今日も無事にただいま

「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

横浜市の工場・機械が落下し作業員が死亡

      2015/06/12

9187244107_757ef0f8e0.jpg

どんな仕事でも、毎日のように行っていくと慣れていくものです。

工場であれば、各作業者が持ち場に就き、流れてくる材料や製品に対して、決められた作業を行います。
機械を使う作業も同様で、毎回同じように操作し、加工を行います。

これは工場での製造業以外の仕事であっても、多かれ少なかれ同じです。

しかし、常に特定作業のみやっていればよいかというと、そうもいきません。

機械を使っていると、時々調整などのメンテナンスが必要です。
もし故障した時には原因を調べて、修理しなくてはいけません。

これらの作業は、いつ行うかは決まっていません。突発的にやらなければならないことも少なくありません。
いわば定常作業に対しての、非定常作業と言えます。

実は、この非定常作業の時に事故は起こりやすいのです。

横浜市で、まさに非定常作業時に、作業者が死亡という事故が起こりました。

この事故の原因を推測し、対策を検討します。

横浜市の工場・機械が落下し作業員が死亡
(平成27年4月19日)

神奈川・横浜市のリサイクル工場で、男性作業員が、落ちてきた機械の下敷きになり、死亡した。この工場では、以前も作業員が死亡する事故があり、警察は、くわしい原因を調べている。

19日午前3時半ごろ、横浜市金沢区のリサイクル工場で、木材の粉砕作業中だった作業員が、機械の下敷きになり、搬送先の病院で死亡が確認された。

警察によると、当時は、2人で作業をしていて、機械のローラーに木材が詰まったため、被災者が、機械を停止させて取り除こうとした際に、ローラーが落ちてきて、頭などを強く打ったという。

この工場では、1年半前にも、男性作業員が死亡する事故が起きていて、警察は、前回の事故も含めて、くわしい原因を調べている。

FNN(元の記事が削除されているようです。)

この事故の型は「飛来・落下」で、起因物は「機械(ローラー)」です。

リサイクル工場で、木材破砕機械で事故は起こりました。

木材破砕機は、2つのローラーが接近して並び、その間に木材を入れます。
回転するローラーの間を通る時、板のような固まりの木材は粉々になり、最終的にはチップのような粉状になります。

このチップが再生資源として、燃料などに加工されていくのです。

固く大きな木材を粉々にする機械ですので、その力は想像できるかと思います。
もし体の一部が挟まったら。
木材よりも柔らかい体はひとたまりもありません。

しかし木材を破砕機に送るのは、定常業務であり、作業者にとって慣れた作業でした。
定常作業は、どのような危険があるのかを特定しやすいため、対策や作業手順などもしっかり定めやすいのです。

対策があり、手順が決められ、作業も慣れてくると、事故は起こりにくいと言えます。
事故があったとすると、それは対策をとらなかった、手順を守らなかったなどのルール違反などが考えられます。

一方で、今回事故が起こったようなローラーの詰まりを除去しようとするなどは、定常作業に含まれません。
作業手順を考える時に、想定されず、見過ごされやすい作業とも言えます。

想定されていない作業なのですから、どんな危険があるかなども不明です。
当然、それに対する備えもありません。
非常に無防備な状態で、作業することになります。

非定常作業で事故が起こりやすいのは、何が危険かが曖昧で、作業手順も対策も立てられていないことにあります。
加えて、常日頃行うわけではない作業ですから、慣れもありません。

非定常作業における事故の背景には、このようなことがありそうです。

この事故では、ローラーが降ってきて被災者に当たったと言います。
ローラーの固定が外れたからでしょうが、機械の状態にも問題がありそうです。

それでは、原因を推測します。

1.木片作業中にローラーが機械から外れ、落下したこと。
2.ローラーの固定が外れていたこと。
3.落下防止のための対策がなかったこと。
4.ローラーが詰まった時の対処方法について、作業手順が定められていなかったこと。


直接的な原因は、ローラーが落下したことですが、背景には安全管理の問題がありそうです。

ローラーの詰まりを取り除こうとして、固定外れるのは通常では考えられません。
定期的に点検やメンテナンスを行っていれば、このような事態を避けられたのではないでしょうか。

また機械の下敷きになる可能性がある場所で、作業する場合は、作業ブロックや支え棒などの落下防止対策が必要です。
重さが何トンもに及ぶ部品なのですから、押しつぶされたらひとたまりもありません。

もし落ちてきた時に備えた安全対策が必要なのです。

そして何より、非定常作業であっても、ある程度把握できる分に関しては、作業手順を定め、安全対策を検討しておく必要があります。

全く予想もしていなかったことは案外少なく、非定常作業といえども、大体は想定できる範囲にあるはずです。
例えば、木材破砕機に木片が詰まるということは、十分に検討できるものではないでしょうか。

頻度としては少ないものの、非定常作業の検討は、事故防止のために重要です。

対策を検討します。

1.非定常作業の作業手順を定め、安全対策を検討しておく。
2.機械の一部が落下するおそれがある場合は、安全ブロックなどの落下防止を行う。
3.機械は日常的にメンテナンスを行う。


決まった作業以外でも、どんなことが起こり得るのかを検討するためには、作業者の声を聞かなければなりません。
どんな問題が起こりやすいのか、問題に対してどのように対処しているのかなど、現場の声を活かす必要があります。

それらを踏まえた上で、作業手順と安全対策を作成します。

この会社は、この事故の前にも死亡事故を起こしたとのこと。
安全管理に問題があったのではと、推測されます。

リサイクル工場は、破断する、粉砕するといった危険が機械が少なくありません。

環境のためにリサイクルを行う工場なのですから、作業員が怪我なく仕事できるための、環境作りも重大なことといえます。

iQiPlus

 - ○事故事例アーカイブ, 飛来・落下 , , ,