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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

愛と幻想のチェックリスト

      2015/07/12

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まずは、最初に私の失敗談なんぞを。

私の会社では、作業車や乗用車、ダンプ、ユニック車などを合わせて、20台以上保有しています。

事業所で5台以上の車を所有している場合は、道交法に基づき、安全運転管理者を選任しなければなりません。
さらに20台以上所有している場合は、安全運転管理者に加え、副安全運転管理者も選任しなければなりません。

私は、主の方の安全運転管理者をやっています。

安全運転管理者の役割は、その名の通り、社用車が安全に運転されるように管理することです。 そのために、年に1回の法定講習に参加し、車両の管理をするわけです。

少し前置きが長くなりました。車両の管理の1つに、運行日誌があります。
正直に言うと、私の会社は、私が管理者になるまで、そんなのものありませんでした。
ISOの関係でやろうとしていた気配はありますが徹底されていません。ちなみにISOも今は更新していません。

まあ、ISOはともかく、私が管理者になってから、運行管理を行なうようになりました。

やり始めたものの、少々困ったこともあります。

私の会社では、各人が作業車を1台ずつ担当しているで、こちらはきちんと記入され、提出されます。
問題は、ダンプやユニック車などの供用車。 こっちは記入がなかったり、かなりいい加減な扱いです。 行き先が書いてないのに、メーターだけ見ると100キロ以上走ってるなんて、よくあることです。

発見したら、書かせるのですが、運行記録の記入は軽視されています。

なぜ、こんなに軽視されるのか。
1つ反省すべきことに気づきました。

それは、私もこれらの記録に対して、深く関心を持っていなかったのです。
記入をチェックして、距離を計算し、印を押すだけ。

中身までチェックしてません。 そのため、不具合を見過ごしていたり、オイル交換した報告も次の記録用紙で更新してなかったり。

集めて確認する人がいい加減なら、そりゃ書く方も適当になるはずです。

反省し、きちんと中身を精査するようになりました。
変化はどうなったかは、これから次第です。

index_arrow そのチェックリストは、本当にチェックしたの?

運行管理記録は、法定義務ではありますが、同時に車の状態を確認したり、運転者に無理がないか等をチェックするものでもあります。

管理者は、それを見てあげる必要があります。
いわば、提出する人と確認する人のキャッチボールでなければなりません。

これは、私の失敗であり、反省ごとですが、こういうのって身近でありませんか?

今回のテーマはチェックリストについてですけど、世の中にはいっぱいチェックリストはあるんじゃないでしょうか?

品質管理では、細かい仕様や出来栄えをチェックシートに記入しますね。
安全管理でも、大活躍です。機械や設備も年次自主点検から、毎日の作業前点検などまで、ありとあらゆるチェックリストがあります。

チェックリストの利点は、実施した項目と是非の判定を記録することができることです。
いわゆる、チェック漏れを防ぎ、各項目に対しての良し悪しを残せます。

とても手軽ですし、チェック項目は自由に決められるので、ありとあらゆる分野で使われています。

例えば、足場に関するチェックシートなら、こんな感じです。

dailycheck_scofflod2 dailycheck_scofflod

きちんと項目に「レ」が入ったチェックリストは、日々提出され、綴られていっているでしょう。

さて、このチェックリスト、本当にチェックし、確認されているものですか?

正直言って、ただの提出物になっていませんか?
その「レ」は、本当にチェックしたんでしょうか?
本当に問題はなしだったのでしょうか?

もちろん1つずつチェックしているものもあります。
この間、会社で消防設備の点検を受けましたが、きちんとチェックしてくれてました。

しかし社内での管理書類、ISO関連の書類は、ただ「レ」だけを書いたものになっていませんか?

安全管理で見てみると、機械の日常点検をしっかりやっての「レ」でしょうか?
足場の点検をしっかり行っての、「レ」でしょうか?

実のところ、「レ」だけを記入するチェックリストは、機能しないことがあります。
あとから全部に「レ」を入れれば済むから。
あなたも、そんなことをした、覚えはありませんか?

