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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

ロール機など特殊機械の危険防止。

      2015/06/11

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機械は目的の加工ごとに製造を行います。

原材料に対しては、切る、曲げる、粉状にするなどの加工を行います。
これらはどちらかと言うと、単純な加工であると言えます。

しかし最終的な製品に近くなれば、なるほど複雑な加工を必要とするものもあります。

例えば元は木材から、紙を作りますが、最初の段階は木材を適当な大きさに切るところから始まります。
その後様々な工程を経ることにより、最終的に薄く伸ばされた紙になるのです。

できあがった紙は、その後ノートになったり、印刷物になったりと別の工程に回されます。

紙を仕上げるときには、最終的に薄く延ばします。
この薄く延ばすのも機械が行います。

安衛則では、このような特殊機械にも、規定を設けているのです。

【安衛則】

第7節 ロール機等

(紙等を通すロール機の囲い等)
第144条
事業者は、紙、布、金属箔等を通すロール機の労働者に危険を
及ぼすおそれのある部分には、囲い、ガイドロール等を
設けなければならない。


ロール機は、紙や布などを薄く延ばすためのものです。
大きなローラーが、ほんのわずかな隙間を挟んで、2つ並んだ構造です。
ローラーはぐるぐる回転し、延ばす材料が、この隙間を通ることで、薄くなるのです。

ほんのわずかな隙間と言いますが、どれくらいかというと、紙の薄さを見て下さい。
この薄さです。
指一本も入り込みません。

しかし、ぐるぐる回転しているローラーに、誤って服の一部などが入ってしまい、引きずり込まれたら、恐るべきことになりますね。
またむき出しになっているローラーに引っかかっても、危険ですね。

ロール機で、接触して危険を及ぼすような場所には、囲いなどを設けます。

危険な場所は、直接触れられないようにするのが原則なのです。

(織機のシヤットルガード)
第145条
事業者は、シヤットルを有する織機には、シヤットルガードを
設けなければならない。


織機とは、繊維から、布を織る機械です。

いわゆる機織りの機械です。

何本もの縦糸の間に、横糸を走らせ、ガッタンガッタンと織る。
糸はそのままだとフニャフニャしています。

縦糸の間を通すときには、端から端まで一気に走らせるための重りが必要です。
この重りの役割を果たすものが、シャトルというものです。

シャトルは縦糸の間を往復するものです。

機械化しても、やっていることは基本的に同じで、縦糸の間を、シャトルが走ります。

このシャトルは、勢いよく左右に動きます。
しかしもし飛び出す先に人がいれば、シャトルがぶつかってしまいます。

高速で動くシャトルが当たろうものなら、下手をすると体に刺さってしまいます。

シャトルを使う織機は、シャトルガードを設けなければなりません。

外に飛び出さないような、覆いやカバーを設けるのが大切です。

(伸線機の引抜きブロック等の覆い等)
第146条
事業者は、伸線機の引抜きブロック又はより線機のケージで
労働者に危険を及ぼすおそれのあるものには、覆い、囲い等を
設けなければならない。


伸線機とは、電線や鉄筋など、金属を細長い棒や糸状にするための機械です。
熱く熱し、柔らかくなった金属の末端をつかみ、グイーっと引っ張ってやることで、細く長くします。

金属を引っ張る部分を、引抜ブロックなどと言います。

また細く引き伸ばした針金を、より合わせロープのように太く編んでいくより線機というものもあります。

伸線機やより線機で、作業者が接触するおそれのある場所には、囲いや覆いを設けなければなりません。

機械の内、動くところは、人に当たると大怪我を招いてしまいます。
動くところには、囲いや覆いで保護しなければならないのです。

(射出成形機等による危険の防止)
第147条
事業者は、射出成形機、鋳型造形機、型打ち機等
(第130条の9及び本章第4節の機械を除く。)に
労働者が身体の一部を挟まれるおそれのあるときは、
戸、両手操作式による起動装置その他の安全装置を
設けなければならない。

2 前項の戸は、閉じなければ機械が作動しない
  構造のものでなければならない。


材料を挟んで型抜きを行う機械では、プレス機と同様に、指などを挟まれないようにしなければなりません。

射出成形機、鋳型造形機、型打ち機等の機械では、作業者の体の一部がはさまれないような安全装置を設けなければなりません。

安全装置として、両手操作式等があります。
両手操作式とは、機械を動かすには、離れた場所にある2つのスイッチを同時に押さなければならないというものです。 スイッチ同士が離れているので、両手で押す必要があります。
両手がスイッチの上にあるので、はさまれないのです。

両手操作式の不安全行動として、一方の操作スイッチをテープなどで固定し、常にONの状態にして、もう一方のみのスイッチを押すというケースがあるそうです。
これだと全く意味がありませんね。

このような改造は、やってはいけませんし、職長はやらせてはいけません。

(扇風機による危険の防止)
第148条
事業者は、扇風機の羽根で労働者に危険を及ぼすおそれの
あるものには、網又は囲いを設けなければならない。


扇風機の羽根は接触できないように網や囲いを設けなければなりません。

家庭用の扇風機でもカバーがついていますね。
それと同じなので、イメージしやすいのではないでしょうか。

工業用の扇風機は、家庭用に比べかなり強力なので、厳重にする必要があります。

ロール機他、様々な用途の機械には、その動きに応じた安全装置があります。
安衛則で規定されているもので、全ての危険を防げるわけではありません。最低限必要なことです。

実際には各メーカーが、より安全に仕事ができるような対策をとっています。

安全対策があっても、使う人がそれを無視すると、元も子もありません。

安全装置は時として、作業効率を下げてしまいます。
両手操作式の機械ですと、いちいち両手でスイッチを押すのが手間だといった具合です。

しかしなぜ、そのような操作方法になっているのかを理解すると、あえて危険を犯すことはないのではないでしょうか。

ただ何をやるのかのみの教育だと、作業者は安全対策も作業の一部であると考えます。

なぜこのような対策をとっているのか。

作業方法とその理由をしっかり教育することが大事なことではないでしょうか。

まとめ。

【安衛則】

第144条
紙、布、金属箔等を通すロール機には囲い、ガイドロール等を設けなければならない。
第145条
シヤットルを有する織機には、シヤットルガードを設けなければならない。
第146条
伸線機の引抜きブロック又はより線機のケージがある機械には、覆い、囲い等を設けなければならない。
第147条
射出成形機、鋳型造形機、型打ち機等には、戸、両手操作式による起動装置その他の安全装置を設けなければならない。
第148条
扇風機の羽根でには、網又は囲いを設けなければならない。

 

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