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クレーンの安全 その11。クレーン点検修理の時の注意

      2015/06/08

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クレーンを安全に使うためには、定期に点検し、必要に応じて修理することが必要になります。

破損していると危険なのはもちろんですが、すり減った状態を放置しておくと、後々大きな故障になることもあります。

一度故障となると、使えなくなるのはもちろんですが、修理代も高くつきます。 点検と早めの手当は、長い目で見るとコスト削減にもなるのです。

何より、故障が原因の事故を防ぐことができます。

クレーンの事故は、想像以上に被害を拡大してしまうのです。

クレーンを点検する場合には、使用する時と同じくらい最新の注意が必要です。 もし点検のために、クレーンを触っている時に、クレーンが動き出そうものなら、人の力では到底耐えることができず、吹き飛ばされてしまうのです。

今回は、クレーン点検や修理の際の注意についての条文をまとめます。

【クレーン等安全規則】

(並置クレーンの修理等の作業)
第30条
事業者は、同一のランウェイに並置されている
走行クレーンの修理、調整、点検等の作業を行なうとき、
又はランウェイの上その他走行クレーンが労働者に
接触することにより労働者に危険を生ずる
おそれのある箇所において作業を行なうときは、
監視人をおくこと、ランウェイの上にストッパーを
設けること等走行クレーンと走行クレーンが衝突し、
又は走行クレーンが労働者に接触することによる
労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。

まず、並置クレーンとは何かという説明が必要ですね。

移動式クレーン以外のクレーンは、基本的には固定されているか、一定の範囲内で動くことができます。

固定式クレーンの代表は、ビルの上などで荷物を上げ下げするような、ジブクレーンです。 一定の範囲内で動くことができるクレーンは、天井クレーンなどが代表といえるでしょう。

天井付近に、クレーンが走行できる鉄骨(ランウェイ)があり、この範囲内で動くことができます。 これを走行クレーンといいます。 走行クレーンは決められたレールの上だけ動けます。つまりランウェイから外れることはできません。

とても広い工場や、荷物の持ち運びが頻繁に行われる倉庫では、1つのクレーンだけでは、仕事にならないこともあります。

その場合、どうするかというと、同じランウェイ上に、複数のクレーンを設置します。

クレーン同士は、よっこいしょと跨いだり潜ったり、すれ違うことはできません。

そのため、各クレーンは作業範囲に制限ができます。 もし1つの荷物を倉庫の入口から一番奥まで運ぼうとすると、まずは入口付近のクレーンで持ち上げて、運び、降ろします。そしてまた次のクレーンが持ち運びを繰り返す必要があるということです。

こういった同じランウェイに複数のクレーンがあることを、並置クレーンと言うのです。

さて、条文に話を戻ります。

並置クレーンを点検、修理する時は、クレーンが走行するランウェイに陣取ります。 この時に最も注意しなければならないことは、他のクレーンが突っ込んでくることではないでしょうか。

並置クレーンの点検修理の際には、他のクレーンからの衝突を防ぐために、監視やストッパーの設置を行わなければなりません。

どうしても点検などで作業を行っていると手元に集中してしまい、周りのことまで意識が周りません。

クレーンを操作している人が、点検をしている人がいることを把握していればいいのですが、影や死角に入っているなどして、気づかないことも考えられます。

点検作業者の安全を確保し、安心して作業ができるように、対処する必要があります。

(運転禁止等)
第30条の2
事業者は、天井クレーンのクレーンガーダの上
又は橋形クレーンのクレーンガーダ、カンチレバ
若しくは脚の上において当該天井クレーン
若しくは橋形クレーン(以下この条において
「天井クレーン等」という。)又は当該天井クレーン等に
近接する建物、機械、設備等の点検、補修、塗装等の
作業(以下この条において「天井クレーン等の点検等の
作業」という。)を行うときは、天井クレーン等が
不意に起動することによる労働者の墜落、挟まれ等の
危険を防止するため、当該天井クレーン等の運転を
禁止するとともに、当該天井クレーン等の操作部分に
運転を禁止する旨の表示をしなければならない。
ただし、天井クレーン等の点検等の作業を指揮する者を
定め、その者に天井クレーン等の点検等の作業を
指揮させ、かつ、天井クレーン等のクレーンガーダ、
カンチレバ又は脚の上において天井クレーン等の
点検等の作業に従事する労働者と当該天井クレーン等を
運転する者との間の連絡及び合図の方法を定め、
当該方法により連絡及び合図を行わせるときは、
この限りでない。

これもクレーンの点検や修理のときの注意事項です。

点検や修理に集中していて、他のクレーンが突っ込んでくることを防ぐだけでは、完全に安全を確保することはできません。

もう1つ、重大な注意点があります。

それは、今手をつけているクレーンが動き出すことを防止することです。

自分が触っている機械が、突然動き出したら恐ろしいこと、この上ありません。 天井クレーンなど高所に設置されたクレーンの時に、そのような事態が起これば、墜落してしまいます。 また手や体の一部が、クレーンとランウェイの間に挟まれてしまうことも十分考えられます。

点検作業者本人も思いもよらぬことなので、心の準備もないままに、巻き込まれてしまうのです。

そのため、点検中にクレーン操作については、規制があります。

クレーンの点検や修理中は、作業者の安全を確保するために運転を禁止するとともに、操作部分に運転禁止の表示をしなければなりません。 ただし、点検作業の指揮者を定め、点検作業者とクレーン操作者に合図を行わせる時は、運転を禁止しなくても構いません。

点検している時は、対象クレーンは動かさないことが大前提です。 そして、今点検中ですということも、しっかり伝えておく必要があります。

点検作業時は、吊り上げ作業とは異なり、クレーン本体に近づいての作業になります。

その時に注意しなければならないことは、吊り荷ではなく、本体との接触や衝突です。

こればかりは動かさないという方法しか、手立てはありません。 電源を切るなどの対処も重要でしょう。

そして、何時、どのクレーンを点検するのかは、周知させ、注意喚起します。 みんなが把握していることが大事です。

その上で、ストッパー等の安全設備を設けます。

みんなが今日何をやっているのかを、周知させるのは管理者の役割です。

風通し良くアナウンスできる体制が、事故防止のためには重要ですね。

まとめ。

【クレーン等安全規則】

第30条
同一のランウェイに並置されている走行クレーンの修理、調整、点検等の作業を行なうとき等、労働者に接触する危険を防止するための措置を講じなければならない。
第30条の2
天井クレーンに近接する建物、機械、設備等の点検、補修、塗装等の作業を行うときは、労働者の墜落、挟まれ等の危険を防止するための措置をとらなければならない。

 

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