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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

小規模の安全衛生体制 安全衛生責任者(衛生推進者)

      2015/05/30

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総括安全衛生管理者や安全管理者、衛生管理者は少なくとも50人または100人以上の労働者が従事する事業所で、選任する必要があります。
しかし世の中には、そのような大人数の人たちが働いている事業所ばかりではありません。
むしろ少人数による中小企業のほうが多いと思います。

「安全衛生推進者または衛生推進者」

労働者の人数が50人に満たない事業所では、不要なのでしょうか?

当然のことながら、そんなことはありません。必要です。

事業所規模別の災害発生状況を見ると、50人以下の事業場では、実に63.6%にも及びます(平成25年度)。
(なお内訳は、9人以下の事業場は23.1%、10人~29人で26.4%、30~49人で14.1%)


この統計を見ても、事業場規模が小さいほど、災害が多いことが分かります。

しかしながら大きな企業のように、安全や衛生にコストをかけることも難しいです。
しかし労災を防がなければならない。
そのために、50人以下の事業場で選任しなければいけないのが安全衛生推進者、又は衛生推進者です。

安全衛生推進者については、安衛法第12条に規定されています。

【安衛法】

(安全衛生推進者等)
第12条の2
事業者は、第11条第1項の事業場及び前条第1項の
事業場以外の事業場で、厚生労働省令で定める
規模のものごとに、厚生労働省令で定めるところにより、
安全衛生推進者(第11条第1項の政令で定める
業種以外の業種の事業場にあっては、衛生推進者)を選任し、
その者に第10条第1項各号の業務(第25条の2第2項の
規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、
同条第1項各号の措置に該当するものを除くものとし、
第11条第1項の政令で定める業種以外の業種の事業場にあっては、
衛生に係る業務に限る。)を担当させなければならない。

第11条第1項の事業場及び前条第1項の事業場以外というのは、50人に満たない事業場のことです。
小規模の事業場で、第10条第1項各号の業務を行う場合は、安全衛生責任者を、それ以外の事業所では衛生推進者を選任しなさいということです。

安全衛生推進者と衛生推進者の違いは何かというと、業種の違いです。

こられについては、安衛則に規定されています。

【安衛則】

第3節の2 安全衛生推進者及び衛生推進者

(安全衛生推進者等を選任すべき事業場)
第12条の2
法第12条の2の厚生労働省令で定める規模の事業場は、
常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場とする。
(安全衛生推進者等の選任)
第12条の3
法第12条の2の規定による安全衛生推進者又は衛生推進者
(以下「安全衛生推進者等」という。)の選任は、
都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を
修了した者その他法第10条第1項各号の業務
(衛生推進者にあっては、衛生に係る業務に限る。)を
担当するため必要な能力を有すると認められる者の
うちから、次に定めるところにより行わなければならない。

  1)安全衛生推進者等を選任すべき事由が発生した日から
   14日以内に選任すること。

  2)その事業場に専属の者を選任すること。
   ただし、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント
   その他厚生労働大臣が定める者のうちから選任するときは、
   この限りでない。

2  次に掲げる者は、前項の講習の講習科目(安全衛生推進者に
  係るものに限る。)のうち厚生労働大臣が定めるものの免除を
  受けることができる。

  1)第5条各号に掲げる者
 
  2)第10条各号に掲げる者
(安全衛生推進者等の氏名の周知)
第12条の4
事業者は、安全衛生推進者等を選任したときは、
当該安全衛生推進者等の氏名を作業場の見やすい箇所に
掲示する等により関係労働者に周知させなければならない。

   

選任要件の人数であり、労働者数が10人~50人未満(49人)の事業場です。

9人以下の事業場では選任する必要がありません。
この場合は事業者自身、つまり社長などの経営者などが安全や衛生について責任をもって管理しなくてはいけません。
安全衛生推進者を選ぶ事業所と、衛生推進者を選ぶ事業所の違いですが、これは、「第11条第1項の政令で定める業種」か、それ以外の業種かできまります。
この業種の区分は、総括安全衛生管理者選任にあたっての規模人数と同じです。

詳細は安衛令第2条です。

(総括安全衛生管理者を選任すべき事業場)
第2条
労働安全衛生法 (以下「法」という。)第10条第1項の政令で定める
規模の事業場は、次の各号に掲げる業種の区分に応じ、常時当該各号に
掲げる数以上の労働者を使用する事業場とする。

 1)林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業
   100人  

 2)製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、
  水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、
  各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、
  旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業
   300人

 3)その他の業種
   1,000人


このうちの1)と2)の業種では、安全衛生推進者を選任します。
3)のその他のみ衛生推進者となります。

表にまとめると、次のとおりです。

林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業、
製造業(物の加工業を含む。)、電気業、
ガス業、熱供給業、水道業、通信業、
各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、
各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、
燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、
自動車整備業及び機械修理業
安全衛生推進者
上記以外の事業 衛生推進者

 

この表を見ると、怪我を伴う事故の可能性がある業種には安全衛生推進者を必要とすることがわかりますね。

「上記以外の業種」は、例をあげると金融や飲食、サービス業、医療や教育などが含まれます。こういった事業所では、衛生推進者を選任しなくてはいけません。

安全衛生推進者(以下、衛生推進者も含みます。)は、総括安全衛生管理者などと同様に、選任する事由が発生してから、14日以内に選任しなくてはいけません。つまり労働者の人数が10人になったら、14日以内に選任しなくてはいけません。

ただし、所轄労働基準監督署に届け出る必要はありません。ここが違いです。

とはいえ、事業所内では誰が選任されたのかは周知しなくてはいけないので、目につく場所に掲示する必要はあります。
第12条の4は、この事業所内での氏名の周知について規定しますね。

