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浜松市で起こった、土砂崩れによる橋崩落で、市職員2人死亡する事故 

      2017/05/26

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先日、とても大きな事故がありました。
山のがけ崩れにより、橋が崩壊し、それに2人も巻き込まれてしまったのです。

この事故のきっかけは、土砂崩れでした。
一度災害が起こった場所は、しばらくは危険な状態が続きます。

土砂崩れが起こった場所ならば、また崩れる危険があるのです。
本来ならば、落ち着くまでは近づくのは避けるべきでしょう。

しかし一方では、どのような被害が出たのかをいち早く把握することも求められます。
被害状況を確認し、今後の被害に備えるのです。

被害状況の確認を行う場合は、危険な場所に近づくのですから、二次被害の可能性は避けられません。

今回の事故も、土砂崩れの調査時に、巻き込まれてしまったのでした。

今回発生した災害後の事故について、原因を推測し、対策を検討してみます。

橋崩落、市職員2人死亡 浜松・天竜区で落石調査中
(平成27年1月31日)

31日午後5時10分ごろ、浜松市天竜区佐久間町川合の国道473号のつり橋「原田橋」付近で土砂崩れが発生し、天竜川に架かる同橋が川に崩れ落ちた。橋の上に車を止めて作業していた、いずれも市天竜土木整備事務所職員の2人が崩落に巻き込まれた。2人は近くの市立佐久間病院に搬送されたが、約2時間後に死亡が確認された。

天竜署によると、2人の死因は落下の衝撃で、胸などを強く打ったことによる外傷性血気胸とみられる。浜北区の男性は車内で、天竜区の男性は車から約8メートル離れた場所で発見された。2人は写真を撮るなど崩落前に起きていた落石など山の斜面の状態を確認していたという。

同署によると、山の斜面が幅約50メートル、高さ100メートルにわたって崩落した。原田橋は50年以上前に架けられ、老朽化のため通行規制中だった。長さは約140メートル、幅約5・5メートル、川からの高さは約20メートルで、土砂崩れの衝撃で橋を支えるワイヤごと崩れ落ちた。その後も断続的に崩落が続いているとみられる。架け替え中の南側の新橋も一部損壊した。

同署によると、同日午後2時15分ごろ、交通整理していた警備員が断続的に細かい石が道路上に落ちるのを確認したため、同署に通報した。現場付近は午後2時45分に通行止めにしていた。
 現場はJR飯田線中部天竜駅から西に約1キロ。佐久間ダムに近い、愛知県境付近の山間部。

(中略)

 落橋の原因については「旧橋の老朽化は考えにくい」とし、「これだけの崩土は想定しておらず、落橋は予想できなかった」と述べた。

静岡新聞(リンク切れ)

この事故の型は「崩壊・倒壊」で、起因物は「地山・岩石」です。

土砂崩れ調査のために、近接する橋の上でいたところ、再度土砂崩れが発生しました。
この時の土砂崩れは、吊り橋の支柱を崩し、橋を崩壊させ、2人もろとも落下したのでした。

橋の架替工事を行っていたとはいえ、旧橋はまだまだ崩壊するものではなかったようです。
そのため、原因は土砂崩れが、橋を壊してしまったといって、よさそうです。

土砂崩れ直後の調査でしたから、まだ崩壊は続くとは想像されていたと思います。
近くで新たな橋を作っていたこともあり、被害状況の確認は急がれます。
危険な場所でも、いち早く駆けつけ、確認を行わなければならなかったのでしょう。

安全が確認されてない、確保されていない状況では、危険を伴います。
これは仕事だけではありません。
その場にいるだけでも、危険に巻き込まれることもあります。

事故はいつも、まさか自分の身に起こるとはというものばかりです。

この事故の原因を推測してみます。

1.山の斜面の崩壊が、吊り橋を破壊したこと。
2.破壊された橋に乗っていたこと。
3.土砂崩壊の危険箇所に立ち入っていたこと。


被害直後の調査ですので、どこまでが危険で、どこまでが安全なのかを線引するのは困難でした。
それどころか、この調査によって、線引を決めることになったのかもしれません。

また土砂崩れによって、橋が崩れるなんて想像すらしていなかったでしょう。

自然災害は、人の予測を容易に超えます。

我々ができることは、可能な限り、安全な距離を保つことだけかもしれません。

対策を検討してみます。

1.落ち着くまで、災害現場には近づかない。
2.崩壊現場に接した構造物から離れる。
3.直接近づくのではなく、遠方から調査できる方法をとる。


災害の調査では、どこまで危険なのかは判別しにくいと言えます。
接近できるのも、安全が確保されている範囲内でしょう。

もっと近づいて、もっと近くで確認したいと思うは自然なことです。
それには危険リスクをとることにもなるのです。

災害などでは、ヘリなどから空撮もひとつの手です。
最近はカメラを載せた、ラジコンヘリやドローンといったものも普及してきているので、災害現場で活躍する日も近いでしょう。

このような技術は、危険に近づくリスクを減らすことができるので、活用も検討するのがよいかもしれません。

このブログでは、元記事にある被災者の個人名は割愛しています。
それは、事故を事故として紹介するのではなく、事例として紹介し、同様の事故防止につなげればと考えているからです。

しかし事故だけに焦点を当てると、被災者の存在は薄れてしまうのも確かです。

今回の事故では、2名の市役所職員が被災されました。
記事紹介で、略した部分は、市役所が2人の職員について述べています。
事故と直接関係しない箇所なので、略した。
略したものの、この部分は、とても大切な部分だと思います。

どのような事故でも、被災者がいます。
被災された方は、ただの作業者などではなく、家族があり、生活がある個人です。

どんな事故でも被災し、亡くなるのは、生まれてからその日まで生きてこられた1人の人なのです。


事故は、そのようなことを一切考慮しません。
たやすく、その人とその家族、周囲の人の生活を奪います。

事故の数だけ、人の生活を奪ったり、多大な影響を与えています。

事故の原因は、避けられないものもありますが、慣れや油断から起こったものもあります。

事故を防ぐことは、単に仕事をうまくやるだけではありません。
今日以降の生活を守ることにもなるのです。

安全とは、単に怪我をしないようにするものではなく、とても大きな意味があるといえますね。

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