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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

プレス機等の安全 その3。

      2015/05/30

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プレス機に限らず、機械は長く使うと、摩耗したり、故障したりします。

それこそ、昨日まで普通に使えていたのに、急に壊れるなんてことも少なくありません。

工場で使う機械は、1台で数百万から数千万するような高価な機械です。
少し調子が悪いからといって、簡単に取り替えるということはできません。

10年、20年と長く長く大切に使っていく必要があります。

長く使うためには、壊れた部分を修理するのはもちろんのこと、常日頃のメンテナンスも大事です。
可動部にはオイルを差す、油汚れは取り除くなどから、動きにおかしなところはないかをチェックすることが、大事です。

機械の調子が悪くなると、様々な影響が出てきますよね。

まずは、製造できないこと。これはものすごく困ってしまいます。
次に品質が悪くなること。製品ができたはいいが、質が悪く出荷できないとなるのも困りものです。

そして、安全面にも影響が出ます。
不意に暴走したりすると、側で作業を行っている人に危害が及びます。

正常な状態を保つことは、品質と安全には最重要な事なのです。

機械の中でも、プレス機は特に定期点検などが義務付けられています。
扱いとしては、クレーンやボイラー等と同様であると言えますね。

【安衛則】

(定期自主検査)
第134条の3
事業者は、動力プレスについては、1年以内ごとに1回、
定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。
ただし、1年を超える期間使用しない動力プレスの
当該使用しない期間においては、この限りでない。

  1)クランクシヤフト、フライホイールその他
   動力伝達装置の異常の有無

  2)クラッチ、ブレーキその他制御系統の異常の有無

  3)一行程一停止機構、急停止機構及び
   非常停止装置の異常の有無

  4)スライド、コネクチングロッド
   その他スライド関係の異常の有無

  5)電磁弁、圧力調整弁その他空圧系統の
   異常の有無

  6)電磁弁、油圧ポンプその他油圧系統の
   異常の有無

  7)リミツトスイツチ、リレーその他電気系統の
   異常の有無

  8)ダイクッション及びその附属機器の異常の有無

  9)スライドによる危険を防止するための機構の
   異常の有無

2 事業者は、前項ただし書の動力プレスについては、
  その使用を再び開始する際に、同項各号に掲げる事項に
  ついて自主検査を行わなければならない。


プレス機は、1年以内に1回、定期自主検査を行わなければなりません。
ただし1年以上使わないことが分かっている場合は、検査は免除されます。

検査内容は、動力装置やブレーキなどの制御装置などの他、安全装置も対象となります。

人間でいうところの、年1回の検診のようなものです。

日常の点検だけでは、目が届かない細かな点も、年次の検査で確認するのです。

第135条
事業者は、動力により駆動されるシャーについては、
1年以内ごとに1回、定期に、次の事項について
自主検査を行わなければならない。
ただし、1年を超える期間使用しないシャーの
当該使用しない期間においては、この限りでない。

  1)クラッチ及びブレーキの異常の有無

  2)スライド機構の異常の有無

  3)一行程一停止機構、急停止機構及び非常停止装置の
   異常の有無

  4)電磁弁、減圧弁及び圧力計の異常の有無

  5)配線及び開閉器の異常の有無

2 事業者は、前項ただし書のシャーについては、その使用を
  再び開始する際に、同項各号に掲げる事項について
  自主検査を行わなければならない。


定期自主検査を行うのは、プレス機だけではありません。
シャーについても行います。

シャーも1年以内1回ごとに、定期自主検査を行います。

検査内容は、プレス機と似通ったものが多いです。

こちらも、普段の点検では目の届かないところまで、チェックを行います。

(定期自主検査の記録)
第135条の2
事業者は、前2条の自主検査を行ったときは、
次の事項を記録し、これを3年間保存しなければならない。

  1)検査年月日

  2)検査方法

  3)検査箇所

  4)検査の結果

  5)検査を実施した者の氏名

  6)検査の結果に基づいて補修等の措置を
   講じたときは、その内容


定期自主検査はただ行っただけではいけません。
必ず記録を残します。

定期自主検査は記録し、3年間は保管しなければなりません。

もし事故があった場合、定期自主検査を行っていたかは、調査対象になります。

口でやってましたと言っても、証拠になりません。
実施していたとしても、記録がなければ、やっていないことになるのです。

検査を行うのはもちろんのこと、記録の保管も必ず行いましょう。

(特定自主検査)
第135条の3
動力プレスに係る法第45条第2項の厚生労働省令で
定める自主検査(以下「特定自主検査」という。)は、
第134条の3に規定する自主検査とする。

