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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

一緒に仕事をする機械は、安全で信頼できるものであって欲しいです。

      2015/05/30

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産業用機械、工業用機械と一緒に仕事をするのは、危険を伴います。

とはいえ、通常の操作や作業を行っている分には、危険はありません。

危険なのは、メンテナンスなど近づきすぎた時です。
そんな時に、機械の回転部に巻き込まれたり、刃部で切ったりなどのおそれがあるのです。

安衛則の条文では、機械そのものではなく、機械とともに作業を行う上での規則が定められています。
危険な箇所には囲いや覆い、柵などで、距離を保つことなどですね。

一方では、安衛則などでは定められていませんが、機械側で事故を減らそうという仕組みが組み込まれているのです。

機械との作業には危険がある。
そんなことは製造メーカーや設計者も百も承知です。

危険を踏まえた上で、いかに事故や怪我をする人を減らすのかということが、製造メーカーの挑戦であると言えます。

機械を安全で、壊れないものとする。
そんな機械だと、一緒に仕事を行う人にとて安心できますし、機械を信頼できます。


これを機械の信頼性設計と言います。

危なかったり、すぐ壊れたり、メンテナンスばかりしなければならない機械だと、信頼できませんし、何より危険ですよね。
こういったものを最小限にするように、日々改良を重ねられているのです。

今の機械は、安全性では非常に高いものになっています。
一見すると、過剰な程です。

今、世に出ている機械は、メーカーが失敗と発見、リサーチなどを繰り返し、試行錯誤の末、作り出したものです。
もちろん、これからも改良を重ねていくので、ベストではないでしょうが、考えられう限り信頼性を高めたものであるといえます。

信頼性設計というものは、機械側で安全で故障しくくするものです。

安全な設計、故障しにくく設計というものは、いくつかの要素があります。

その要素について、簡単にまとめてみます。
個々の機械に、様々な形で取り入れられているので、大雑把な説明になりますが、実はこんなことを考えて設計しているんですね。

○フェールセーフ

フェールセーフとは、「機械や装置に障害が発生した場合、常に安全側に制御する」ことです。

故障した時には、安全側に作用するものです。


これは機械の設計原則です。

機械には故障が付き物です。
いつになるかは分かりませんが、確実に故障します。

フェールセーフは、機械の故障が前提となった考え方と言えます。

安全側に作用するとは、どういうことでしょうか?

道路の信号機を例に説明してみましょう。

信号機も機械ですので、故障します。
もし故障して、交差点にある全ての信号機が青のままになってしまったらどうでしょう。

信号が青なのですから、運転手は気にせず、交差点に進入してきますね。
全ての道路から。

もしそんなことになってしまうと、交通事故になります。

信号が青のまま、止まってしまうと事故を招いてしまうのです。

事故を防ぐには、逆に全ての信号を赤にして、全方向から車が進入できないようにします。
運転手にとっては、不便極まりないですし、迷惑でしょうが、事故を防ぐためには仕方がありません。

フェールセーフはこのように、信号が故障したら赤にして事故を防ぐというように、安全側に働くことなのです。

信号の例以外では、機械などの電気配線にあるヒューズも、フェールセーフの一種です。
大電流が流れて、機械が故障しないように、ヒューズが切れて、電流をストップするのです。

トラブルが起こったら、利用者に不便を強いても、安全を確保する。

一番大切なものは、安全であるという思想の設計というわけです。

○フールプルーフ

フールプルーフとは、誤操作しても、事故が起こらないようにする設計のことです。

人間は間違ってしまうことがあります。
ぼんやりしてて、ミスを犯すこともあります。 機械の操作についても、間違った操作をしてしまうことがあります。

そういった、誤操作を防ぐ設計とも言えます。

具体的には、一定の手順を踏まなければ操作できないというものがあります。

例を挙げると、オートマチックの車は、ブレーキを踏みながらでなければ、ドライブのギヤが入らないというものがあります。

その他には、電子レンジの蓋が閉まっていなければ、加熱しないというのもフールプルーフの一種です。

このフールプルーフには、インターロックというものも含まれます。

インターロックも、誤操作などで、適正な手順以外の手順による操作が行われるのを防止するものです。
つまり条件を満たさなければ、機械などが動かないようにするものです。
また、機械が動いている最中に、条件が外れると、自動的に停止します。


