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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

クレーンの安全 その8。 特別教育と就業制限

      2015/06/02

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クレーンは機械ですが、実際に操作するのは人です。

クレーンの性能や強度など機械に関する条件は検査で合格していたとしても、肝心の使い方が悪ければ、危険極まりありません。

自動車に置き換えてみましょう。
1年ごと、2年ごとなどで車検を受けなければなりません。
車検を受けないと、道路を走らせることはダメなのはわかりますね。
無事車検に通ったとしても、スピード超過や信号無視などの運転をすると、交通事故を起こしかねません。

この場合の事故は、車の不具合とは関係がない、運転の過失と言えます。

クレーン操作も同様です。

最後の最後に委ねられるのは、人の手になのです。

クレーン則では、機械そのものの安全についても規定していますが、操作する人についても規定があります。

何よりクレーンは誰でも操作していいものではありません。

自動車を運転するには、運転免許が必要なように、免許か資格が必要になります。

つまり素人が使っていいものではありません。
操作するには、しっかりと教育を受けたものでなければなりません。

今回はクレーン操作者の資格についての条文をまとめます。

【クレーン等安全規則】

(特別の教育)
第21条
事業者は、次の各号に掲げるクレーンの運転の業務に
労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、
当該業務に関する安全のための特別の教育を
行わなければならない。

  1)つり上げ荷重が5トン未満のクレーン

  2)つり上げ荷重が5トン以上の跨線テルハ

2 前項の特別の教育は、次の科目について
  行わなければならない。

  1)クレーンに関する知識

  2)原動機及び電気に関する知識

  3)クレーンの運転のために必要な力学に関する知識

  4)関係法令

  5)クレーンの運転

  6)クレーンの運転のための合図

3 労働安全衛生規則 (以下「安衛則」という。)
  第37条 及び第38条 並びに前2項に定める
  もののほか、第1項の特別の教育に関し必要な
  事項は、厚生労働大臣が定める。

クレーンは、吊り上げる重量に応じて特別教育もしくは免許が必要になります。

当然、重いものを扱うには免許が必要になります。

吊上げ荷重が5トン未満のクレーン、5トン以上の跨線(こせん)テルハの取り扱い業務は特別教育を受けたものが就かなければなりません。

5トン未満のクレーンと5トン以上の跨線テルハです。
跨線テルハは、5トン未満ではなく、以上な点に注意してください。

ところで、テルハとは何でしょうか。

定義としては、こういうものだそうです。

「工場や倉庫等の天井に取付けた I形鋼の梁( はり )に電気ホイスト又は電気チェーンブロックをつり下げた簡単な構造で、モノレールホイストとも呼ばれる。 レールに沿って移動するホイストの横行と荷の上げ下げのみを行うことができる。」
クレーンクラブ

つまり、簡易な天井クレーンというものでしょうか。

また、跨線テルハとは、鉄道で使われていて、ホームからホームへ線路をまたいで荷物を運ぶテルハのことです。
電車の架線をまたぐから、跨線といいます。
昔は使われていましたが、今ではほとんど見かけなくなりました。
そのため第1項の第2号に該当する作業は、ほとんどないと言ってもいいでしょう。

特別教育と免許は何が違うのか。

特別教育は、座学で知識を学び、実地研修で使い方を学びます。
一定時間の講習を受ければ、修了証が与えられます。

ちなみに、クレーンの特別教育は上記の第2項が学習内容です。座学で9時間、実地研修で3時間です。

2~3日で資格は取れるということですね。

一方、免許は自動車免許取得時に試験があったように、試験に合格しなければ取得できません。

ここが大きな違いとなります。

(就業制限)
第22条
事業者は、令第20条第6号 に掲げる業務については、
クレーン・デリック運転士免許を受けた者でなければ、
当該業務に就かせてはならない。
ただし、床上で運転し、かつ、当該運転をする者が
荷の移動とともに移動する方式のクレーン
(以下「床上操作式クレーン」という。)の運転の
業務については、床上操作式クレーン運転技能講習を
修了した者を当該業務に就かせることができる。

吊り上げ荷重が5トン以上のクレーンを操作する場合は、試験に合格し、免許を取得したものに就かせなければなりません。

免許試験には筆記も実技もあります。
受験資格には、18歳以上であるなどの制限はありますが、誰でも受けられます。

いずれも、自動車と同じですね。
また自動車と同じように、クレーン免許にも限定項目などがあります。

それが、条文中のただし書きになる部分です。

クレーン免許には、次の種類があります。

○クレーン・デリック免許(限定なし)

○クレーン・デリック運転士免許 (クレーン限定)

○クレーン・デリック運転士免許 ( 床上運転式クレーン限定 )


床上操作式というものは、コントローラーでクレーンを操作し、荷物とともに操作者も一緒に動くものです。
倉庫の天井付近に付けられた、天井クレーンなどが代表と言えます。

ビルの上などで見かけるジブクレーンは限定なしか、クレーン限定の免許がなければ使用できません。

そもそも、なぜ免許や資格を必要とするのか。

それは、これらの取り扱いが危険を伴うからです。
玉掛けをきちんと掛けていても、移動速度が早いや、ワイヤーを巻き上げすぎるなどの使い方に問題があれば、荷物は落下するかもしれません。
またまわりの機械や人に、荷物が激突するかもしれません。

クレーンの操作者、オペレーターと言いますが、慎重な判断と操作が必要なのです。
ベテランのオペレーターであれば、荷物が触れることなく、目的の位置にピタッと持って行くことができます。誤差はミリ単位という人も少なくないでしょう。

とても技能を必要とする仕事であると言えます。

クレーンは見よう見まねで、ボタンを押せば動くことは動きます。
しかし誰でも使っていいものではありません。

クレーンを操作するには、必要な知識と技能が必要です。

さもなければ、安全に使用することができません。

クレーンは要資格作業であること、このことは忘れてはいけないのです。

まとめ。

【クレーン等安全規則】

第21条
クレーンの運転の業務に は特別の教育を行わなければならない。
第22条
吊上げ荷重5トン以上のクレーンを用いた作業は、クレーン・デリック運転士免許を受けた者でなければ、業務に就かせてはならない。

 

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