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現場の安全管理体制3 「関係請負人の安全衛生責任者」

      2015/05/30

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作業現場の安全衛生管理体制について、特定元方事業者について、触れてきたのですが、これは現場全体をまとめる立場としての責務でした。

特定元方事業者ならば、労働者の人数により統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者もしくは店社安全衛生管理者を選任して、安全衛生管理にあたらせなければなりません。

しかし現場作業は、特定元方事業者や元方事業者のみで、できるものではありません。
多くの場合、複数の会社とともに行います。
こられの会社は、協力業者や下請け業者とも呼ばれるのですが、法的には「関係請負人」と言われます。

今回はこの「関係請負人」と関係請負人が選任する「安全衛生責任者」についてまとめたいと思います。

関係請負人と人格扱いなのは、法人というように、会社を1人の人のように見ているのです。
多くの場合は、関係請負人=会社=会社代表者という感じでしょうか。
条文上は、そういうものなのです。

この図をご覧ください。

事業者等図
関係請負には、(特定)元方事業者から、仕事を請け負っている人のことです。

毎度毎度の家庭で例えたらですが、親から子どもがお小遣いをもらって、家の手伝いをするという関係に、さも似たり。

元方事業者から仕事を請け負っているので、元方事業者からの作業の指導のみならず安全衛生に関する指導も従わなければならないのは、なんとなく分かりますね。

さて関係請負人は、また別の関係請負人に仕事を請け負わすこともあります。
元方事業者 → 一次下請け → 二次下請け ・・・・
という構造になることもあります。

建設業では、こういった、複層下請けの構造はよく見られます。
理由は簡単。仕事が多岐で専門化しているからです。

建物であれば、土工事をして、基礎を作る。鉄骨を立てる。クレーンを使う。壁を作る。内装を行うなど全て別の会社がやるということも珍しくありません。

工事現場には、必ず工事を行っている会社の一覧を掲示しています。
この掲示を見てみると、驚くほどたくさんの会社が工事しているのだなと驚くと思います。

さて、関係請負人は特定元方事業者だけではないことに注意しなくてはいけません。
特定以外の元方事業者の関係請負人になることもあります。

作業場の安全は、元方事業者のみで作るものではありません。
関係請負人も作業場で、安全な現場を作るチームの一員です。
元方事業者、関係請負人全員が力を合わせて安全で衛生的な現場を作るのです。


特定元方事業者であれば、その職務を統括安全衛生責任者などが担当します。< 同様に、関係請負人も、安全衛生の職務を行う担当者を選任しなくてはいけないのです。

この関係請負人の安全衛生の担当者を「安全衛生責任者」といいます。

安全衛生責任者については、安衛法第16条に規定されています。

【安衛法】

(安全衛生責任者)
第16条
第15条第1項又は第3項の場合において、
これらの規定により統括安全衛生責任者を選任すべき
事業者以外の請負人で、当該仕事を自ら行うものは、
安全衛生責任者を選任し、その者に統括安全衛生責任者との
連絡その他の厚生労働省令で定める事項を
行わせなければならない。

2  前項の規定により安全衛生責任者を選任した
  請負人は、同項の事業者に対し、遅滞なく、
  その旨を通報しなければならない。


統括安全衛生責任者を選任すべき事業者以外の請負人は、安全衛生責任者を選ばなくてはならないとあります。
つまり特定元方事業者が統括安全衛生責任者を選任した現場では、関係請負人は安全衛生責任者を選任しなくてはならないのです。
ですから、労働者数が一定数に満たない場合は、選任する必要がありません。関係請負人の作業責任者が、その役を兼ねるわけです。

さて、安全衛生責任者の主な職務は、統括安全衛生責任者との連絡などのやり取りになります。
統括安全衛生責任者の指示を、自分の会社の労働者に伝え、実行させなければなりません。

統括安全衛生責任者を選任したら、作業開始後、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に報告しなければなりませんでした。
関係請負人が安全衛生責任者を選任したら、統括安全衛生責任者を選任している特定元方事業者に報告しなくてなりません。
労働基準監督署長への報告は不要です。また作業開始後ではなく、選任後、遅滞なくですね。

