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禁水物質を保管する工場での火災事故

      2015/08/31

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中国の天津で大きな爆発事故がありました。
かなりの報道規制がかけられているため、情報は小出し小出しでしか知ることはできませんが、犠牲者は100人を超えているようです。
しかも、工場には、かなりの量のシアン化合物が保管されていたらしく、これらが飛散したようです。

最初ニュースを見た時は、中国ではよくある事故ではと思っていたのですが、予想以上に大きなものになっています。
爆発の中心地には、直径100メートルくらいの大穴が開いていたり、2キロ先の建物の窓ガラスも割れるくらいですから、とんでもない大爆発でした。

火災の原因は不明ですが、大爆発に至った原因は、禁水物質が保管されている場所に放水したことのようです。
禁水物質とは、水をかけると化学反応を起こすものです。
化学反応が進むと、今回の事故のように爆発に至ります。

当然、危険物です。
日本では、危険物取扱者乙3類の資格者でなければ取り扱い、保管できません。
保管場所には、「禁水」の掲示が義務付けられています。

日本とは事情が違うので、分かりませんが、天津市の事故では掲示がなかったのかもしれません。
または、掲示はあったのに、消火活動時に見落とされていたのかもしれません。

禁水物質を保管する場所での消火活動は、通常とは異なります。
何よりも放水できません。そのため、燃え尽きるのを待つか、もしくは粉末消火剤を使用します。

ものすごく取り扱いに注意が必要な物質なのです。

禁水物質を取り扱う工場での、火災事故は日本でも起こっています。

平成26年東京都町田市のマグネシウムを保管している工場で火事がありました。
マグネシウムも禁水物質です。

今回はこの事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

マグネシウムに引火?金属加工会社で火災、8人重軽傷 東京・町田
(平成26年5月13日)

13日午後4時15分ごろ、東京都町田市の金属加工会社の工場から出火、午後6時半現在で1、2階計約1400平方メートルが焼け、東京消防庁が消火活動を続けている。同庁によると、男性作業員8人が負傷し、うち3人は重傷とみられるが、いずれも意識はあるという。

警視庁町田署によると、工場は地下1階、地上2階建てで、1階部分が火元とみられる。工場内でマグネシウムを扱っており、水をかけると、化学反応を起こして爆発的に炎上する恐れがあるため、消火活動が難航している。

会社関係者は「ハンダ付けの火花が飛び散り、近くにあったマグネシウムなどに引火した」と説明しているといい、同署が詳しい出火原因を調べている。

 現場はJR横浜線成瀬駅から東に約1キロの商店やアパートなどがたち並ぶ一角。近くの介護施設の男性職員は「雷が落ちたような『ドーン』という音がして外を見ると、黒煙がみるみるうちに広がっていった」と不安そうに話していた。

産経新聞

この事故の型は「火災」で、起因物は「引火性の物」です。

住宅街にある工場で起こった火災事故です。
近所の人が「ドーン」という音を聞いたということなので、爆発もあったようです。

事故は、ハンダ付けの時に、近くに保管されていたマグネシウムに火花が飛び、引火したのでした。爆発などもあり、8人が怪我を負いました。幸いなことに1人の死亡者もありませんでした。

禁水物質保管場所のため、化学消火チームが出動しましたが、消火活動は難航しました。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow事故原因の推測


消火活動は難航しましたが、火事の原因を推測していきます。

関係者によると、ハンダ作業中に、火花が飛び、マグネシウムに引火したとのことでした。

このハンダ作業が、通常の作業だったのか、それとも何か修理を行っていたのかは分かりません。 しかし、可燃性の物質のすぐ近くで、火気を扱っていたことは問題があったのではとないでしょうか。

作業者が火気原因を把握していなかったのか、もしくは把握してけれども、あまり気にしていなかったのか分かりません。 また、修理等でハンダを使用していたのであれば、作業者に火気厳禁について知らされれていなかったのかもしれません。

マグネシウムを取り扱う場合、水もですが火気も取り扱いに注意が必要です。

これらの管理が不十分だったのが、直接的な家事原因と言えそうです。

それでは、原因を推測してみます。

引火物の近くでハンダを使用したこと。
引火物と火気の間に、火花が飛ばない措置がされていなかったこと。
作業者に、取り扱い物質の教育が行われていなかったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow対策の検討

引火物を取り扱う場合は、火気を使用を制限しなければなりません。保管する区分もきちんと決め、火花1つも飛ばないようにします。

日々繰り返される定常作業で、引火物の近くでハンダ作業をしていたのなら、配置位置に問題がありますので、変える必要があります。

修理などの非定常作業であったならば、引火しないような準備が必要でした。もし付近で、溶接など火気を使用する作業を行う場合は、引火物を別の場所に移動させます。
または、遮蔽物などで囲い、火花が届かないようにします。

そうそう火花なんか、飛んでいかないと油断していると、事故になることがあります。
日常的に扱い、慣れていても、取り扱いは常に慎重でなければなりません。

また作業者には、取り扱う物質について、どんな危険があるのか、何が禁止かということを教育します。教育は、雇入れ時の時に行なうでしょうが、定期的にも行い、認識を新たにする必要があります。

対策をまとめてみます。

引火物の付近で、火気を取り扱わない。
火花が飛ぶ危険があれば、遮蔽物などを置く。
作業者への教育は定期的に行なう。

危険物質であっても、日常的に接していると危険意識は薄くなる傾向にあります。
この慣れは仕方ない面もあるのですが、慣れが事故を招くことも覚えておく必要があります。

引火性の高い物質を取り扱う時は、必ず火気とは隔離するという原則を、うっかり忘れると爆発することもあります。

天津市の事故は、禁水を知らずに放水するとどうなるか、恐るべき事実を見せつけたものになりました。

index_arrow違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

(危険物等がある場所における火気等の使用禁止)
第279条  事業者は、危険物以外の可燃性の粉じん、火薬類、多量の易燃性の物
又は危険物が存在して爆発又は火災が生ずるおそれのある場所においては、
火花若しくはアークを発し、若しくは高温となつて点火源となるおそれのある機械等
又は火気を使用してはならない。

2 労働者は、前項の場所においては、同項の点火源となるおそれのある機械等
  又は火気を使用してはならない。


これらについて、まだ解説しておりません。書いたら、またリンクを張ります。

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