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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

労災の対応に、日本人も外国人も関係ないのです。

      2015/08/23

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とても意外なデータと思われるかもしれませんが、アメリカの国務省による「人身取引報告書(Trafficking in Persons Report)」において、日本は、人身売買について最低限の基準を満たしていない国として評価されています。

このレポートでは、4つのカテゴリに分類され、日本は上から2番目「最低基準を満たしていないが人身取引対策の努力をしている国」に分類されます。
1番目のカテゴリには、欧米諸国や韓国、台湾などの先進国が含まれます。
正直な感想として、1番目のカテゴリには、日本より人身売買がありそうな国もあるんじゃないかと思うのですが。 しかし評価は、実情に加え、撲滅に向けた姿勢も含めてのものです。

つまり、日本は人身売買撲滅に取り組む姿勢が弱いという評価と言えます。

実情としては、何があるのでしょうか。 1つは時々ニュースに取り上げられる「JKビジネス」などの、性的サービスです。
少し前に報道されているので見たのが、女子高生にプロレス技をかけられるとか、折り紙を折る姿をマジックミラー越しに見るとかが合った記憶があります。
よくもまあ、こんなものに金を出すなと思うようなサービスがあるのですが、需要がそれなりにあるもんなんですね。

もう1つ大きな問題は、外国人実習生の問題です。
海外から仕事を学ばせるという名目で雇い入れるのはいいのですが、実情は長時間労働など超ブラックな労働を強いているものです。

外国人実習生を安価な労働力として使うということ。 この実態に対して、何ら対策をとらないということ。 これらが日本の先の評価になっています。

評価のために、対策をとるのは意味がありませんが、見直す必要はあります。

外国人実習生は、見方を変えると現代の奴隷のようになっていると言えます。

労働時間等の環境の改善はもちろん大切です。 同時に、日本人であろうが、海外実習生であろうが、正社員であろうが、非正規であろうが関係なく、仕事における安全はきちんと確保されなければなりません。

安全に日本人も外国人も関係ないのです。

index_arrow 外国人労働者も安全を確保する

Yahoo!ニュースにこんな記事がありました。

多発する外国人技能実習生の「労災事故」行きすぎたコストカット追求が影響? 弁護士ドットコムニュース

事業者や会社は、労働者が安全で健康的に働けるようにする義務があります。 事故や病気を防がなければなりませんし、もし労働者が怪我をした場合などには、責任を負います。

当たり前ですが、対象となる労働者は日本人かどうかや、正社員かどうかなどの区別はありません。
皆、等しく配慮しなければならないことです。

ところが、実情はどうでしょうか。

外国人実習生においては、しっかりと労災防止対策がとられていないことがあるようです。 安全設備を備える、保護具を使用させるだけでなく、安全教育も十分に行われていないのです。

実習生は、仕事に慣れていません。言葉にも慣れていません。 そのため何が危険かを知らないまま、作業に携わり、事故にあってしまいます。

事故にあったからといって、十分な保障もありません。 もしかすると治療もしっかり行われないかもしれません。

ブラック企業、ブラックバイトといったものが社会問題になっていますが、その対象は海外実習生にも及んでいるのです。

これら問題の背景にあるのは、極端なコストカットであると見られています。 薄利多売するには、安価な労働力を使うという選択になっているのです。

安価な労働力を使うと、確かにコストは下げられるかもしれません。 しかし、最終的に支払う対価が少ないとは限りません。

事故があった場合は、警察や労働基準監督署の捜査が行われます。 刑事責任や民事責任、社会的な責任が問われることになります。 何より、そんな会社のイメージが悪くなりますね。

これは、割に合うのでしょうか。 危うい仕事環境で、不慣れな作業をさせるのですから、薄氷を踏む状況ではないでしょうか。 結果的に、安物買いの銭失いになることも考えられます。

労働環境の改善は、何も日本人が働く環境だけに適応されるものではないんですけど。

安全の確保は、年齢や国政など関係なしでありたいものです。 それに実習生に、安全管理についても教えるのも、重要な教育でしょうけど。

これらの対応が黙認されているのであれば、いつまで経っても人身売買撲滅に消極的と言われ続けるのでしょう。

安全衛生に携わる立場から、まず作業者の安全確保が望ましいです。 コストのかかることもたくさんですが、安くできる安全対策も少なくありません。

少なくとも、安全教育はどの会社でも取り組めるものです。 こんなことは当たり前だろうも一から説明しましょう。 例えば、プレス機に手を入れると、指が潰れますというのも言わないと分かりません。 このレベルからでいいのです。 このレベルのことを、説明しないから事故になるのです。

まずは、安全教育をまとめ、翻訳することから始めましょう。 翻訳できないよというなら、行政などにも相談しましょう。 調べたり、相談したりするのは、時間は使いますが、低コストでできます。

きっとその投資は、きちんと返ってくるはずです。

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