今日も無事にただいま

「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

JR建設中の新駅で足場倒壊 神戸線六甲道-灘間(兵庫県神戸市)

      2015/12/15

entry-502

今年の冬は暖冬と言われていますが、12月に入っても暖かい日が続いています。
ある日などは、20℃にも達し、12月としては観測史上で最も暖かいとのこと。

その暖冬の影響でしょうか、12月10日~11日には季節外れとも言えそうな大雨と強風が吹きました。
この影響は大きく、各地で交通がストップするなどがあったようです。
神戸のルミナリエも被害を受けてしまいました。

私の会社でも、夜中に呼び出されるというのこともありました。

ルミナリエのある神戸では、これとは別にも大きな事故がありました。
JRで新しい駅を建築する工事のために組まれた足場が倒れてしまったのです。
このため、ほぼ1日JRがストップしていまいました。
神戸の動線が封じられ、大くの人の影響が出てしまったのです。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

JR建設中の新駅で足場倒壊 神戸線六甲道-灘間 (平成27年12月11日)

11日午後1時ごろ、神戸市灘区のJR神戸線六甲道-灘間にある建設中の新駅「摩耶駅」で、下り快速電車の運転士が、線路内に鉄板のようなものがあるのを見つけ、緊急停車した。

JR西日本によると、工事の足場のようなものが崩れ、線路に入っているという。この影響で、JR神戸線は甲子園口-西明石間で上下線とも運転を見合わせており、区間内で約20本が停車している。同日午後1時25分から、振替輸送を実施している。




この事故の型は「倒壊・崩壊」で、起因物は「仮設物(足場)」です。

この事故は、駅の新設工事中に起こりました。
昨日より続いた強風により、足場が崩れてしまったのでした。

この足場は風速17メートルまでは耐えられる設計になってしまいたが、当日は最大風速25メートルにも達したそうです。 これはもはや台風並みの強風です。

設計強度を超えた強風に対し、はかなく崩れ去ってしまったのでした。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow事故原因の推測

原因は、言うまでもなく強風です。 映像で倒れた写真を見たところ、折れ曲がり、線路を塞いでしまうのでした。

撤去は本来ならば鉄パイプのジョイントを外して、分解するのでしょうけども、すぐさま復旧が求められるため、クレーンでまとめて運び出していました。

強風への備えが考えられていなかったのでしょうか。
いえ、決してそうではありません。

強風の定義とは、「10分間の平均風速が毎秒10メートル以上の風」というものです。
この足場は、風速17メートルには耐えられる設計でした。

悪天候時にできること

台風シーズンであれば、もっとつよく吹く風、つまり「暴風」(瞬間風速が毎秒30メートル以上の風)も考慮します。
しかし10月以降に台風が上陸することは、まずありません。
ならば、突発的な強風に耐えるだけの強度でも構いません。

ただ、天気は人の思うままにならないもので、いつ荒れるかは分かりません。
強風が想定されている場合の足場の養生については、検討の余地があったのかもしれません。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

想定外の強風が吹いたこと。
強風に対する備えが不十分だったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow対策の検討

足場を設計するとき、十分な強度は設計します。
台風のオフシーズンであれば、強風への備えを検討して強度を出しているはずです。

強度を上げることはできるでしょうが、強度を上げるためには支持金具を増やしたりするため、コストがかかります。
設計の段階では、必要最低限の強度とコストのバランスで計算するものです。

そのため、設計強度が不十分だったと決めつけることはできません。

ただし、足場の改造や一部解体などしていて、強度が下がっていたならば、その点への責任は問われる可能性はあります。

設計強度などを検討しても、天候ばかりは気まぐれで、コントロールできません。
12月の大雨強風などは、あらかじめ想定することなどできません。

しかし天気予報などで、悪天候が予報されていたならば、足場が倒れないように養生はできたかもしれません。
例えば、壁とのつなぎを強化する。ワイヤーなどで固定するなどです。

結果的にですが、もし十分な養生があれば、倒壊は免れたかもしれません。

多くの方へ影響をあたえる場所での作業なので、悪天候時の対応については調査が入るかもしれません。

対策をまとめてみます。

悪天候が予報されるときは、養生する。
改造などをしていたら、弱い箇所を補強しておく。

悪天候はいつ起こるか分かりません。ある程度の備えは出来ますが、それが十分かはわかりません。
そのため、可能な限り備えすることが求められます。
特に、市街地などで事故が与える大きな影響を考慮すると、備えはどれだけしても不足ないのかもしれません。

index_arrow違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

第561条
足場については、丈夫な構造のものでなければ、使用してはならない。
第562条
足場の構造及び材料に応じて、作業床の最大積載荷重を定め、これをこえて積載してはならない。

 

第563条
高さ2メートル以上の作業場所には、作業床を設けなければならない。
作業床は、適当な強度や構造、設備を設けなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。 通路と足場 その5。 足場の材料

iQiPlus

 - ○事故事例アーカイブ, 崩壊・倒壊 , ,