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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

猫井川ニャン、撃たれる!?

      2015/05/30

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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。

(株)HHCでは、今日はコンクリート打設のために、型枠作りを行うことになりました。

今日の作業は、猫井川ニャン保楠田コンの二人です。
二人は、工事現場にトラックで型枠用のコンパネ(コンクリートパネルという合板。通称コンパネ)を運び込みました。
コンパネを荷降ろししたところで、保楠田が猫井川に言いました。

「それじゃ、俺は図面から寸法を拾って、コンパネを切っていくから、猫ちゃんは桟木(骨組み用の角材のこと。細長い。)切っていって。細かいところは現場合わせするから、少し長めに切っておいてね。

今日中に型枠を終わらせないと、明日のコンクリート打ちに間に合わないから、ささっとやっていかないとね。

それじゃ、猫ちゃん、始めますか。」

保楠田の指揮のもと、型枠材料の加工が始まりました。

保楠田はコンパネに図面寸法通りに墨を打ち、電動丸型のこぎりで切っていきます。
猫井川もコンパネに合わせて、桟木を切っていきました。

ギュイ~ン、ギュイ~ンと電動のこぎりが響き渡ること、2時間。
ひと通り型枠材料の切断は終わりました。

「それじゃ、猫ちゃん。大体切れたことだし、少し休憩してから、型を組んでいこうか。」

涼しくなってきたとはいえ、ずっと木を切っていたので、汗ばみます。
猫井川は少しほっとして、切り終えた桟木を一箇所にまとめて、保楠田の側に座りました。

「これで、大体終わりですかね?」

「ん~、あとは実際に組んでみて、微調整しながらかな。」

「それじゃ、今日中には型は組み終わりそうですね。」

猫井川と保楠田は、お茶を飲みながら話をしていました。

「そういえば、猫ちゃん。前にネイルガンが調子悪いとか言ってたけど、大丈夫?」

ネイルガンとは、電動の釘打ち機のことです。
スイッチを押すと、圧縮したエアーで釘が打ち出され、一瞬で釘が撃ちこむことができる道具です。
たくさん釘を打つ、建築の現場などでは必需品と言えます。

猫井川は、先輩からネイルガンをもらったのですが、最近調子が悪く、スイッチを入れても動かないことがあったのでした。
前の現場の時に、そのことを保楠田にこぼしていたのです。

「そうそう、見て下さいよ。
 さすがに使えなくなってきたので、会社に新しいのを買ってもらったんですよ!
 どうです?いいでしょう?」

猫井川は早速、新しいネイルガンを見せました。

「おお~、いいね~!!
 やっぱり、新しいのだけあってきれいだよ。
 どう?俺のと交換しない?」

猫井川のネイルガンを持ちながら、保楠田が冗談交じりに言います。

「ダメですよ。まだ俺も使ってないんですから。
 今日がデビューなんですよ。」

「そうか~。でも俺のは使いやすいよ。
 猫ちゃんも何度も使ってるから分かるでしょ?」

「いやいや、ダメですよ。
 保楠田さんのは、確かに前の壊れかけのよりは使いやすかったですけど」

そんなやり取りをしながら、二人でじゃれていました。
じゃれている内に、ネイルガンを持っていた保楠田は、スイッチを押してしまいました。

パシュン!

空気が弾けるような音がしてと思うと、猫井川の足元に何かキラリと光るものが。

どうやら、ガンに装填されていた釘が打ち出され、猫井川の足元に打ち込まれたようです。

静かになる二人。

幸い足からは少し離れた位置に打ち込まれたので、猫井川に怪我はありませんでした。

静かに釘を見つめる二人。

保楠田は、猫井川にネイルガンを手渡して、言いました。

こ、工具を持ってふざけると危ないよね。。

無言でうなづく、猫井川。

「そろそろ、型を組もうか。猫ちゃんも気をつけて、釘を打ってね。」

ちょっと反省した二人は、そろそろと作業を再開したのでした。


保楠田と猫井川の二人作業でしたが、本当にヒヤリとしたようです。

では、今回のヒヤリハットをまとめていきたいと思います。

昔は手作業の工具も、今ではその多くが電動化されています。
ドライバー、キリ、カナヅチ、ノコギリなど、工場で固定式のものありますが、携帯用の電動工具もあります。

建設現場なのでは、携帯用の道具がよく使われます。
電動道具を使用すると、釘は一瞬で打てますし、ナットも一瞬で閉め込むことができます。

当然のことながら、使い方を間違えると、怪我をしてしまいます。
しかも電動工具は、かなりの威力を持っているので、かなり大きな怪我になってしまうこともあるのです。

例えば、釘を打つ時にカナヅチを使っているのであれば、誤って指を打ってしまうことがありますね。爪を打ってしまうと、内出血で爪が真っ黒になったりして。
一方、電動のネイルガンでの怪我は、内出血どころでは済みません。下手をすると、手に釘が・・・
カナヅチで打つのも悶絶しますけど、手に釘は、洒落になりません。

ネイルガンに限らず、電動工具は途中で止めることができないのと、力の加減ができないので、大怪我につながってしまうことがあるのです。

特にネイルガンなどは、圧縮した空気で釘を打ち出し、一瞬で板や柱の根本まで打ち込む程の威力があります。
カナヅチでいうと少なくとも5打撃分の威力はあるのです。

そんな道具を持ちながら、じゃれあっていた猫井川と保楠田は、どれほど危険かは想像がつくかもしれません。
今回は登場しませんでしたが、犬尾沢ガウがいたならば、かなり怒られていたはず。

今回は、ヒヤリで済み、怪我につながりませんでしたが、実際に事故も起こっています。
統計データが見つからなかったので、数を示せないのですが、身近なものであるため、少なくないと思います。

猫井川と保楠田のように、工具を持ってじゃれるのはもっての外ですが、じゃれる以外にも気をつけておかなければならないことはあります。

まず、ネイルガンであれば釘を装填したままにしておかないのが重要ですね。
装填したままだと、このケース以外でも、誤射してしまいかねません。
これは猫井川のミスです。
ネイルガンに限らず、危険がある状態では保管しないようにしましょう。
カバーが必要な物は、カバーをする。取り外さなければならないものは、取り外すなどです。

そして、猫井川のネイルガンは新品だったので、大丈夫でしょうけど、電気を使用するので、破損していたら、感電してしまいます。
使う前には、必ず点検をしましょう。

昔から大工さんにとって道具は命だと、聞いたことがあります。
普段からとても丁寧に手入れをして、長年使うというのも珍しくないと思います。

確かに電動工具は、10年も使えないかもしれません。
そんなに丁寧に扱わなくとも、動いてくれます。
しかし点検を怠ると、自分に怪我という形で返ってきてしまうのですから、普段から丁寧に扱いたいものですね。

さて、今回のヒヤリハットをまとめたいと思います。

ヒヤリハット ネイルガンを持ってじゃれていたら、足元に釘が打ち込まれた。
対策 1.電動道具を持って、ふざけない。
2.保管する時には釘を抜くなど、危険状態のままにしておかない。


普段、何気ないことことや、ちょっとしたおふざけも怪我になることがあります。
特に業務用の道具は、一般家庭で使うものよりパワフルなものが多いので、使い方にも慎重さが求められます。

しかし、どんなに危険性の高いものでも、日常的に使用して慣れていると、その怖さを忘れるのも事実でしょう。
油断したときに、怪我をしてしまうので、今自分が扱っているものの危険性を、今一度見なおしてみるといいかもしれませんね。

この件により猫井川と保楠田は、この後の型枠組みの作業を、細心の注意を払って行っていったのではないでしょうか。

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