今日も無事にただいま

「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

リスク・アセスメントはブレイン・ストーミングが大事

   

entry-382

先日、中災防(中央労働災害防止協会)の「現場担当者のためのリスク・アセスメント講習」を受けてきました。

講習名の通り対象は、ラインリーダーや職長、作業長といった立場の人になります。

リスク・アセスメントが努力義務になって10年近くになります。
取り組み始めた会社も増えてきました。 自分のところでも導入しようとしても、じゃあ何をやればいいのと困ってしまいますよね。

そんな時、何をやればいいのかを教えてくれるのが、今回の講習です。

リスク・アセスメントは全社的な取り組みになりますが、現場リーダー、作業者などが果たす役割は、最も重要です。
なぜなら、事故は現場で起こるからです。

どこに危険があるのかを発見し、手を打つためには、現場をよく知る人に聞くのが一番ですよね。

講習を受けてきたのですが、内容をつぶさに書くのは控えます。
ネタバレするのも、興醒めですしね。
それに、しっかり勉強するには、実際に受講して演習を行うほうがいいと思いますよ。

今回は、特に印象的に残ったことなどをまとめていきます。

index_arrowリスク・アセスメントの概要を簡単にまとめる

印象に残ったことを書く前に、リスク・アセスメントの概要について、簡単にまとめます。

1.リスク・アセスメントは安全衛生マネジメントの一部

安全衛生に携わっていると、リスク・アセスメントという言葉を耳にすることが少なくありません。
何度も耳にしていると、リスク・アセスメントとは、リスクを見つけて、対応することだなと、何となくわかってきます。

リスク・アセスメントという言葉に馴染みが出来ると、とりあえずこれをやっておけばいいんだなと思いがちになります。
しかし、これは事業者、会社としての安全衛生マネジメントの一部にすぎません。 単独でやってもあまり効果を発揮しないのです。

安全衛生マネジメントとして推し進められているものとして、OSHMSというものがあります。 これは、「労働安全衛生マネジメントシステム」というものです。

安全衛生について、調査、目標設定、日常業務、見直しをシステム化するものです。
よく言うところの安全衛生に関するPDCAサイクルを回すというのです。
ISO9000シリーズや14000シリーズのようなものです。 ISOが対外向けなのに対し、OSHMSは社内の管理システムといえます。

リスク・アセスメントは、リスク調査に該当するといえます。

つまり、リスク・アセスメントを実施した結果をもとに、何をするかが大事ということですね。

2.法律規定で及ばないところもカバーする

安全衛生に関しては、安衛法と関連則等があります。
細かいことまで規定したり、制限しているのですが、一応名目としては、最低限の基準というものです。

最低限の基準といえども、完璧に守られているかは別ですけどね。

当然といえば、当然ですが、法律だけ守れば、万事OKかというと、そんなことはありませんよね。
法律で規定されていないけど、危険で有害というものはたくさんあります。 とてもじゃないけど、法律だけではカバーしきれません。

法律でカバーできない危険や有害性に対応するのが、リスク・アセスメントです。 事業場固有の問題も、リスク・アセスメントでカバーします。

法律の条文は、過去に発生した事故の再発を防止するものと言えます。 一方リスク・アセスメントは、起こる可能性がある事故の未然防止が目的なのです。

3.手順は標準化されている

これは講習のネタバレでもないので。

一般的に、リスク・アセスメントは次のステップで行います。

 (1)リスクの特定  
 (2)特定されたリスクの見積もり  
 (3)優先順位を決定し、提言措置を検討  
 (4)リスクの低減措置  
 (5)低減後リスクの再評価

中災防では、(4)までで教えていましたが、(5)も重要なので、付け加えました。多少、表現なども異なるかもしれませんが、だいたいこの手順です。

リスク・アセスメントはKYと異なり、個人の経験やカンに頼らないものです。 そのため、気づかないリスクも発見し、対応することができます。

発見されたリスクは、全て平等に扱う必要はありません。
命の危険、重大事故を引き起こすものから優先します。 優先順位を決めるために、リスクの見積も大事です。

リスクの見積には、2つの観点を必ず含めます。 それは「事故の重大性」と「事故発生の可能性」です。
マトリックス、点数付けなどの方法がありますが、これには決まりがありませんので、職場に合わせアレンジします。

低減化は、費用がかかるものから、そうでないものまであります。 予算などに応じて、対応していきます。

低減化した後、本当にリスクが小さくなったのかは、もう一度検証し、見直すことも大事です。

個々のステップについては、また別の機会にまとめていきたいと思います。

濱田勉さんの本もオススメですよ。

書評「あしたを感じながら」

index_arrow1人よりも文殊の知恵

さて、講習ではこのような話もあったのですが、実際に演習をやってみて気づいたことがあります。

演習は、リスクの特定、見積もり、低減措置の検討について行いました。 進め方は、個人で考え、その後グループでの話し合いです。

やはり人が変われば、見方が変わる。
私とは、全く違う意見があるんですよね。

同じ映像を見ているのに、発見するリスクが違ったり、見積もりも違います。
見積もりなんて、私が割りと重症になるだろうと見ていたものが、他の人はツバつけときゃ治るくらいの見積だったりします。

個人個人が考えたリスク等を持ち寄り、話し合い、合意した見解を出します。
この話し合いは、ブレイン・ストーミングなのですから、些細な意見であっても否定せず、どんどん出し合うことが大事です。

この話し合うプロセスが、とても重要だと思ったのでした。

リスク・アセスメントと導入しようとして、事業者や安全スタッフなど一部の人だけの張り切りではダメだということを実感しました。
一部の人だけで推し進めると、効果が薄く、現場に合っていない対策になりかねません。

現場担当者や作業者も、人によって危険への認識が異なります。
この人たちが、危険を見つけ、話し合うことが、より実情にあった対応ができるのです。

しかし、何の前置きもなく急に現場担当者や作業者にリスク・アセスメントをやってくれと言ったところで無理です。
実施のためには準備が必要です。

リスク・アセスメントとは何かという教育も必要ですし、現場でどんな作業をしているのかを整理しなければなりません。
実は、これが一番大変な作業かも。
この辺りのことも、いずれまとめたいと思います。

今回の結論は、リスク・アセスメントは1人でやっちゃダメですよというものです。
1人でやると、個人の経験やカンに頼ります。 経験やカンでは気づかないリスクを見つけるのが、リスク・アセスメントなのですから、1人ではなくグループワークにするのが大事です。

実は、続けざまにもう1つのリスク・アセスメント講習を受けます。
今度のは、安全担当者向けの講習になります。

今度は管理者の立場としてリスク・アセスメントへの関わりです。 また気づいたことがあれば、ブログにまとめたいと思います。

iQiPlus

 - ○リスクアセスメント