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1.5トンの鉄骨の下敷き 鉄鋼会社従業員死亡(熊本県荒尾市)

      2015/10/28

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工場や倉庫で重い荷物を運ぶためには、フォークリフトを使う他、クレーンを使用します。
よく倉庫などの天井には天井クレーンが付いていることが多いので、見かけることが多いのではないでしょうか。

天井クレーンは倉庫などの建物内での移動で頻繁に使われます。重量物を持ち上げる機械ですので、取り扱いには資格が必要ですし、玉掛けも確実に行わなければなりません。
玉掛けが不十分だと、吊り荷が落下し、事故になってしまいます。

熊本県の鉄鋼会社で、クレーンで鉄骨を移動していたところ、吊り荷が落下。クレーンを操作していた作業者が下敷きになるという事故がありました。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

1・5トンの鉄骨の下敷き 鉄鋼会社従業員死亡(平成27年10月12日)

12日午後4時ごろ、熊本県荒尾市高浜の鉄鋼加工会社で、従業員が重さ約1・5トンの鉄骨の下敷きになり、搬送先の病院で死亡が確認された。

荒尾署によると、被災者は1人でクレーンを使って倉庫から鉄骨を運び出す作業をしていた。原因を調べている。

産経新聞

この事故の型は「飛来・落下」で、起因物は「クレーン」です。

この事故は鉄鋼会社で、重さ1.5トンの鉄骨をクレーンで吊り上げ、倉庫から運び出すときに起こりました。 吊り上げていた鉄骨が落下し、すぐ側でクレーンを操作していた被災者を下敷きにしました。
救助作業を行ったものの、被災者は亡くなられたのでした。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow事故原因の推測

直接的な原因は、鉄骨が落下したことです。
なぜ落下したのでしょうか。

考えられるのは、玉掛けが不十分だったということです。
玉掛けとは、クレーンなどで荷物を吊り上げるときにワイヤーなどの吊具を付けることです。鉄骨のような細長いものを吊り上げる時、上手にバランスをとらないと滑り落ちてしまいます。

玉掛けは、ワイヤー等で荷物をくくるだけなので、誰でもできそうに見えますが、実は技術を必要とするのです。そのため資格を必要とします。 玉掛けと同様にクレーンも資格を必要とする作業です。天井クレーンですから、床上操作式または床上移動式クレーンの資格は必要とします。

この作業者が資格を持っていたかは、記事からは不明ですが、無資格で作業していたなら体制に問題があります。

さらに使用していたクレーンの定格荷重以上の重量物を吊っていたならば、玉掛けでしっかり固定していても、危険であることには間違いありません。

また事故当時、1人で作業したようですが、クレーン作業では合図者を必要とします。原則的に1人で作業はしてはいけないのです。

もし吊り荷が落下したとしても、荷の下にいなければ下敷きは避けられます。この事故では、吊り荷の下または非常に近い場所にいて操作したのではないでしょうか。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

玉掛けが不十分だったこと。
無資格者が作業していたこと。
クレーンの合図者がいなかったこと。
4クレーンの吊り荷の下で作業していたこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow対策の検討

1トンを超える荷物のクレーン作業を行う場合は、クレーンの特別講習、玉掛けの技能講習を修了した有資格者が作業しなければなりません。資格を必要とすると作業は、危険を伴うものです。そのため、きちんとした体制で作業させなければなりません。

次にクレーン等の設備も危険のないものを使用します。クレーンは定期点検を行い、正常に稼働することはもちろんですが、定格荷重以上の物を吊り上げてはいけません。 クレーンだけでなく、ワイヤー等の吊具も壊れているものは使用してはいけません。設備の点検はしっかり行いましょう。

さらに、作業体制として、クレーンの1人作業は行ってはいけません。
それに吊り荷の下や近くで作業してはいけません。合図者がいれば、吊り荷の下での作業も注意できたのではないでしょうか。

クレーン作業を行う上での体制が不十分だったのが、この事故の背景にありそうです。

対策をまとめてみます。

有資格者に作業させる。
クレーンやワイヤーの点検を行う。
クレーン作業では合図者を配置する。
4クレーン作業では吊り荷の下に入らない。

倉庫では日常的にクレーン作業などやり慣れているかもしれませんが、実は大事故になる可能性のある危険作業です。
資格者を当てるなどの体制を整える他、吊り荷の下に入らないという基本的な作業ルールも守らせなければなりません。

天井クレーンでは、荷物と一緒に自分も移動しますが、なるべく荷の下に入らず、ある程度距離を保ちましょう。
合図者の配置は、荷の下に作業者が入らないことも監視するためのものなのです。

クレーンを1人で作業する状況は多いかもしれません。なぜ合図者を配置するかには理由があります。
作業時の危険を防ぐためにも、作業体制を見直すことも大事ではないでしょうか。

index_arrow違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

【クレーン等安全規則】

第23条
クレーンにその定格荷重をこえる荷重をかけて使用してはならない。
第24条の2
クレーンを用いて作業を行うときは、定格荷重を常時知ることができるようにしなければならない。
第25条br> クレーンを用いて作業を行なうときは、一定の合図を定め、合図を行なう者を指名して、その者に合図を行なわせなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。
クレーンの安全 その9。 作業時の注意

第29条
クレーンに係る作業を行う場合であって、荷の下に労働者を立ち入らせてはならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。
クレーンの安全 その10。 作業時の注意2

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