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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

事故時の救命措置を知ることが、命をつなぐ

      2015/05/30

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もし事故が起こった時、どうするか!?
もし怪我人がいる時、どうするか!?

言霊のリスクの回でも書いたのですが、どんなに事故が起こらないように、あれこれ対策をとっていても、事故発生をゼロにすることは不可能です。

残念ながら事故は起こるときには起こります。

もし事が起こってしまった時には、パニックになるでしょうし、あれこれやろうとしまうけど、何よりやらなければならないことがあります。

それは、怪我人の救助です。

とにかくまずは被災者の命を守らなければなりません。
これは何を差し置いても、第一優先なのです。

事故が起こって、あたふたするのは仕方ないとして、これはしっかり頭に入れておきましょう。
そして頭に入れておくだけでなく、行動に移せるようにしましょう。

では、実際に何を行えばいいのか。

今月の安全大会のテーマは、事故時の対応について考えてみましょう。

事故の起こり方は、様々です。

いくつか上げてみると、墜落、はさまれ、巻き込まれ、切れ、激突、火災、感電、酸欠、熱中症など、数限りありません。

事故発生の状況も、全部異なります。

そのため、こんな事故の時は、こうしましょうというシミュレーションは、難しいです。

しかし、工場内での事故など、限られた範囲の中で仕事を行うのであれば、ある程度想定できるので、対処を検討しておくといいですね。
とはいえ、建設業は、現場ごとに状況が異なるので、難しいかもしれません。

大きな枠として、やるべきことをまとめていきましょう。

1.怪我人の安全確保と状態の観察

怪我人が倒れており、まだ近くに危険があるのなら、できる限りその場から救済しましょう。

これと同時に、意識はあるか、どこを怪我したのか、怪我の具合はなども、観察します。
意識の有無は、特に大事です。

交通事故で路上に人が倒れている場合、車が行き交う場所に、寝かせていたら、二次被害になるかもしれませんね。

機械にはさまれたならば、機械を停め、はさまれている場所から出してあげます。
資材などの下敷きになっているならば、引き出してあげましょう。

しかし注意が1つ。これも状況によります。

怪我の状況によっては、動かさないほうがよい場合もあります。

頭を打ち、意識がない場合、下手に移動させると、脳にダメージが残ることもあります。

この見極めが大事ですが、もし自分たちでは判断ができない時は、ひとまずできる限り安全を確保し、次のステップに移ります。

2.119に連絡

これは、1と同時に行ってもよいです。

119に電話し、救急車の出動を依頼しましょう。

同時に、電話で怪我人の状態を報告し、指示を仰ぎましょう。
怪我人を動かしても良いかどうかも、この時聞きます。

119への連絡は、迅速に。
誰かが掛けるだろう、責任者が掛けるだろうと思っていたら、手遅れになります。
直接救助作業を行わない人が、掛けましょう。
結果的に、複数通報することもあるかもしれませんが、緊急性を要することです。
ゼロより、被るほうがいいはずです。

119に通報しても、救急車が来るまでには、数分から十数分かかります。

その間、怪我人を放置しておくと、症状は悪化していきます。
もし、心臓が停止している、呼吸が止まっているのに放置したら、亡くなってしまいます。

救急車が来るまでは、救命措置や応急処置を行いましょう。

3.救命措置・応急措置を行う

救命措置、応急措置は、症状によって異なりますので、いくつかのパターンを見ていきます。

(1)心臓停止・呼吸停止の場合

最も深刻な状況です。
脳への酸素供給が3分止まると、脳に深刻なダメージが残ります。

脳に酸素を送るのは血液によってです。心臓が動いていないと、脳はあっという間に死んでいくのです。

呼吸をしていない、心臓が動いていない場合は、次の手順で、心臓マッサージと人工呼吸を行います。

 1)意識があるかを確認
   肩をたたく、呼びかけるなどして確認します。
   反応があればよいのですが、ない場合は、次のステップです。 
 
 2)気道の確保と呼吸の確認
   無意識でも、自分で呼吸をしているかを確認します。
   この時、呼吸をしやすいようにしてあげます。これを気道確保と言います。

   気道確保は、怪我人の額に片手を当て、もう片方の手の人差し指と中指で
   顎先を上に持ち上げます。下顎を上げてやる格好にします。

   起動を確保したら、10秒程度、呼吸をして胸が上下しているかを観察します。

   呼吸をしていれば、回復体位というものをとらせます。

   もし呼吸をしていない場合は、次のステップです。

 3)人工呼吸
   人工呼吸を行う場合は、空気の通りが良い所で行いましょう。
   室内なら窓を開けてやります。

   気道確保したまま、鼻をつまみ、口から息を吹き込みます。
   時間は1秒程度。息を吹き込みながら、胸が盛り上がりを見ます。
   回数は2回行います。

   もし心停止をしているようならば、次のステップです。

 4)心臓マッサージ
   心臓マッサージは、怪我人の硬い床や地面の上で行いましょう。
   地面が柔らかいと、マッサージで押さえつけても、地面が沈んでしまって、
   効果が薄くなります。

