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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

リスクアセスメントの管理的措置と保護具の扱い

      2015/10/04

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リスクアセスメントは、事業所のリスクを発見し、何かしらの対策をして、リスクの低減措置をとることです。
リスクが低減したという客観的な評価は、リスクの見積もりによって行います。リスクを見つけそれに対応するのですから、対応後の点数が低くなることを期待しますよね。

ところが中災防が推奨する考え方では、低減措置をしたのに、リスク点数が下がらないこともあります。以前、リスクアセスメントの講習を受けたときに、このことを聞いて、びっくりしました。なぜなら、何かしらの対策をしたら、点数は下がるはずなのに、何で?という感じです。

一体どのような対応が点数を下げることに貢献し、どのような対応だと下げることがないのでしょうか?

一般に、リスクアセスメントは次の手順で行います。

1.どんなリスクがあるのか?(リスクの特定)

2.そのリスクは、どれほどの頻度で起こり、事故になった時にはどれほどの重大な結果になるのか?(リスクの見積)

3.リスクの見積結果を踏まえて、どのリスクから手をつけるのか、どのような対応をするのか?(優先順位と対策の検討)

4.リスク対策を実際に行う。(対策の実施)


2のリスクの見積もりを行い、優先順位を決めます。その後、対策を検討します。
対策の検討は、次の順番で行います。

1.本質的対策(作業方法や材料を変更する。危険な作業自体をなくす)
2.工学的対策(安全性の高い機械に取替える。安全装置を備える。機械や設備から危険をなくす)
3.管理的対策(教育、掲示、現場での指示など。)
4.保護具の着用


これらの対策の打ち、効果が高いのは1と2です。しかし抜本的な対応になるため、かなりの時間とコストがかかります。現場だけでは不可能です。全社的な課題となるので、そう簡単にはできないというデメリットがあります。
一方、3と4は、比較的コストも時間も掛けずにできます。

何となくわかりますね。低減措置として、見積もり点数をさげることにならないのは、3と4です。

どうしてでしょうか?

index_arrow管理的対策や保護具着用では、十分な対策にならない

本質的な対策や工学的対策は、リスクそのものをなくしてしまう、または接触させないという効果があります。つまりリスクそのものをどうにかする方法です。これは非常に効果的で、かなり低減になります。

一方で、管理的対策や保護具の着用は、リスクはそのままにあるけれども、なるべく危害が及ばないようにしようというものです。
つまり、作業者など、人サイドでの対応といいうことです。

分類してみると、根本的にアプローチが違うのがわかりますね。

管理的対策や保護具の着用だけではリスク見積もり点数には、反映されません。 なぜならリスクそのものは残っているからです。
リスクアセスメントは、リスクを低減化しましょうという活動です。リスク自体が残っている状態だと、見方によっては何も変わっていないということなのです。変わるのは、リスクを知り、それとどうやって付き合っていくかという、人サイドだけです。

誤解してほしくないのは、点数低下に寄与しないからといって、効果はないのではないことです。ちゃんと効果はあります。
怪我や事故を防止するのには、十分効果はあります。

例えば、段差がある場所に「足元注意」という掲示をしておくだけで、転倒事故を減らすことができます。高所では安全帯を使用する、しないとでは、足を踏み外した時に命に関わります。しっかり効果があるのです。
やっても意味がないという解釈になってはいけません。この点はよく理解しておいてくださいね。

また管理的対策や保護具の着用でも、条件によっては、見積もり点数を減らせる場合もあります。 それは、100%その対策が徹底される場合です。

管理的対策でルールを作っても、守る人もいれば、守らない人もいます。保護具も着用する人もいれば、着用しない人もいますよね。 人によって対応が、まちまちならば、リスクが低減しているとはいえません。

しかしライン長や職長が、保護具の使用を常に監視しているかから、確実に対策が実行されるのであれば、リスクは小さくなったと判断できそうです。こういう確実性が担保されている場合は、リスクを下げても差し支えがありません。

とはいうものの、管理的対策などは一時しのぎと考え、将来的には本質的対策や工学的対策を検討するのがいいでしょう。

index_arrow<b現場でできること。その限界。

さて、私は現在、一つ現場を受け持っています。 そこで、リスアセスメントを行ったのですが、やってみてはたと気づいたことがあります。

現場でできることは限られているのです。 できることは、管理的な対策や保護具の着用くらいしかできません。KYに毛が生えた程度のリスク発見と対策です。

作業方法そのものを見直すことは困難ですし、材料もだいたい決まっています。 安全な機械も、下請け業者が所有している重機を取り替えろとは言えません。

現場単位でやれることは、そう多くないことに気づきました。

建設業でのリスクアセスメントは、ちょっと特殊な事情がありそうです。

またこの話は、別の機会にまとめてみたいと思います。

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