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岩盤崩れ下敷き、男性死亡 岩手県宮古市の復興工事

      2018/03/08

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東日本大震災が発生してから、早いもので4年が経ちます。

大きな地震と津波は、街や道路、ありとあらゆるものに大きな損害を与えました。

大きな破壊のあとは、復興があります。
多大な復興予算が組まれ、東北の建設業者は仕事はあるけど、人手が足りずという状態が続いているようです。

震災後、4年経った今も東北は復興作業は続きます。

3月には常磐自動車道の常磐富岡IC~浪江IC間が開通しました。

まだまだ完全に復興には程遠いですが、少しずつ前に進みつつあります。

さて、様々な復興に向けた工事が行われているのですが、その分事故も増えています。
工事の数が増え、携わる人の数も増えてくるとどうしても、事故も増えてしまうのです。

そんな中、先日トンネル内で落盤事故が起こってしまいました。

この事故は復興事業の一環として、掘られていたトンネルでの事故です。

今回は、この事故について取り上げ、原因の推測と対策を検討してみます。

岩盤崩れ下敷き、男性死亡 宮古の復興工事
(平成27年4月1日)

1日午後7時20分ごろ、震災復興事業として建設中の宮古市千徳の仮称・小山田(こやまだ)トンネル(1100メートル)内で岩盤が崩れ、会社員が下敷きになった。被災者は同市内の病院に運ばれ、同9時24分、頭蓋骨骨折で死亡が確認された。宮古署は安全が確認され次第、2日にも実況見分を行う。

 同トンネルは宮古盛岡横断道路の一部。三陸国道事務所や同署によると、落盤現場は入り口から約310メートル入った掘削面の先端で、午後7時ごろから被災者を含む5人が作業していた。

 重機で穴を開け、ダイナマイトで発破作業をする準備中だったが、土砂が崩落したという。同署などによると崩れたのは掘削するために吹き付けていた大量のコンクリートなどとみられ、数トン規模の可能性もある。

  同トンネルは昨年10月着工。1日4回の発破作業を行い、24時間交代で掘削していた。工事は前田建設工業東北支店が受注。被災者は下請け会社の社員で、北海道から働きに来て作業に入っていた。事故を受け、工事は当面中止する。同トンネルは2016年3月の完工を目指している。

岩手日報

この事故の型は「倒壊・崩壊」で、起因物は「構造物」です。

吹付けコンクリートが崩れ落ちたということなので、構造物です。

トンネルは、山を水平に掘り進みます。
トンネル作業中は、上下左右ともに土や岩石に囲まれ、その中にいる間は、逃げ場はありません。

何よりも注意しなければならないことは、天井からの土の崩壊、つまり落盤です。
作業中に上から岩などが落ちてこようものなら、逃げる間もなく、押しつぶされかねないのです。

トンネル工事については、掘削と掘削面へのコンクリート吹付けを同時に行うシールドマシンがあるなど、施工性においても安全性においても格段に進化を遂げています。

しかし、土や岩石がぐるりと囲んだ環境というものは、いつまでも危険が伴うのです。

山を水平に掘っていくだけで、そのままにしておくと、重力に従い天井や壁の土は崩れ落ちてしまいます。
これでは、トンネルになりません。何より作業の時に危険です。

山肌の崩落を防ぐためには、表面をがっちり固めなければなりません。
そのために、コンクリートで掘削面を覆うのです。

トンネル内でのコンクリート工では、ずい道支保工という方法がとられます。
支保工とは支えること。
掘削では、土砂崩壊を防ぐために土止め支保工とられ、大きな構造物のコンクリート工では、コンクリートの重さに耐えられる型枠を支えます。

トンネルはアーチ型になっているので、アーチ型の支保工で、崩れないようにするのです。

その後山肌に、コンクリートを吹き付けます。
打設となると、型の中に流し込む事になりますが、トンネル内では山肌に直接吹き付けるようにしていくのです。

360°をコンクリートで囲うので、型枠で覆うことは困難ですし、先へ先へと掘り進んでいくことを考えると、型枠を作っては壊しでは、効率は悪くなります。

そんなので強度は大丈夫なのかと思うのですが、厚さは最終的に5センチから15センチにもなります。
速乾性で、強度があるコンクリートを使うことで、強度はクリアさせているのです。

コンクリートが乾くと、ロックボルトという2~3メートルの長さになるクギを土中深くまで突き刺し、固定します。

なお吹付けコンクリートですが、トンネル開通後は見ることはできません。
完成までに、吹付けコンクリートには防水シートが張られ、表面を仕上げ用のコンクリート壁で覆われるからです。

事故は、この吹付けコンクリートが崩壊して起こりました。

詳しい原因は、調査で明らかになるでしょうが、コンクリートにき裂があったのか、十分に固定されていなかったか、土圧が強かったか、地下水があったのかなどが考えられます。

いずれにせよ、コンクリートを吹き付け、土砂の崩壊を予想していない場所での事故ですので、被災者にとっては思いもよらぬ事故だったのではないでしょうか。

原因を推測してみます。

1.吹付けコンクリートが崩壊したこと。
2.コンクリートがロックボルトで十分に固定されていなかったこと。
3.コンクリート背面に、地下水があったこと。
4.コンクリートに発破などによるひび割れ等があったこと。
5.コンクリートが土圧に耐えられなかったこと。
6.コンクリートが固まる前に、立ち入っていたこと。


原因については、推測になりますので、これだというものを断言することはできません。

少なくとも、しっかり固まり、山肌に定着していなかったは間違いなさそうです。

トンネル工事は、倒壊の危険が常にあるので、作業主任者が作業指揮と作業者の安全を監視、監督しなければなりません。

この場合であれば、ずい道等の掘削等作業主任者が現場を監督しておくことが求められます。

この作業主任者の業務には、作業場の点検が含まれます。
作業前には、周囲のき裂、浮石、地下水、有毒ガスの有無などを確認しなければなりません。

事故現場について、点検していたのか、点検したけれども分からなかったのかは不明ですが、トンネルはいついかなる時に事故が起こる環境であることは忘れてはいけません。

対策を検討します。

1.吹付けコンクリートは十分に固まらない間は、立入禁止とする。
2.ロックボルトの固定は確実に行い、点検する。
3.作業前の点検を入念に行う。
4.元請事業者と下請事業者の連絡を蜜にする。
5.作業主任者を選任し、直接指揮を行わせる。
5.作業者には安全教育を行う。


危険な箇所はいち早く見つけることが大切です。
そのためには作業前の点検を、いかに見落としなくやるかといえるでしょう。

わずかなき裂や、地下水など、見落とすと後々危険になるものもあります。

また安全が完全に確保されていない場所には、立ち入り制限を行うことも重要です。
多くの下請け業者が入り乱れる現場では、連絡が充分でないことも少なくありません。

元請事業者の統括安全衛生責任者や元方安全衛生管理者、そして下請業者の安全衛生責任者間の連絡はしっかり行わないといけません。

立入禁止場所で作業していて、事故にあったなどは、避けなければなりません。

復興事業は、まだ数年続きます。
それに伴い多くの工事が行われることでしょう。

人が増えると、事故数も増えます。

忙しいですが、焦りは禁物。
復興事業で、作業者が損なわれるようなことはないようにしたいものです。

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