   手を置く位置の目安は、みぞおちの上にある肋骨の一番下から、
   指3本程上にある位置。大体、両乳首を結ぶ線上で、胸の中心です。
   心臓は体の左側にあるといいますが、ほんのちょっと左にすぎません。
   だから胸の中央をマッサージするので、よいのです。

   胸の上に両手を重ね、真上から押します。
   押しこむ深さは、約5センチ。大体男性の手のひらの厚さが沈む程度です。

   これを1分間に100回ペースで行いましょう。
   1秒間に約1回よりも、少し早いペースです。
   なるべくリズミカルにマッサージします。
   
   30回マッサージしたら、いったん手を止め、人工呼吸を2回行います。

   心臓が動き出すまで、もしくは救急車が来るまで続けましょう。

   心臓マッサージで強く押しすぎ、肋骨が折れることもあるそうです。
   そう考えると躊躇してしまうかもしれませんが、優先すべきは命です。
   命が助かれば、骨折は治ります。
   救命時は、心臓マッサージを優先で考えましょう。

  5)AEDで電気ショック
   AEDが近くにある場合は、使用します。
   AEDは心臓停止時に使います。動いている時に使ってはいけません。

   AEDを箱から取り出し、スタートボタンを押すと、使い方説明が
   音声で流れるはずです。
   この指示に従いましょう。
   
   AEDによる電気ショックのあとは、放置するのではなく、人工呼吸と
   心臓マッサージを行います。

   AEDを使ったから、心臓マッサージは不要だということはないので
   要注意です。

 以上のことを、救急車が到着するまで行います。
 不安な場合は、119の電話口で、やり方を聞いてもいいです。

(2)切り傷・出血の場合

  最も大切なことは、出血を止めることです。

  応急的に出血を止める方法は、主に3つあります。
  しかし3つ目の方法は、最終手段なので、他に手がない場合に行います。

  なお、直接血液に触れると、感染症に掛かる恐れがあります。
  特に肝炎やHIVなどは、血液を介して感染します。
  ビニルなどで手を覆うなどして、直接接触しないようにしましょう。

  1)直接圧迫法
    傷口の上に、ハンカチやタオルなどを置き、強く圧迫する方法です。
    小さな傷や、出血の勢いが比較的弱い場合に有効です。
    少し黒みを帯びた血液は、静脈血ですが、こちらには有効です。

  2)間接圧迫法
    動脈を切ってしまった場合などに有効です。
    傷口よりも心臓に近い動脈を、指で強く抑えて、血液の流れを止めます。
    動脈は直接圧迫では止まりません。血液の流れを止めてやる必要があるです。

  3)止血帯法
    最終手段です。なるべくなら避けたい方法でもあります。
    これも動脈を切った場合ですが、かなり大きな傷、例えば手足を切断した
    等の場合に使います。
    大量出血の時に、血を止める方法です。

    傷口よりも心臓に近い部分を、包帯や幅広のロープで、きつく縛ります。
    完全に血液の流れを遮断するのです。
    これにより、血は止まりますが、同時に血液が流れなくなった組織も死にます。

    切断などもあり得ます。出血多量で死亡するおそれがある場合の、対処と
    いえますね。

この他の怪我として、骨折や火傷などもありますが、それらはまた別の機会に回します。

4.救急車到着

応急処置をなどをしていて、救急車が到着したら、救命隊員に怪我人の状態、どんな応急処置をしてのかなどを説明しましょう。

情報が多いほど、救命隊員も判断材料が増えます。

このために観察をしっかり行っておく必要があるです。

5.二次被害の拡大防止と関係先連絡

救命措置や応急措置と平行して、こちらを行います。
倒れてきそうなものがあれば、取り除くなど、被害の拡大を防ぎます。

また事務所や関係役所、警察など必要な場所に連絡を行います。

以上が、大体共通する事故対応ではないでしょうか。

事故が起こった時、パニックになります。
何をやればいいのか、慌てふためくのは仕方ありません。

ところが、慌てる時間が長いと、怪我人の命にかかわるのも事実。
そのためには、すぐ何をするべきかを、知っておくことが大事なのです。
頭の片隅にでも、事故対応方法があれば、初動が早くなるものです。

もしもの時に備えて、事故時の手順を、大きく掲示しておくこともいいですね。
また消防署では、心臓マッサージや人工呼吸の方法、AEDの使い方、その他の怪我の対応について、教えてくれます。

もし消防署と調整がつけられるなら、依頼するのもいいですね。
自動車学校では、そのような講習があったと思いますが、一度やっておくと、いざという時役に立ちます。

事故は起こさないことに越したことはありませんが、起こるときには起こります。
その時、どうするのか。

準備することは、いざというときの人命救助になりますね。

H2705月号

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