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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

犬尾沢ガウ、鉄板に切られる!?

      2015/05/30

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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。

ある夏の日。

(株)HHCでは、今日は現場の仕事がないので、倉庫の整理を行うことにしました。
倉庫内の棚には、工具や材料などが整理整頓されているような、されていないような、割りと雑多な状態になっています。

現場では職長、社内でも主任の犬尾沢ガウ(36歳)の指示の下、不要品を処分し、工具も取り出しやすいように整理整頓を行っていきます。

「ここからここまでは、兎耳長さんにお願いします。。
 保楠田さんは、猫井川と一緒に、ここからここを整理していって下さい。
 私は、しばらく事務所で書類をしてから、作業に加わります。
 一気に荷物を出してしまうと、ぶつけたり切ったりするかもしれないので、置く場所を考えたり、ある程度したら外に出すなどして、気をつけて下さい。
 それでは、よろしくお願いします!」

犬尾沢による作業分担があり兎長耳ぴょん(58歳)は工具のチェックと、棚に並べていく作業を行っていきます。
猫井川にゃん(27歳)は、保楠田コン(46歳)と雑多な棚を整理していくことになりました。

「それでは、猫井川やっていこうか!」
保楠田は猫井川は、早速ホコリをかぶった、材料ともゴミともつかないものを取り出していきました。

汗をかきかき、小一時間。

「保楠田さん、これはどうしましょうか?使います?」

猫井川は、50cm四方の薄い鉄板を持って、保楠田に聞きました。

「ん~、いらないかな。まあ後でまとめて捨てるから、とりあえずそこの缶の上にでも置いておいたら。」

猫井川は、保楠田に言われたとおり、通路の横に置いた、20Lのオイル缶の上に、鉄板を置いておきました。
通路は床に白線が書かれており、白線の間には荷物を置かないことになっています。
この時は、棚から荷物をどんどん引っ張りだしているので、白線外の両サイドは荷物の山になっています。
オイル缶も通路のすぐ側に置かれており、その上に置いた鉄板は、少し通路に入っていたのでした。

作業は続いていきます。

「保楠田さん、これはどうしましょう?」

猫井川と保楠田は、どんどん棚から荷物を取出し、不要なものはまとめていきます。

その時、犬尾沢が事務所から、帰ってきました。

「お疲れ様です。すごい荷物!通路が狭いな。」

犬尾沢は、通路の両サイドに積まれた荷物の間を、体を横にしたりしながら近づいてきました。
そして、オイル缶の横をすり抜けようとしたところ、

ザクッ! 

変な音がしました。

見てみると、犬尾沢の作業服の右膝の部分が、ざっくり切れています。
幸い切れたのは作業服だけで、怪我はしませんでした。

どうして切れたのかと調べてみると、通路脇のオイル缶に鉄板が横向けに置かれており、その上にも荷物が積み上がっていました。
この横に置かれた鉄板の角が通路にはみ出しており、これが引っ掛けたようです。

「これを置いたのは誰だ!」
怒る犬尾沢。

作業していた3人が、驚いて見てみると、鉄板を指さしている犬尾沢がいました。
猫井川は、すぐに自分が置いたものだと分かりました。

「じ、自分ですけど・・・。でも保楠田さんがそこに置いておけと・・・」
と言いながら、保楠田の方を振り返ると、なぜか保楠田はいません。

「猫井川!最初に気をつけろと言っただろうが!!!」

大吠えする犬尾沢に、猫井川はしゅんとしてしまいました。

その後は、4人で黙々と作業し、その日の内に倉庫の棚の整理整頓は無事終わりました。
本日の被害は、犬尾沢の作業服と猫井川の涙目です。

事務所に帰り、猫井川は自分の机に向かうと、缶コーヒーが1本置かれていました。
周りを見てみると、保楠田が意味ありげな表情をしています。

なるほど。どうやら、ごめんねということらしい。

猫井川は、ちょっと苦いコーヒーを飲み干したのでした。


さて、今回も猫井川は、犬尾沢に怒られてしまいました。
保楠田さん、きつねですけど、とんだタヌキです。

それでは、ヒヤリハットとその対策をまとめていきたいと思います。

今回は倉庫内での整理作業時に「鉄板で作業服が切れてヒヤリ」ですね。

家の大掃除の時でも同じだと思いますが、必要なもの不要なものを整理するときに、とにかくタンスだとか引き出しから、一度出してから、仕分けしていきませんか。

必要な物は元に戻しますが、不要になったものは、ひとまず固めておき、ある程度の量になってきたら、袋などに入れて、部屋の外に持って行くという感じではないでしょうか。
1つ1つ仕分けの度に、捨てに行っていたら、効率が悪くなって仕方ありませんよね。

倉庫での整理も同じでように、ひとまず棚から荷物を出し、必要な物を棚に戻す。
不要なものは、邪魔にならないように仮置きしておく方法をとっていました。

仕事で使う道具や材料ですので、荷物1つ1つは、それなりの大きさもあります。
仮置くにしても、結構な量になるので、積めるものは積んだりもするわけです。

鉄板もそうして、オイル缶の上に置かれていたものでした。

工場などでは、通常白線などで作業スペースと通路スペースが区分けされているところが多いです。
HCCの倉庫も同じように通路スペースが区分けされていました。

この通路内には原則として、荷物を置かないようにルール付されているところが多いと思います。 通路に荷物があると、つまづいたりしますからね。
また荷物が通路にはみ出したりしていると、ぶつかったりするので、通路スペースには何もないようにする方がいいです。

倉庫の整理中も通路には物を置かないようにしていましたが、鉄板の角がはみ出してしまっていたようです。
これに運悪く、犬尾沢が引っかかり、作業服が切れてしまったのです。

作業服は夏服で薄いとはいえ、それなりにしっかりしているものですから、鉄板はかなりの切れ味だったようですね。
体に接触していたら、相当の怪我になっていたはずです。

実は、これと同様の怪我がうちの会社であったんです。
その時は、服だけというわけにいかず、無休災害ですが、7針も縫う怪我になってしまいました。

通路からはみ出さないことも重要ですが、鉄板のように切る可能性があるものなどは、横に寝かせるのではなく、縦に置いておくだけでも、事故を防げたかもしれませんね。

今回の対策をまとめてみましょう。

ヒヤリハット 倉庫整理で、通路脇に鉄板を仮置きしてたら、通行人の作業服を切った。
対策 1.通路スペースにものは置かない、はみ出さない。
2.溜まった荷物は、こまめに搬出。
3.切断やぶつかる可能性があるものは、置く場所や置き方を考える。


何が怪我や事故につながるかは分かりません。
ただ少しだけ、これは危ないかもと考えてみると、どうしたらいいのかという工夫が生まれます。
ちょっと想像して、考えてみるというのは、一番の危険予知なのかもしれませんね。

さて、猫井川と保楠田のコンビは、なかなかいいなーと思いますので、これからもこの2人に活躍してもらいたいものです。

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