具体的には、ボイラーは燃料、水位が低い時には燃焼を始めないというものがあります。
鉄道では、扉が全て閉まっていなければ、動かないというのもあります。

確認ミスや、操作ミスなどを、機械側で防ぐというのが、フールプルーフと言えます。

人間はどんなベテランでもミスを犯してしまいます。

私も、この前青信号なのに、停止して、信号が変わるのを待っていたことがあります。
ぼんやりしていると、うっかりミスが起こってしまう。
うっかりミスが、事故につながる。

それを防止する設計のことなのです。

○冗長性設計

機械のどこか一部が故障したら、その都度仕事をストップさせていたら、作業ははかどりません。
頻繁に故障して、ストップするような機械など、信頼できません。

仮にどこか故障しても、影響なく稼働するようにしたいものです。

冗長性設計とは、故障に対して2重、3重に対策しておき、信頼性を高めるものです。

ある種、バックアップシステムとも言えますね。

具体例に、ちょっと怖いですが飛行機で考えてみましょう。

飛行機が飛んでいる時に、もしエンジン止まってしまったらどうでしょう。
エンジンがストップしたから、もうダメですーといって墜落するとなると、怖くて仕方がないですよね。

飛行機には、両翼にエンジンがついています。
この内の1基が故障したとしても、残ったもう1基で飛べるようになっているのです。

もちろん常時2基とも使用しますが、緊急時にはバックアップできるようになっているのです。

さらに操作では、パイロットも複数の人が担当します。
そして食事も、それぞれが別々のメニューを食べるそうです。
これはもし何かの食材で食中毒になった場合、全員に及ばないようにするためです。
食事は別のメニューを摂るというのも、冗長化と言えますね。

冗長化とは、バックアップも備えた並列システムです。

何か一部が故障しても、ストップせず、動作を維持することが、利用者にとって安心なこともあるのです。

その他にも、信頼性設計には様々な要素があります。

チャイルドロックのように、いたずらや知らずに危険なことが行えないようにする、「タンパープルール」。

初期段階の微細な傷があっても、支障がないようにする「損傷許容設計」。

故障時には、機能や性能を縮小してでも、動作を維持させる「フォールトトレランス設計」。


など、他にもあります。

全て、機械がいかに安全で、信頼できるものにするための設計と言えます。

機械はとても強い力を持っていますので、人の脅威になりますが、その脅威を小さくするための、設計者の努力とも言えます。

しかし、時として作業にとっては不便になることも少なくありません。

前はもっと融通が効いたのに、機械を新しくして使いづらくなったという経験もあると思います。
利用者としては、こんな機能いならないのにということも少なくありません。

確かに、過保護すぎるような時もあります。

過剰なまでに付けられた安全装置は、また新たに設計されるでしょう。
それも改善です。
メーカーの設計者のリサーチと努力の成果が形になってくことでしょう。

利用者としては、どんどん意見や改善希望点を伝えればよいと思います。
現場の声が何よりも、改善点になるはずです。

一方で、利用者が注意しなければならないのは、作業効率を優先して、危険な改造を行わないことです。
インターロックの配線をカットすることや、覆いや囲いを取るなどは避けましょう。

どうしても不便さがある場合は、メーカーに相談しましょう。
利用者の意見ですから、メーカーもそう無下にはできないはずです。

機械を利用する事業者も、メーカーも大切にしたいのは、安全であるはずです。
安全を損なわず、効率的に仕事を行っていくためには、お互いの努力が必要になりますね。

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