さて、特定元方事業者から見て孫請け、つまり2次下請けの関係請負人が安全衛生責任者を選任した場合も、特定元方事業者に報告すればよいかというと、そうではありません。

下請けの下請けは、1次下請けの関係請負人が取り仕切ります。
ですから、基本的には直接請負の関係にあるところに報告します。
つまり、3次下請けなら、2次下請けに。2次下請けなら1次下請けに報告です。
1次下請けの請負人は、全て取りまとめて、特定元方事業者に報告します。

さて、安全衛生責任者の職務についての詳細は、安衛則に規定されています。

【安衛則】

(安全衛生責任者の職務)
第19条
法第16条第1項 の厚生労働省令で定める事項は、
次のとおりとする。

  1)統括安全衛生責任者との連絡

  2)統括安全衛生責任者から連絡を受けた事項の
   関係者への連絡

  3)前号の統括安全衛生責任者からの連絡に係る
   事項のうち当該請負人に係るものの実施に
   ついての管理

  4)当該請負人がその労働者の作業の実施に関し
   計画を作成する場合における当該計画と
   特定元方事業者が作成する法第30条第1項第5号
   の計画との整合性の確保を図るための
   統括安全衛生責任者との調整

  5)当該請負人の労働者の行う作業及び
   当該労働者以外の者の行う作業によって生ずる
   法第15条第1項 の労働災害に係る危険の有無の確認

  6)当該請負人がその仕事の一部を他の請負人に
   請け負わせている場合における当該他の請負人の
   安全衛生責任者との作業間の連絡及び調整


基本的には、統括安全衛生責任者との連絡調整がメインですね。

まとめると、次のとおりです。

1)統括安全衛生責任者との連絡

2)統括安全衛生責任者から連絡を受けた事項の関係者への連絡

3)統括安全衛生責任者からの連絡を受けた事項の内、自社に関係することについての実施の管理

4)自社に関係する作業計画、機械や設備の配置について、特定元方事業者が作成した計画との
 整合性を確保するために、統括安全衛生責任者との調整

5)自社の労働者の作業、及び自社以外の労働者の作業で労働災害が起こらないかの確認

6)他の会社に仕事の一部を請け負わせている場合は、その会社の安全衛生責任者との連絡調整


少し言葉を砕きましたが、以上です。
関係請負人の責任の範囲は、主に自分の会社の作業です。
自社の作業範囲が他社と重なるようなら、調整し、自社が下請けを持っている場合ならば、その下請けとの連絡調整が必要になります。

統括安全衛生責任者は作業場全体を見ますが、安全衛生責任者は統括ではないので、自社の範囲に責任を持つということです。

関係請負人を選任するにあたって、特に資格は不要です。
しかし、統括安全衛生責任者と同様に、不在になる場合には、代理人が必要です。
代理人の選任は、統括安全衛生責任者に報告する必要はありません。
とはいえ、一言言っておかないと、後でトラブルになりかねないので、義務ではないですが、報告したほうが良さそうですね。

たくさんの会社が作業を行っている現場では、会社間の調整が重要です。
ただでさえ危険を伴う工事。作業場所の取り合いなどしていたら、目も当てられない状況になりません。

関係請負人は管理だけでなく、実作業を行います。
安全衛生責任者は関係請負人の安全衛生の責任者なのですから、実は特定作業での安全実務は、安全衛生責任者が担っているといってもいいのです。


ただの統括安全衛生責任者との連絡員ではないのです。
自社の労働者の安全確保だけでなく、他社の労働者の安全にも貢献する仕事なのです。

全ての関係請負人が無事故であれば、その作業場は無事故で仕事を終えることができます。 安全衛生責任者の責務は、とても大きいですね。


まとめ。
【安衛法】

第16条
統括安全衛生責任者を選ぶ作業場では、関係請負人は
安全衛生責任者を選任しなくてはならない。
安全衛生責任者は統括安全衛生責任者の連絡調整を行う。


【安衛則】

第19条
店社安全衛生管理者は、職務を果たさなければならない。

 

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