険なものでも、普段身近に接していると、危険に対する認識が薄れます。
機械を止めることは、仕事を止めることです。
仕事を行っていく上で、それは避けたかったのではないでしょうか。

危険への慣れと、仕事の効率。
このようなものが背景にあったのではと思われます。

それでは、原因を推測してみます。

1.稼働中の粉砕機に、手を入れ作業を行ったこと。
2.清掃や整備の作業手順を定めていなかったこと。
3.安全教育を行っていなかったこと。
4.危険に対する慣れがあったこと。


粉砕機の清掃や整備を行うときには、機械を停止するなどの安全に進める手順を定めなければなりません。
そしてそれをしっかり、作業者に伝え、徹底させなければなりません。

もし作業手順を定めていたとしても、作業者がそれを無視をしていたら意味がありません。
なぜ危険なのか、どうして停止させなければならないのかを教えます。

そして、もし危険な作業を行っているのを見かけたら、注意しなければなりません。

危険作業を見過ごしたり、黙認すると、それが当たり前になり、危険の芽になるのです。

対策を検討してみます。

1.機械の清掃や整備を行う場合は、電源を落としてから行う。
2.安全な作業手順を定め、徹底する。
3.作業者には教育を行う。
4.危険に対する慣れを抑えるために、作業状況を監視する。


安全な作業方法を定め、これを徹底させることが事業者の義務です。

日常的に作業を行っている人にとっては、それがどんなに危険なものでも、慣れてしまい、危険意識が低くなります。 この慣れが、事故を産んでしまうのです。

人は慣れるものです。
慣れはいい方向だけではありません。時として悪い方向にも働きます。

今回の事故は、非常に痛い事故です。
痛い事故を、自分の身にも起こり得るのだと考える教訓にしましょう。

事故は、誰にも起こり得るものです。
しかし気付き、方向を正すことで、防ぐこともできるのです。

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