2 動力プレスに係る法第45条第2項の厚生労働省令で
  定める資格を有する労働者は、次の各号のいずれかに
  該当する者とする。

  1)次のいずれかに該当する者で、厚生労働大臣が定める
   研修を修了したもの

   イ 学校教育法 による大学又は高等専門学校において
     工学に関する学科を専攻して卒業した者
    (大学評価・学位授与機構により学士の学位を
     授与された者(当該学科を専攻した者に限る。)
     又はこれと同等以上の学力を有すると認められる者を
     含む。
     第151条の24第2項第1号イにおいて同じ。)で、
     動力プレスの点検若しくは整備の業務に2年以上従事し、
     又は動力プレスの設計若しくは工作の業務に5年以上
     従事した経験を有するもの

   ロ 学校教育法 による高等学校又は中等教育学校において
     工学に関する学科を専攻して卒業した者で、
     動力プレスの点検若しくは整備の業務に4年以上従事し、
     又は動力プレスの設計若しくは工作の業務に7年以上
     従事した経験を有するもの

   ハ 動力プレスの点検若しくは整備の業務に7年以上従事し、
     又は動力プレスの設計若しくは工作の業務に10年以上
     従事した経験を有する者

   ニ 法別表第18第2号に掲げるプレス機械作業主任者
     技能講習を修了した者で、動力プレスによる作業に
     10年以上従事した経験を有するもの

  2)その他厚生労働大臣が定める者

3 動力プレスに係る特定自主検査を法第45条第2項 の
  検査業者(以下「検査業者」という。)に実施させた場合に
  おける前条の規定の適用については、同条第5号中
  「検査を実施した者の氏名」とあるのは、
  「検査業者の名称」とする。

4 事業者は、動力プレスに係る特定自主検査を行ったときは、
  当該動力プレスの見やすい箇所に、特定自主検査を行った
  年月を明らかにすることができる検査標章を
  はり付けなければならない。


プレス機もシャーも、定期自主検査を行う必要がありますが、検査の仕方については、大きく異なります。

シャーは、自主検査なので、自社の整備担当が検査し、記録しても大丈夫です。
多くの場合は、メーカーやメンテナンス業者が行うと思いますが、法的には問題ありません。

しかしプレス機は、自社の整備担当が行うのではダメなのです。

プレス機の定期自主検査は、特定自主検査としなければなりません。

特定自主検査とは、有資格者が行う検査ということです。
資格をとるためには、一定の学科等を修め、経験年数が必要となります。
大きな工場等であれば、そのような人材を抱えることができるかもしれませんが、多くの場合は難しいでしょう。

そのため、専門のメンテナンス業者やメーカーで長年業務に携わる人が、特定自主検査を担当します。

つまり特定自主検査とは、プロが厳しくチェックする検査なのです。

特定自主検査の対象となる機械には、フォークリフトや移動式クレーンなどいくつかあります。
プレス機もこのような機械と同様、厳しく検査される機械なのです。

それだけ、取り扱いに慎重さを要求される機械だとも言えます。

特定自主検査を終えたプレス機には、検査証が貼り付けられます。
この検査証がなければ、原則使用できないのです。

注意点として、プレス機は特定自主検査の対象ですが、シャーは対象ではありません。
シャーは、あくまでも定期自主検査の対象となります。

混同しそうですが、区別はあるので、注意が必要です。
労働安全コンサルタント試験では、この辺りは出題されますので、要チェックです。

プレス機は、取り扱い時には作業主任者を必要とし、定期検査も特定自主検査となるほど、厳密に管理される機械です。

それだけ事故になった時の被害が大きく、危険が多い機械だと言えます。

危険の大きな機械なのですから、点検を怠るわけにはいきません。

特定自主検査は、毎年のように出費されるものです。
しかし品質を保ち、安全に長く使い続けるためのものです。

確実に、検査を行っていく必要がありますね。

まとめ。

【安衛則】

第134条の3
動力プレスについては、1年以内ごとに1回、自主検査を行わなければならない。
第135条
動力により駆動されるシャーについては、1年以内ごとに1回、自主検査を行わなければならない。
第135条の2
自主検査を行ったときは、次の事項を記録し、これを3年間保存しなければならない。
第135条の3
動力プレスの自主検査は特定自主検査とする。

 

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