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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

実情として法令違反は、案外少なくないのかも。

      2015/10/11

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ブラック企業という言葉は、テレビなどでも使われれるようになったので、多くの人の認知を得ていると思います。簡単に言うと、労働基準法を相当逸脱した、長時間労働を低賃金で強いたり、肉体的精神的に圧迫する会社のことですよね。

本人がやりたいことならばともかく、気乗りしない事、やりたくないことを強いられるのは苦痛です。それを法定制限時間以上強いるのは違反にあたります。政府も度の過ぎたブラック企業は、企業名を公表するなどの対策に乗り出しました。

ブラック企業のようなケースはさすがに目に余ります。しかし実情として、案外法令違反をしている人や会社はあるのではないでしょうか。軽微なものを含めると、それなりにあるのではと思います。

例えば、車で制限速度オーバーで走るのは法令違反です。しかし常に守り続けている人は、どれほどいるのか。私も胸を張って、常に守っているなど言えません。
自転車の取り締まりが厳しくなりましたが、スマホを見ながら乗っている人もよく見かけたりしませんか?これは違反どうのこうのという以前に、危ないのですけども。

事業者が労働者の安全や健康を守るための法律に、安衛法等がありますが、この法律違反も、細かく見ていくと少なくないようです。

和歌山県の労働局が、県内の事業所に立ち入り調査をしたところ、その6割に労働基準法や安衛法の違反があったそうです。

事業場の6割で法令違反 和歌山労働局管内(紀伊民報 平成27年7月11日)

違反率が高かった業種は、運輸交通業(71・2%)、接客娯楽業(71・1%)、保健衛生業(69・9%)、商業(67・7%)、製造業(66・6%)などです。v 違反内容は、「安全基準」、「労働時間」、「割増賃金」に関係するものが多かったとのことです。

賃金や労働時間に関するものも多いのですが、「安全基準」の違反が多いというのが気になります。

index_arrow守られない安全基準

安全基準というのは、安衛法で定められた「労働者が安全で健康的に作業する」基準に違反しているということです。
安衛法では、業種や業務ごとに、細かに基準を定めています。
例えば、高所作業で使用する足場には、手すりの高さは85センチ以上で、作業床の幅は40センチ以上にしなければならないというものです。

労働者、作業者の怪我や健康に直結することがらです。いわば作業者の命を守る基準とも言えます。

「安全基準」違反で、最も多かった業種は建設業で、製造業だそうです。どちらも一歩間違えれば、大事故になりかねない業種と言えます。
なぜ、安全基準は守られないのでしょうか。

index_arrow現場ではどうなのか

安全基準に違反するのには、2つ原因がありそうです。

1つ目は、事業者が違反するもの
2つ目は、作業者が違反するもの


1つ目の事業者が違反するものから考えてみましょう。

事業者による違反は、労働環境や設備、条件などの違反です。

和歌山県労働局の調査でも、機械に適切な安全装置がないというも見られたようですが、これは事業者による違反です。 機械の安全装置は、事業者の責任において取り付けるものです。

事業者に求められることは、労働者の安全を確保することです。安全が確保されない環境や作業方法、材料などは改善しなければなりません。

事業者もこのことはよく理解しているはずです。しかし違反してしまうのは、なぜか。
大きな理由はコストでしょう。

安全性の高い機械を導入するのは、かなりの設備投資が必要になります。簡単に資金を出したり、融資を受けたりはできません。
ちょっと古くなった、危険だなと思ったらすぐ交換というのはなかなかできないことでしょう。
設備を取替えたけど、新しく入れたものは、以前使ってたのより少しだけ新しい型の中古品でした、というのは珍しくありません。

工場機械も建設重機も、長い間の使用でボロボロになるけど、まだ現役なのもよくある話です。

対策としては、設備投資の補助金を受けたりするのがあるでしょう。しかし必要な情報は必要な人に届くとは限りません。
組合や協会などがあれば、それを通じて補助金の話はあるといいですね。

例えば、こんな補助金があります。

建設企業の重機購入を支援(国交省)

製造業 助成金一覧(助成金ねっと)
たくさんありますが、「省エネ設備導入」は、新しい機械の購入補助になるのではと思います。

2つ目は、作業者による違反です。
これは、現場での違反が多いようです

私は建設業ですが、現場を見ていると、必ずしも法令を守っていないようです。

ショベルカーで、転落する恐れのある場所では、合図者等を配置しなければなりませんが、あまり見かけたことはありません。
特に多いのは、フォークリフトの使用時の違反です。無免許運転は論外として、作業にあたっては作業指揮者を配置することになっていますが、そんなの見たことありません。

仕事では、何とか目の前の作業をやり切るという気持ちが働きますよね。少々無理なことでも、やりぬくこともあると思います。そのやり方は常に法にかなったやりかただけで難しかったり、時間がかかったりします。そんな時、強引にやりきるのではないでしょうか。

さらに、そもそも法令違反だと知らないということが多いのでしょうけど。

安衛法を一から十まで知っている人は、いないでしょう。
関係する規則は知っていたりするでしょうけど、熟知まで求めるのは困難です。

少なくとも命にかかわる規則だけは、守りましょう。
法律を守ることが大事なのではありません。命を守ることが大事なのです。
安衛法に関しては、過去に起こった事故を元に基準等が設けられています。だからとても参考になるのです。

安衛法は守るという意識から、使うという意識にしておくと、自分たちの仕事に密接になるかもしれませんね、

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