今日も無事にただいま

「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

伐採した木の下敷きになり青森の男性死亡(岩手県養野町)

      2015/12/11

entry-492

昨日、木を伐採していたところ、下敷きになったという事故事例を紹介しました。
その事故と続けざまに同様の事故があったので、紹介したいと思います。

この事故も、切った木の下敷きになったという事故です。

今回はこの事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

伐採した木の下敷きになり青森の男性死亡 (平成27年11月14日)

14日午後2時40分ごろ、岩手県洋野町種市の山林で、樹木の伐採作業中だった青森県の作業者が、倒れた木(長さ約20メートル、直径約30センチ)の下敷きになっているのが見つかり、病院で死亡が確認された。

岩手県警久慈署によると、被災者は青森県の林業会社に勤務。この日、午前8時ごろから、同僚と計7人で間伐作業をしていた。死因は外傷性窒息死などとみられ、同署が詳しい原因を調べている。

産経新聞

この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「倒木」です。

この事故は、山間部で木を伐採している時に起こりました。

同僚と一緒に作業していたようですが、下敷きになっているのを発見されたというので、1人ずつやや離れ離れで作業していたと思われます。

木の倒れる方向にいたのでしょう、木の下敷きになり亡くなられたのでした。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow事故原因の推測

直接的な事故の原因は、倒れた木の下敷きになったことです。 これは、作業者が木が倒れた方向にいたとも言えそうです。

木を切る際には、受け口を作り、倒れる方向を決めます。 作業者は、受け口を反対側から刃を入れていき、切り倒します。そうすることで、自分に倒れてこないようにするのです。

この作業者は、受け口側から切ったのか、受け口と反対側にいたけれども、木の倒れる方向が変わってしまったのか、不明です。
何らかの原因で、木が自分の方に倒れてきたのでした。

木が倒れるとき、受け口側にいたのならば、位置取りに問題があります。
もし、周りの木に引っ掛かって、倒れる方向が変わることが想定されていたならば、周りの木の枝を払うなどの対処が出来たかもしれません。またロープを掛け、倒れる方向に誘導してやるなどを検討できたのかもしれません。

事前にどんな危険があるのかを検討していなかったのが原因ではないでしょうか。

また、木が倒れる方向が見当違いだった場合、すぐに避難できる準備が必要です。
木が自分に向かってくると分かってから、退避しようとしても、逃げきれるものではありません。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

木が倒れる方向に立っていたこと。
事前に危険を除去していなかったこと。
<b退避方法を決めていなかったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow対策の検討

木は原則として、受け口と反対側からチェーンソーの刃を入れていきます。 木は受け口側に倒れていきますから、作業者側には倒れてきません。

受け口が小さすぎると、うまく倒れてきません。受け口は十分な深さの切れ込みを作ってやる必要があります。
また作業場所は斜面なので、常に受け口と反対側に立っていることは困難かもしれません。そのため、木の周囲をぐるぐる回りながら切っていくこともあるかもしれません。こういった場合でも、倒れそうになったら、確実に受け口と反対側に行くようにしなければなりません。

受け口をしっかり作っても、周りの木に接触して向きが変わることがあります。
そのような方向転換を防ぐため、周りの木の枝を切ったり、ロープで倒れる方向をコントロールしてやる工夫も必要だったのではないでしょうか。
どこに倒れるのか、危険はないかなどを、木に刃を入れる前に検討してくと、危険が少なくなります。

さらに、もし自分の方向に倒れてきた際には、どの方向に逃げるのかを決めておくと、いざという時にいち早く行動することができます。一瞬の行動が命を救うことがありますので、退避先の目星つけは非常に大切です。

木は同じように生えているようで、作業条件は1本1本異なります。
だから、目の前の木を切る前に、周りに危険要素はないかをチェックし、退避先を決めておくことは、非常に重要です。

対策をまとめてみます。

木の倒れる方向を確認して、位置取りする。
周りの木の状態などを確認し、危険要素をあらかじめ排除する。
退避先を確認する。

伐採作業も、チームでやることが多いので、合図などを出しあうことも、事故の防止になります。 また事故が起こったり、怪我をした時にも、いち早く救助することもできます。

作業前に、チーム全員で、どこに危険があるのかを話し合うことは、非常に大切なことと言えそうですね。

index_arrow違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
【安衛則】

第477条
立木を伐倒しようとする時、退避や危険除去などを行わなければならない。
第479条
立木を伐倒しようとする時、合図を定めなければならない。

 

iQiPlus

 - ○事故事例アーカイブ, はさまれ・巻き込まれ ,