第12条の3は、上記の14日以内に選任しなくてはならない以外の注意点が書かれています。

安全衛生推進者は事業所専属でなければなりません。
ただし労働安全コンサルタント、または労働衛生コンサルタントが安全衛生推進者になる場合は、その人は専属である必要はありません。

つまり、自社の従業員を安全衛生推進者に選任する場合は専属である必要があります。
しかし労働安全コンサルタントなどが、委託を受けて場合、1つの事業所の専属となると仕事になりませんので、この規定が免除されるわけですね。

安全衛生推進者も、誰でもなれるわけではありません。一定の条件があります。

原則として第12条の3にあるように、安全衛生推進者講習を受講したものから選任しなくてはいけません。この講習は、各都道府県の労働基準協会などで行っています。

2項では、安全管理者や衛生管理者の選任条件を満たしているものは、講習の一部免除が受けられるとしています。
ちなみに労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタントは講習は不要です。

安全衛生推進者の選任は、講習以外にも「業務を担当するため必要な能力を有すると認められる者」であれば可能です。。
これは法令にはないのですが、「安全衛生推進者等の選任に関する基準」というものに規定されています。

安全衛生推進者等の選任に関する基準を次のように定める。

労働安全衛生規則第12条の3第1項に規定する労働安全衛生法
第10条第1項各号の業務を担当するため必要な能力を有すると
認められる者は、次のとおりとする。

1)学校教育法による大学(旧大学令による大学を含む。)
  又は高等専門学校(旧専門学校令による専門学校を含む。)を
  卒業した者(独立行政法人大学評価・学位授与機構により
  学士の学位を授与された者又はこれと同等以上の学力を有すると
  認められる者を含む。)で、その後1年以上安全衛生の実務
  (衛生推進者にあっては、衛生の実務。次号及び第3号に
  おいて同じ。)に従事した経験を有するもの

2) 学校教育法による高等学校(旧中等学校令による中等学校を含む。)
  又は中等教育学校を卒業した者(学校教育法施行規則第151条
  に規定する者又はこれと同等以上の学力を有すると認められる者を
  含む。)で、その後3年以上安全衛生の実務に従事した経験を有するもの

3)5年以上安全衛生の実務に従事した経験を有する者

4)前3号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者

大卒で1年以上の実務、高卒で3年以上の実務、または5年以上の実務経験者ですね。

実務経験があったればこそですが、安全衛生の管理には知識も必要になるので、なるべくなら講習を受けた方がよいと思います。
「安全衛生推進者必携」などのテキストをもらいますが、これは後々参考になります。

さて、法令で定められていないのですが、安全衛生推進者の業務は、小規模ながら安全管理者と衛生管理者の業務を一括して行います。

具体的に業務内容をまとめると。

1 施設、設備等(安全装置、労働衛生関係設備、保護具等を含む。)の点検
及び使用状況の確認並びにこれらの結果に基づく必要な措置に関すること。
2 作業環境の点検(作業環境測定を含む。)及び作業方法の点検
並びにこれらの結果に基づく必要な措置に関すること。
3 健康診断及び健康の保持増進のための措置に
関すること。
4 安全衛生教育に関すること。
5 異常な事態における応急措置に関すること。
6 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に 関すること。
7 安全衛生情報の収集及び労働災害、疾病・休業等の 統計に関すること。
8 関係行政機関に対する安全衛生に係る各種報告、 届出等に関すること。


基本的には、安全管理者、衛生管理者と同様です。
衛生推進者は、この業務の内、衛生に関する業務のみ行います。

実情として、小規模の事業場の方が、安全衛生対策について消極的です。
全員が一丸となって売上を作っていかなければならないので、手が回らないというのも、納得できる理由かもしれません。

安全対策などを徹底していたら、仕事にならないというのが本当のところだと思います。

そのため安全衛生推進者といえども、安全や衛生のみの業務に専念することは、まず無理です。
安全衛生推進者が名前だけということも、珍しくないでしょう。

しかしながら、小規模の事業場では事故が多く、死傷事故が多いのも事実です。

日常業務の前に、安全は取り残されるているのです。

安全衛生推進者は、この状況の中で、最も効果的で、最も効率的な安全衛生対策を行っていかなければなりません。
大きな事業場であれば、安全管理者、衛生管理者というエキスパートが担当している仕事を一手に引き受け、さらに本業と合わせて行わければなりません。

とてもじゃないですが、知識も時間も足りません。
それなのに事故が起こった時には、安全衛生推進者として責任も問われてしまう。
割にあわないかもしれません。

しかし、安全衛生推進者としての仕事が、同僚たちの命を守ることになるのも事実です。

責任が重い仕事です。
とはいえ、あなただけが頑張らなくてもいいんです。
参考になること、協力してくれる人などもいます。

都道府県の労働基準協会などでは、教材等も貸し出しているので、どんどん利用すればいいと思います。


私も同じ立場なので、安全対策で使えるネタなど、なるべく使えるものを書いていきたいと思いますので、気が向いたら利用して下さい。

安全衛生推進者は、もしかすると最も多くの人の命を支えているのだと思います。


まとめ。
【安衛法】

第12条の2 事業場の規模により、安全衛生推進者または衛生推進者を
選任しなくてはいけません。

【安衛則】

第12条の2
安全衛生推進者を選任する事業場は、労働者数が
10人以上50人未満の規模とする。
第12条の3
安全衛生推進者は、講習を受けたものから
選任すること。(その他条件もあり)

安全衛生推進者は、選任する事由が発生してから
14日以内に行わなければならない。

安全衛生推進者は、事業場専属とする。
ただし、労働安全コンサルタントと労働衛生コンサルタント
はこの限りではない。
第12条の4
安全衛生推進者を専任した事業場では、氏名等を
掲示して、周知しなくてはいけない。

 

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