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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

産業用ロボットの危険防止。

      2015/05/30

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楳図かずおさんの「わたしは真悟」という作品は、ロボットが人格を持ち、最終的には世界中を巻き込む混乱を生み出してしまう話です。

この作品に出てくるロボットは、アームとアームの間に目の代わりのセンサーを持った産業用の機械でした。
相性はモンローと名付けれられたこのロボットは、とあるきっかけにより人格が誕生するまで、農業機械を日夜組み立てていました

余談から入ったのですが、製造過程の工業化は、単に原材料加工だけではなく、製品の組立にまで及びます。
数百、数千という部品から構成される製品は、非常に複雑なプロセスを経ることになります。

複雑な作業は、手作業のほうが融通が効きます。
しかし毎日、大量の製品を作っていくのであれば、人手を増やしたところで、限界があります。

手作業のように複雑な作業を行うための機械、それが産業用ロボットです。

ロボットと他の機械との違いは、とてもシンプルに言うと、学習機能があるかどうかと言えます。

ノコ盤や旋盤、プレス機などの機械は、原則として1つの動きしかしません。
ノコ盤は切るだけですし、プレス機は挟んで圧力を掛けるだけです。

これらの機械は作業者が操作することで、1つの作業を行います。

一方、産業用ロボットが仕事を行う時に、作業者の操作を必要としません。
教えられた作業を、自動的に行い続けます。

人間が行うのと違って、休むことも、飽きることも、うっかりミスも行いません。

中には非常に、複雑な作業を行うこともあります。

製品が複雑化していく中で、産業用ロボットが占める割合は非常に大きく、工場の中で人と共存しています。

この産業用ロボットも、機械ですので、取り扱いを間違えると人に危害を加えてしまいます。
人同士であれば、危険を及ぼそうとしたら、気づきますが、ロボットは教えられたことしかできません。

ロボットの取り扱い、特に近づく場合には、注意しなければいけません。

この注意について、安衛則でも規定されているのです。

【安衛則】

第9節 産業用ロボット

(教示等)
第150条の3
事業者は、産業用ロボットの可動範囲内において
当該産業用ロボットについて教示等の作業を行うときは、
当該産業用ロボットの不意の作動による危険
又は当該産業用ロボットの誤操作による危険を防止するため、
次の措置を講じなければならない。
ただし、第1号及び第2号の措置については、産業用ロボットの
駆動源を遮断して作業を行うときは、この限りでない。

  1)次の事項について規程を定め、これにより作業を
   行わせること。

   イ 産業用ロボットの操作の方法及び手順

   ロ 作業中のマニプレータの速度

   ハ 複数の労働者に作業を行わせる場合における
     合図の方法

   ニ 異常時における措置

   ホ 異常時に産業用ロボットの運転を停止した後、
     これを再起動させるときの措置

   ヘ その他産業用ロボットの不意の作動による危険又は
     産業用ロボットの誤操作による危険を防止するために
    必要な措置

  2)作業に従事している労働者又は当該労働者を監視する者が
   異常時に直ちに産業用ロボットの運転を停止することが
   できるようにするための措置を講ずること。

  3)作業を行っている間産業用ロボットの起動スイッチ等に
   作業中である旨を表示する等作業に従事している
   労働者以外の者が当該起動スイッチ等を操作することを
   防止するための措置を講ずること。

産業用ロボットに近づく時、それはロボットに作業内容を教える時です。

ロボットに動きを教える必要があるので、部品を取り上げる位置、部品を取り付ける時に腕を動かすルート、部品の取り付け方など、事細かに教えてあげなければいけません。

人に教えるのであれば、お手本を見せてという感じになるでしょうが、これはロボットには効果はありません。

1つ1つの実際に動かしながら、教え込みます。

ロボットが動いている側に近づくわけですから、不意に予定外の動きをされると、とても危険です。
ロボットは、機械ですので、強い力を持ち、手加減もしらないのです。

産業用ロボットに、作業内容を教えるために接近する時は、接触する危険を防止しなければなりません。

危険防止のために行うこととして、次のようなことがあります。

1.作業手順を定める
2.ロボットの腕の部分(マニプレーター)の動く速度を、危険のない遅さとする
3.複数の人で行う場合の、合図
4.ロボットの暴走などが合った場合の、対処方法
5.ロボットを停止した場合、再起動の方法


その他、危険防止のための対策を、あらかじめ決めておく必要があります。

もしロボットの動きがおかしかったり、危険を及ぼそうとしてる時には、監視者が緊急停止できるようにします。

また停止中、勝手に第三者がロボットを動かすということも防がなければなりません。

人とロボットの接触時には、事前の準備と対策が必要なのです。

(運転中の危険の防止)
第150条の4
事業者は、産業用ロボットを運転する場合(教示等のために
産業用ロボットを運転する場合及び産業用ロボットの
運転中に次条に規定する作業を行わなければならない
場合において産業用ロボットを運転するときを除く。)において、
当該産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が
生ずるおそれのあるときは、さく又は囲いを設ける等
当該危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。

