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労災でスズキを書類送検 機械に挟まれ男性死亡(静岡県掛川市)

      2016/02/04

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工場の製造では、様々な機械を使います。
機械はとてつもない力を持っているものの、通常の使い方をしている分には、危険はありません。

もし危険があるとすると、通常とは違う、イレギュラーな使い方をする場合です。
作業効率を上げるために、安全装置を解除して使うのは、イレギュラーで危険な使い方です。また安全装置やその他呼称しているけれども、だましだまし使うのも、イレギュラーな使い方です。
これは極端な礼ですが、ここまではなくとも、イレギュラーな作業もあります。

一例を挙げると、点検や修理などは必要な作業ではありますが、常に行う作業ではありません。
そして時として、危険を伴うことがあるのです。

スズキの工場で、機械の点検作業中に、はさまれ作業者が亡くなる事故がありました。
事故の後、労働基準監督署等の捜査を経て、書類送検されました。

必要な措置をさせずに、危険な作業をさせたというのです。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

労災でスズキを書類送検 機械に挟まれ男性死亡 (平成27年12月10日)

静岡県掛川市のスズキ大須賀工場で3月、男性社員が機械に挟まれ死亡する労災事故があり、磐田労働基準監督署は10日、労働安全衛生法違反の疑いで、法人としてのスズキと工場鋳造第1課組長を書類送検した。

送検容疑は、3月21日、工場内で鋳型からエンジン部品を取り出す機械を点検する際、機械を停止させず、危険防止に必要な措置を怠ったとしている。男性は機械に胸を挟まれ、窒息死した。

スズキは「亡くなられた方にお悔やみを申し上げる。今後はより一層の安全対策に取り組みたい」とのコメントを出した。

産経新聞


この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「製造機械」です。

この事故は、すでに事故の調査は行われ、書類送検されています。
事故の状況は、このようなものでした。

鋳型からエンジン部品を取り出す機械の点検を行うにあたり、作業者が機械の中に入り込みました。このような点検の際には、機械を運ぶ停止させなければなりません。
しかし、この時機械を停止させずに、中に入り込んだのでした。

機械は動いています。中に入った作業者は動く機械に胸をはさまれ、亡くなってしまったのでした。

事業者の責任としてスズキが送検された他、作業監督も送検されたのでした。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow事故原因の推測

この事故の原因は、動く機械の中に入って作業したことです。
作業者が数人の小さな工場ならいざ知らず、おそらくスズキなどの大きな工場では、点検に際しての作業手順書も決められていたはずです。

そして機械に入るような点検作業では、機械を停止するように定められたいたはずです。

しかし、機械を停止すると、ラインが止まってしまいます。

一時的な点検でラインを止めることを良しとせず、動いたままの状態で作業したのかもしれません。
結果として、この判断が事故を招いてしまったのです。

ラインの監督が稼働したまま点検しろと指示したとは思いません。しかし危険作業をしていることを知らなかった、または極端な話、黙認していたことが、監督不行届だったと判断されたようです。

作業手順書が徹底されていなかった、また機械の停止など相談できていなかったことが、事故の背景にありそうです。
それでは、原因を推測をまとめてみます。

機械を止めずに、点検を行ったこと。
作業手順が守られたいなかったこと。
監督が十分に作業を確認できていなかったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow対策の検討

まず何よりも、機械内部に入る点検では、必ず機械を停止させなければなりません。
もしかすると普段から同じようなことが行われていたのかもしれません。そのため危険意識が薄れていたのかもしれません。

作業手順書でも、機械が停止して点検するようにと書かれていたと思います。しかしそれが守らなけていなければ、意味がありません。それはただ書類を作っただけで、終わってしまっているにすぎません。

確かに機械を止めることは、ラインを止めることになります。ラインが少しストップするだけでも、生産性を下げてしまうことになります。
ちょっとした点検のために、機械を止め、ラインを止めるのがはばかられる心境は、十分理解できます。

ほんのちょっとくらいなら大丈夫などと考えて、少々の危険を冒し続けると、いつかは事故になってしまうこともあるのです。
事故はどんなに危険な状況であっても、必ず起こるものではありません。むしろほとんどの場合は起こらないものです。不運にも、危険な状態と行動が合わさり、避けられなくなった時、事故が起こるのです。

ライン管理者は、普段から危険作業を行っていたら、注意しなければなりません。普段見逃すと、危険な状況を増長させるのです。事故が起こる前に、危険作業は摘んでおくのも管理者の責任なのです。

対策をまとめてみます。

機械を停止させて、点検する。
作業手順を守り、実施できる環境を作る。
監督は危険な作業をさせないように監視する。

いつもやっていることなのに、今回は運が悪くて、事故に巻き込まれた。
一見すると、そのように見えますが、事故の要素はいつもあったのです。

index_arrow違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

【安衛則】

第107条
機械(刃部を除く。)の掃除、給油、検査、修理又は調整の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止させなければならない。


これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

機械による危険の防止 共通一般その2 .

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