ただ見たことを確認するとような、意図のないチェックリストは、意味をなしません。
本当にチェックしたかどうかなんて、確認できませんよね。

なぜきちんと実行しないのか、その理由は推測ができます。
面倒くさいからです。作業に直接関係のないことは、余計な手間になるのです。

チェックリストは、何をチェックするのかを意図するものの方が、効果を発揮します。

つまり、チェックリストは計画し、設計する段階が、非常に重要です。

誰が、どこの、どんな様子を見るのか。

ネットで落ちてるものを、そのまま適用しても、適用に運用されます。
上の足場を例に上げると、ネットや本にあるチェックリストは、法律の規格にかなっているかのチェックです。 それも大事です。

このチェックリストにどんな意図を込めて、アレンジするのかが、管理者の特務です。

安全に関するチェックリストは、作業者の身の安全を守るためのものでしょう。
そこにあるのは、会社としての義務に加え、作業者の心配をする愛もあるはず。

それが、全く効果を発揮してないなら、ただの紙にしか過ぎませんね。
作業者に言わせると、ただの負担を増やすだけです。

愛はあるのに、意味をなさない。

それはまさに「愛と幻想のチェックリスト」です。
あるいは、「限りなく透明に近いチェックリスト」です。

よし、タイトルの回収ができた!

index_arrow 愛を形するチェックリスト

余談ですが、「愛と幻想の~」や「限りなく透明に近い~」は、村上龍さんの小説ですね。 それぞれ「愛と幻想のファシズム」と「限りなく透明に近いブルー」です。

若い時読んで、特に「愛と幻想のファシズム」は、かなり好きでした。
私はきっと、この登場人物のゼロに近いと当時思ってました。

それは、さておきです。

チェックリストには、意図を込める必要があります。

意図とは、「どこをチェックするのか」だけでなく、「どんな状態なのか」、「改善は必要なのか」、「良し悪しの判定は何を基準にするのか」などがあります。

これは、チェックする対象をよく観察するとともに、実際に作業する人や職長の意見も聞いたほうがいいですね。
一番、身近に接する人、よく知っている人が、よくわかっているのですから。

チェックの仕方も工夫します。

「レ」はやめましょう。 これは見たか、どうかしか判別できません。

せめて「○」、「△」、「☓」にしませんか?

例えばこんな感じです。
「○」は、良しの状態。
「☓」は、ダメの状態で、修理や改善が必要。
「△」は、不具合があったけど、すぐには支障がない。定期点検時に直す場所。

などです。 増やしすぎるのは、ダメですよ。 チェックする人が、混乱します。

もう一点重要なことがあります。

それは、ただの提出物にしないということです。
どういうことかというと、チェックした、出した、管理者は見たで終わらせないとうことです。

管理者は、チェックリストをよく確認し、不具合箇所があれば、対応を指示します。
つまり、リアクションを返すことが大事なのです。

全部「○」の場合、コメントで「よくできました!」と返すだけでもいいのです。
「☓」がある箇所に対して、「修理を依頼しました。」とコメントするのでもいいです。

提出する人が、見てくれてるなと思えば、チェックもきちんと行われるのです。

まとめましょう。 チェックリストをうまく活用するのに、大事なことは2点。

1.意図を持ったチェックリストを作る。

2.管理者は、必ずリアクションを返す。

これだけでも、意味のあるものになりそうです。

index_arrow こんなチェックリストを考えています。

最後に今私の会社で取り組んでいることなどを紹介していみます。
先に言い訳めいたことを申しますと、変更途中ですので、これから項目やレイアウトなどを変えていくと思います。

サンプルは、吊り荷重3トン未満の車載型移動式クレーン、いわゆるユニック車です。
3トン未満ですので、過負荷警報装置はチェックから外しています。

現場持ち込み時に使われるのは、全建統一様式などではないでしょうか。
下請け業者が元請業者に、この機械を使用しますという申請を出し、持ち込み時には点検をしますね。

zenken_9

また、作業前点検も行います。 今までは、こんなのを使っていました。

dailycheck_crane

1ヶ月分まとめて、あとからチェックすることもできます。
チェックは「レ」だけではありませんので、詳しく点検ができます。ただ、多すぎて、訳が分かりません。

いつから使っていたのか分かりませんが、うちにあった点検簿はこんなのでした。

この点検簿への不満は、

1.どこをチェックするのか、いまいちわからないこと。
2.判定基準がわからないこと。

といったことでした。

これを変えてみました。

dailycheck_crane(arranged)ユニック車点検簿(PDF)

ちょっとスッキリしたでしょうか。 点検簿は、1週間分になりました。

ちょっとクレーンの絵が小さかったりするのですが、なるべく分かりやすい言葉にしてみました。

しばらくこれを使って、また修正していこうかと考えています。

チェックリストへの不満は、解消していません。 また思いついたことがあれば、書いていこうと思います。

チェックリストについては、この本を読んで、参考にしました。

村上龍さんのおすすめの本です。

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