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クレーンのワイヤかかり2トン鋼材崩れる事故(兵庫県姫路市)

      2015/07/29

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クレーンで物を吊り移動させるときには、移動ルートが大事です。
空中で移動するので、障害物がないことのほうが多いでしょう。
問題なのは、きちんと整理整頓がされておらず、棚から物がはみ出しており、ルートを塞いだりしている時です。

何よりも片付けるのが大切ですが、すぐにできない場合は、障害物をさけるルートを取ります。
もし接触してしまったら、どうなるかというと、結構大きな問題が起こります。

もしクレーンのワイヤーがとても大きなものを引っ掛け、落下させてしまったら。 下にいる作業者は、下敷きになってしまいます。

兵庫県姫路市で、そのような事故が起こりました。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討してみます。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

クレーンのワイヤかかり2トン鋼材崩れる、男性下敷き死亡 姫路
(平成27年6月20日)

20日午前10時半ごろ、兵庫県姫路市の物流センターで、クレーンを使って鋼材(長さ約12メートル、重さ約2トン)の移動作業をしていた塗装会社のアルバイト男性が、クレーンのワイヤに引っ掛かり、バランスを崩した鋼材の下敷きになった。男性は病院に運ばれたが死亡が確認された。

兵庫県警網干署によると当時、作業員3人が塗装のための作業をしており、男性はクレーンをリモコン操作し、鋼材をベルトコンベヤーに移す担当だった。同署は事故の原因や、作業現場の安全管理などについて調べる。

産経新聞

この事故の型は「倒壊・崩壊」で、起因物は「クレーン」です。

鋼材の塗装するため、クレーンで吊り移動させていた時に事故が起こりました。 クレーンでの移動中に、置かれていた鋼材を引っ掛けてしまい、落としてしまいした。

この鋼材の落ちた先には、クレーンを操作をしていた作業者がいたため、下敷きになってしまったのでした。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

このクレーンは天井クレーンだったと思われます。 天井クレーンは天井近くに前後左右に動くレールがあり、クレーン本体はレールの上を自由に移動します。
クレーンの移動やワイヤーを巻き上げたり下げたりの操作は、付属のリモコンで行います。

クレーン操作には資格が必要です。
5トン以上の吊り上げには免許、5トン未満では技能講習が必要になります。

また床上操作式、床上移動式といった種類もあります。

この作業を行っていたのは、70代のアルバイト男性だったのですが、有資格者だったかはわかりません。
昔資格を取り、今はアルバイトで元の職場で働くという人も多いので、所有されていたのかもしれませんが。

移動にあたっては、ルート上に障害物がないことを確認しなければなりません。 そのためには、鋼材など資材の整理整頓が重要なのは言うまでもありませんが。

クレーン操作にあたっては、合図者を配置しなければならないのですが、他の作業者も塗装作業を行っていて、合図はしていなかったようです。

作業場の資材の保管の仕方、十分な安全体制や作業体制などがとられていなかったことが、この事件の背景にあるのかもしれません。

それでは、原因を推測してみます。

工場内で資材の整理整頓がされていなかったこと。
クレーンの移動ルートに障害物があったこと。
クレーンの運転をチェックする合図者がいなかったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

工場や倉庫内では、作業場と資材の保管場は区分しなければなりません。 資材の保管は、所定の場所からはみ出さないようにします。
日頃からの整理整頓は、作業効率をあげるのはもちろんのこと、安善な作業のためにも大いに役立ちします。

ましてやクレーンの移動ルート上にあるのは、もっての外といえるでしょう。 クレーンのルート上は常にクリアでなければなりません。

そうはいっても、狭い場所では完全にルートがクリアとはならないこともあります。 ゴチャゴチャとした場所では、クレーンをどう扱うかを事前に決めておきます。 クレーンのルートも含めた作業手順書を定め、合図者を定めます。

作業に対しても、しっかり計画を決めておく必要があります。

対策をまとめてみます。

資材の整理整頓を行い、維持する。
クレーンのルートなどの作業手順を定め、合図者を配置する。
KYなど安全教育を行う。

どれほど安全に人手や予算をかけても、起こるときは起こってしまいます。
しかし事前に手を打てば打つほど、事故の確率は下げることができます。

しかし少人数、高齢者、アルバイト作業者など、作業は常に豊富な対策のもとで行えるわけではありません。
限られた環境のもとでも、行えることはあります。 ベストではないにしても、出来る限りのこと対策は重要ですね。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

【クレーン等安全規則】

第25条
クレーンを用いて作業を行なうときは、一定の合図を定め、合図を行なう者を指名して、その者に合図を行なわせなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

クレーンの安全 その9。 作業時の注意

第28条
ケーブルクレーンを用いて作業を行なうときは、危険を生ずるおそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならない。
第29条
クレーンに係る作業を行う場合であって、荷の下に労働者を立ち入らせてはならない。

 

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

ククレーンの安全 その10。 作業時の注意2

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