一度ロボットに動きを教えると、あとは自動的に同じ動きをします。

そうなると、もう完全に仕事を任せて大丈夫になります。
特に何か操作してやる必要はなくなります。

しかしロボット運転中に、近づく必要があった場合には、注意しなければなりません。
スピーディーに動いている所に近づいて、接触したり、巻き込まれてしては大変です。

産業用ロボットの運転中は、接触防止のため、柵や囲いを設けなければなりません。

作業中は、動きを教えている時のようにゆっくりとした動作ではありません。
勢いよく振り回される腕に接触すると、大怪我になってしまいます。

(検査等)
第150条の5
事業者は、産業用ロボットの可動範囲内において
当該産業用ロボットの検査、修理、調整(教示等に
該当するものを除く。)、掃除若しくは給油
又はこれらの結果の確認の作業を行うときは、
当該産業用ロボットの運転を停止するとともに、
当該作業を行っている間当該産業用ロボットの
起動スイッチに錠をかけ、当該産業用ロボットの
起動スイッチに作業中である旨を表示する等当該作業に
従事している労働者以外の者が当該起動スイッチを
操作することを防止するための措置を講じなければならない。
ただし、産業用ロボットの運転中に作業を行わなければならない
場合において、当該産業用ロボットの不意の作動による危険
又は当該産業用ロボットの誤操作による危険を防止するため、
次の措置を講じたときは、この限りでない。

  1)次の事項について規程を定め、これにより作業を
   行わせること。

   イ 産業用ロボットの操作の方法及び手順

   ロ 複数の労働者に作業を行わせる場合における
     合図の方法

   ハ 異常時における措置

   ニ 異常時に産業用ロボットの運転を停止した後、
     これを再起動させるときの措置

   ホ その他産業用ロボットの不意の作動による危険
     又は産業用ロボットの誤操作による危険を
     防止するために必要な措置

  2)作業に従事している労働者又は当該労働者を監視する者が
   異常時に直ちに産業用ロボットの運転を停止することが
   できるようにするための措置を講ずること。

  3)作業を行っている間産業用ロボットの運転状態を
   切り替えるためのスイッチ等に作業中である旨を
   表示する等作業に従事している労働者以外の者が
   当該スイッチ等を操作することを防止するための
   措置を講ずること。

最初に動きを教える以外で、産業用ロボットに近づく状況としては、修理や点検、清掃、給油などがあります。

この時ばかりは、近づいたり、触ったりする必要があります。

ロボットに近づくのですから、動きを教えるときと同様の注意が必要です。

産業用ロボットの修理や点検、調整、清掃、給油などにより、接近する場合は、ロボットの動くことによる危険を防止しなければなりません。

具体的な注意点は、動きを教える時と同様です。

(点検)
第151条
事業者は、産業用ロボットの可動範囲内において
当該産業用ロボットについて教示等(産業用ロボットの
駆動源を遮断して行うものを除く。)の作業を行うときは、
その作業を開始する前に、次の事項について点検し、
異常を認めたときは、直ちに補修その他必要な措置を
講じなければならない。

  1)外部電線の被覆又は外装の損傷の有無

  2)マニプレータの作動の異常の有無

  3)制動装置及び非常停止装置の機能

産業用ロボットの点検時期については、1年に1回など特に決まってはいませんが、長く安全に使うためには、定期的に点検するのがよさそうです。

定期的な点検以外にも、作業前にも動きを確かめておく必要があります。

産業用ロボットは、その日の作業前に、点検を行い、異常箇所があれば、直ちに補修等の対応をしなければなりません。

点検する場所は、電線の被覆の状態や、動き、非常停止装置などです。

周りに危険を及ぼすようなことがないことを確かめてから、使用しなければなりません。

産業用ロボットは、高性能化、複雑化する製品を作る上で欠かせません。

「わたしは慎吾」などのように、人格を持ち、この世の支配者然とするのは、考えものですが、ロボットが高度になっていくのは間違いないでしょう。

人とロボットは上手に付き合っていく必要があります。

アイザック・アシモフはロボット3原則というものを作りましたが、その1つは「ロボットは人を傷つけない」というものがあります。

しかしそのような原則があっても、ロボットは自分で判断できません。
人自身が、傷つけられないように対応していかなければならないのです。

ロボットに近づくときには、十分に準備と注意を行うこと。

今、ロボットと安全に付き合うためには、人が主体的でなければなりませんね。

まとめ。

【安衛則】

第150条の3
産業用ロボットの可動範囲内において教示等の作業を行うときは、ロボットの不意の作動による危険防止の措置を講じなければならない。
第150条の4
産業用ロボットを運転する場合において、ロボットに接触する危険がないように、措置を講じなければならない。
第150条の5
産業用ロボットの可動範囲内においてロボットの検査、修理、調整、掃除等を行う場合は、運転を停止するとともに、第三者がスイッチを入れないような措置をとらなければならない。
第151条
産業用ロボットの可動範囲内において 教示等の作業を行うときは、点検し、異常を認めたときは、直ちに補修その他必要な措置を講じなければならない。

 

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