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舟形と米沢で重傷労災事故(山形県)

      2016/10/09

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建設業では、重機を使うことが多いのですが、これらは操作や運転を誤ると、大きな事故になってしまうことがあります。

車体が大きいため、どうしても死角になる箇所があります。開口部や路肩の崩れやすい場所が死角に入り込んでしまうと、危険地帯に突っ込んでしまうこともあります。

また大きな車体に似合わず、操作レバーはとても軽く、少し力を加えるだけで、動きます。

これらの特徴による事故が、山形県の舟形町と米沢市で起こってしまいました。いずれも大きな事故で、被災者は重症になりましたが、命は取り留めました。重機事故では、重大な事故になり、命を落とす危険があるのです。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

舟形と米沢で重傷労災事故(平成27年9月17日)

【舟形】 16日午後2時45分ごろ、舟形町富田のの最終処分場で会社員が運転していたダンプカーごと深さ約4メートルの穴に転落、首の骨を折る大けがをした。

新庄署と同組合によると、被災者は袋に入った焼却灰を運搬していた。処分場内に掘られた穴に焼却灰を入れようとダンプカーの荷台を上げたところ、ごみの一部が荷台に引っ掛かってバランスを崩し、半回転して落ちた。同僚が119番通報した。

【米沢】
16日午前11時20分ごろ、米沢市の土木作業員の運転する小型パワーショベルが横転、被災者は車体に足を挟まれ、左足首を折る大けがをした。

米沢署によると、被災者は同日午前8時15分から、地下に給水管を埋め、パワーショベルで整地する作業を同僚3人としていた。
シャベル部分で土をならしていた被災者がアーム操作を誤り、パワーショベルが右に横倒しになった。物音に気付いた現場の隣人女性が119番通報した。

山形新聞

舟形の事故の型は「墜落・転落」で、起因物は「地山」です。
米沢市の事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「ショベルカー」です。


この事故は2つあるのですが、どちらも重機事故です。

舟形は、ダンプで灰を運び、穴に入れようとしたところ、ダンプカーが穴に転落してしまいました。ゴミの一部が荷台に引っかかったため、バランスを崩したようです。
荷降ろしのため、開口部にはバックで近づきます。ダンプカーでは、バックは死角になります。穴の位置がよく見えません。重機での開口部への接近は、それだけで危険を伴うことがあります。

米沢市の事故は、ショベルカーの操作を誤り、横転し、下敷きになりました。ほんのちょっとした操作ミスが、事故につながったのです。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow事故原因の推測

舟形の事故では、ダンプで開口部に近づき、荷降ろしでバランスを崩してしまいました。バランスを崩したのは、灰の中の積み荷が引っかかったのですが、何が引っかかったかは、不明です。
この運転者は、荷降ろし作業は日常的に行っていたのでしょうから、慣れていたことでしょう。まさか穴に転落するなどと、思わなかったはずです。

開口部付近での作業は、常に転落の危険がつきまといます。本来ならば、運転者だけで作業するのは避けたほうが良い状況でした。

米沢市の事故は、小型のショベルカーを使った作業中の出来事でした。ショベル部分で地均しということなので、ショベルの背を地に付け、左右に動かしていたのでしょう。小型のショベルカーですから、車体は軽いものです。大きな石に引っかかると、グラグラするほどです。
転倒の原因は操作を誤ったということなので、アームを大きく振ってしまったのかもしれません。操作レバーは非常に軽いものですから、ちょっと手が触れてしまうだけで、意図しない動きをすることもあるのです。
それでは、原因を推測をまとめてみます。

(船形)穴への荷降ろしの際、状況確認が十分でなかったこと。
(米沢市)ショベルカーの操作を誤ったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow対策の検討

ダンプや重機などが、転落する恐れのある場所を通るときは、誘導者を配置する必要があります。その理由は、どうしても足元や背後は、死角になるからです。開口部に近づく場合は、下手をすると、位置をつかめず、転落することもあります。
舟形の事故現場では、穴の位置は把握できていたようです。仮に誘導者がいれば、荷物の引っ掛かりにも、対応できたかもしれません。

米沢市の事故は、対策としては、操作を慎重にするということになります。しかしそれは個人の技能によるので、対策になりえません。もちろん、個人の操作技術を高めるのは大切なことなのですけども。
小型ショベルカーの車体重量は軽いため、不意の動作には弱いものです。弱いというのは、アームを勢いよく振ると、車体が引っ張られるほどです。その特性をよく理解して、作業しなければなりません。
ショベルカーは不安定な地盤でも作業ができますが、操作ミスで横転してしまうほど不安定な場所での作業には注意が必要です。

機械の特性と安全な使用法は、事前に作業者に教えておく必要があります。

対策をまとめてみます。

(舟形)開口部付近での作業は、誘導者を配置する。
(米沢市)機械特性を理解して、操作する。

山形県で起こった事故を2件取り上げましたが、いくつかの地域では、今年の事故はやや増加している傾向にあるようです。
事故は特別な状況で起こるわけではありません。日常的に繰り返され、慣れている作業の中、何か些細な事をきっかけにして起こります。
それは、ほんの少し荷物が荷台に引っかかったこと、操作レバーを動かしてしまったことといったものです。

油断があったわけではないでしょう。タイミングが悪かった、運が悪かった、そう言っても過言ではありません。
しかし、それが大きな事故になってしまいます。

事故は、いつでも起こるのだということを、これらの事故は示してくれているようです。

index_arrow違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

【安衛則】

第157条
車両系建設機械を用いて作業を行うときは、転倒防止のための措置をとらなければならない。
第159条
車両系建設機械の運転について誘導者を置くときは、一定の合図を定め、誘導者に合図を行なわせなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

安全に車両系建設機械を使用するための措置
安全に車両系建設機械を使用するための措置 その2

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