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姫路の製鉄所で、ロールに挟まれ作業員死亡

      2017/05/26

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工場では、様々な機械が動いています。
工作機械は、人の力をはるかに凌ぐエネルギーで仕事を行います。

機械が行う仕事は、切る、叩く、伸ばす、型を抜くなどです。
それらのことを正確に、力強く、命令されている限り、いつまでも行うことができるのです。

機械はとても便利です。
しかし、大きなエネルギーを持っているので、取り扱う方法を誤ると、非常に危険でもあります。

機械に巻き込まれて、指を落としてしまうなどの事故になったというのは、珍しくないのではないでしょうか。

昔はこういった事故が非常に多く発生していました。
しかし、機械も安全に使えるように改良され、作業方法も安全にという意識が働くようになり、事故は減ってきました。

それでも、機械による事故はゼロにはならないのです。

姫路の製鉄所で、機械に巻き込まれるという事故が起こってしまいました。
機械は、鉄を薄く伸ばすロール機です。
この間に、挟まれてしまったのです。

事故にあった人は、残念ながら亡くなってしまいました。

今回は、この事故を事例として取り上げ、原因の検討と対策を検討してみます。

ロールに挟まれ作業員死亡 姫路の製鉄所
(平成27年2月19日)

19日午前4時10分ごろ、兵庫県姫路市広畑区富士町1の新日鉄住金広畑製鉄所で、40代の男性作業員が鉄板を送り込むロールと鉄板の間に挟まれているのを別の作業員が見つけ、会社を通じて119番した。男性は現場で死亡が確認された。

飾磨署などによると、男性は「冷延工場」と呼ばれる建物内で、鉄板を薄く延ばす工程を4人で作業していた。男性がロールを止めて点検し、別の作業員が男性の指示でロールを動かしたところ、幅1・7メートル、厚さ約3ミリの鉄板と直径約1・2メートルのロールの間に挟まれた。

産經新聞(リンク切れ)

この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」、起因物は「ロール機」です。

鉄を厚さ3ミリに薄く延ばす機械の間に、人が巻き込まれてしまいました。
わずか3ミリの間に、入り込んだのですから、体は無事ではすみません。

想像するだけで、とても恐ろしい状況ですね。
とても痛々しい現場だったはずです。

作業者は、ロール機の間に挟まれたら、死亡してしまうなど、その恐ろしさは十分に知っていたはず。
ただ毎日近くで接していると、どんどん慣れてきて、危険性も薄らいでいくのは仕方のないことかもしれません。

この事故は、点検作業中に起こったものですが、本来であれば、動かす前に可動部からは離れるなどしなければなりません。

他の作業者に指示してスイッチを入れた時、まだロール部に触れていたのでしょう。
近くで機械の様子を見ようとしたのか。
もしかすると、日常的に、同様の方法で点検していたのかもしれません。

作業手順があったと思わますが、手順も守られていなかったようです。

それでは、この事故の原因を推測してみます。

1.ロール部に巻き込まれるほど近くにいたにも関わらず、スイッチを入れたこと。
2.スイッチを入れた作業者も、十分に安全確認を行わなかったこと。
3.作業手順が守られていなかったこと。
4.作業者の危険意識が低かったこと。


日常的に、同様の点検を行っていたならば、巻き込まれる危険意識が低かったのかもしれません。

おそらく最初からこのような点検方法を行っていたわけではないでしょう。

毎日近くに接している内に、ここまでは危険じゃないという許容値が高まっていったのかもしれません。
その結果、どんどん近づいたり、動かしたままで点検をするようになるのは、よくあることです。

しかし、人間側の危機意識が薄まった所で、危険そのものは変わりません。
機械は、依然として危険を持ったままなのです。

対策を検討してみます。

1.機械稼働時は、安全な距離をとる。
2.点検者とスイッチ操作者が、互いに安全を確認する。
3.作業手順を守り、危険な作業を行わないこと。
4.安全教育などで、危険に対する慣れを防ぐこと。


日常作業では、作業効率などを高めるため、時として危険な作業が行われることもあります。

危険に対する慣れを完全に止めることはできません。
しかし、日常的に教育を行うなどして、常に危険な作業なのだと教える必要があります。

機械を扱う場合は、安全な距離を確保する、安全を確認する。
毎日やらなくてはならないことです。
省略してはいけません。

もしこれらを省いてしまうと、今回の事故のような事が起こります。

危険意識の薄れ。
仕事の慣れとともに起こってしまうものですが、これをいかに抑えることが、事故を防ぐために重要な事です。

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