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クレーンの安全 その4。 吊り荷重3トン未満のクレーンの設置に必要なもの

      2015/06/11

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クレーンは吊上げ重量3トンを境として、管理の厳しさが大きく変わります。

3トン以上となると、製造メーカーは製造許可を、設置者は落成検査が必要になります。
中には数十トンから数百トンの重荷を吊り、空中を移動させることになるのですから、しっかりした作りでないと難しいというのは理解できるところです。

では、3トンに満たないものしか吊らないとなると、危険は少ないのでしょうか?
そんなことはありませんよね。
数百キロのものでも、落ちれば危険この上なしです。

吊り荷の下に人がいようものなら、恐ろしい結果になってしまいます。

クレーンは吊る重さに関係なく、作業そのものが危険性があるのです。

様々な規制は、3トン以上のものに対しては、厳しくなります。
3トン未満のクレーンについては、落成検査など徹底的に検査とまではいかないものの、しっかりと管理されるのです。

つまり吊り上げ荷重が重かろうが軽かろうが、管理されるし、性能試験はあるのです。
それが検査という名目になるかどうかといえます。

前条までは、吊上げ荷重が3トン以上のクレーンについて、製造から使用開始に至るまでの手続き等をまとめてきました。

今回は、3トン未満のクレーンについての手続き等をまとめていきます。

【クレーン等安全規則】

(設置報告書)
第11条
令第13条第3項第14号 のクレーンを設置しようと
する事業者は、あらかじめ、クレーン設置報告書
(様式第9号)を所轄労働基準監督署長に
提出しなければならない。
ただし、認定を受けた事業者については、
この限りでない。

安全衛生規則令第13条第3項第14号とは、
「吊り上げ荷重が0.5トン以上3トン未満(スタッカー式クレーンにあっては、
0.5トン以上1トン未満)のクレーン」 とあります。

つまり吊り上げ荷重3トン未満のクレーンについてということです。

吊り上げ荷重が0.5トン以上、3トン未満のクレーンを設置する場合は、
あらかじめ所轄労働基準監督長に設置届を提出しなければなりません。

なお、スタッカー式のクレーンの場合は、1トン未満になります。


設置届を提出するのは、3トン以上でも同様でした。

つまりクレーンを設置するときには、原則として設置届を提出しなければならないということです。

1つ注意点ですが、3トン以上と3トン未満では、クレーン設置報告書の様式が違います。
これは実際に提出する時に、労働基準監督署から指示があるのではないでしょうか。

なお吊り上げ荷重が0.5トン未満のクレーンについては、小さなものということもあり届出は必要ありません。

(荷重試験等)
第12条
事業者は、前条のクレーンを設置したときは、
当該クレーンについて、第6条第3項の荷重試験及び
同条第4項の安定度試験を行なわなければならない。

落成検査では、労働基準監督署立ち会いのもと、荷重試験や安定度試験を行いました。

3トン未満のクレーンでは、落成検査はありませんが、クレーンの性能は確かめなければなりません。
実際に作業をしていて、荷が落ちましたとなると、どうしようもありませんからね。

吊り上げ荷重0.5トン以上3トン未満のクレーンも、荷重試験と安定度試験を行わなければなりせん。

試験方法は、落成検査で行う方法と同じです。

荷重試験であれば、定格荷重の1.25倍の重さを吊上げます。
安定度試験であれば、クレーンにとって不利な条件で、1.27倍の重さのものを、ほんの少し吊上げます。

吊り上げる重さは違っていても、作業の仕方は同じなので、同じ試験を行うのです。

なお、ここでも0.5トン未満のクレーンについては、対象外となります。

クレーンは、吊る重さが3トン以上であろうが、なかろうが危険性があることには変わりありません。
3トン以上のものについては、より頑丈であるなどの信頼性が求められるのです。

しかし1トン、2トン吊る場合にも、信頼性は必要です。

そのための届けであったり、試験なのです。

除外されているものの、0.5トン未満のクレーンについても、同様であることは忘れてはいけません。

吊り荷重に関わらず、クレーンを設置する事業者は、クレーンが正しく設置され、性能が十分であることを確かめる義務があるのです。

まとめ。

【クレーン等安全規則】

第11条
のクレーンを設置しようとする事業者は、あらかじめ、クレーン設置報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
第12条
クレーンを設置したときは、荷重試験及び安定度試験を行なわなければならない。

 

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