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焼却灰処理槽にショベルカーごと転落、女性死亡(埼玉県久喜市)

      2016/02/18

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ショベルカーは、土木作業以外でも使われます。使用場所としては、産廃処分場などもあります。
産廃処分場でゴミを運んだり、積み上げたりすることにも使用されますし、焼却灰を処分場に運んだりにも使われます。

産廃処分場の中には、焼却灰を保管しておく穴などもあります。これらの穴の中にショベルカーで焼却灰を投入するのですが、その時注意すること、この穴の中に落ちることです。

ショベルカーに乗っていようと、墜落の衝撃は体を襲い、命を奪ってしまうのです。

埼玉県久喜市で、産廃処分場でショベルカーが落下する事故がありました。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

焼却灰処理槽にショベルカーごと転落、女性死亡(平成28年1月25日)

25日午後8時半頃、埼玉県久喜市の廃棄物処理会社の焼却処理施設で、焼却灰をショベルカーで運んでいた同社社員が、ショベルカーごと処理槽(幅3・5メートル、奥行き7メートル、深さ5メートル)に転落した。 同僚が119番した後、被災者は約6時間後に救助されたが、胸などを強く打っており、搬送先の病院で死亡が確認された。久喜署で事故原因を調べている。

読売新聞(記事リンク切)

この事故の型は「墜落・転落」で、起因物は「構造物(開口部)」です。

産廃処分場の焼却処理施設で、焼却灰をショベルカーで運んでいる時に事故が起こりました。
焼却灰を深さ5メートルの処理槽に投入しようとした時、ショベルカーが落下してしまいました。

落下した衝撃で運転者は亡くなってしまったのです。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow事故原因の推測

この事故は、ショベルカーを運転していた時に開口部に落ちてしまったことです。
運転者が開口部の位置を見誤ったのか、開口部の端の位置がわからなかったのか、いかなる理由があったのかは不明です。

ショベルカーの作業にあたっては、運行ルートや作業方法が決められていたはず。しかしその方法は守られていなかったのかもしれません。

またショベルカーなどが墜落する危険がある場所では、合図者を配置して、誘導させなければなりません。

しかし多くの場所では、運転者だけで作業し、別途合図者を置くことは少ないと思います。そのためのだけに人員配置する余裕がある会社はほとんどないでしょう。

合図者を配置せずに作業しても、よほどのことがない限り問題はないでしょうが、場合によっては今回の事故のようなことも起こってしまうのです。
墜落するような危険のある場所では、このような事故があるので、作業の進め方は注意が必要なのです。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

作業ルートや作業方法が決められていなかったこと。
合図者が配置されていなかったこと。
安全教育やKYを行っていたこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow対策の検討

ショベルカーでの作業では、事前に作業場の特性を踏まえて、作業ルートや作業方法などを計画しなければなりません。そのためには、作業場のどこに危険があるのか、どのように危険を避けるのかなどを調べてやる必要があります。

この処理場では、焼却灰を投棄する処理槽が危険箇所であったのは間違いありません。
この危険箇所への対策として検討されていたことは、穴に近づき過ぎないといったことなどがあったのではないでしょう。確かに穴に転落しないためには、近づき過ぎないことが重要です。

しかしこれは運転者個人の感覚に頼った対策です。個人の感覚に頼る安全対策は不安定なものです。簡単に許容する基準がブレるからです。
そのため場合によっては、危険のボーダーラインを超えることもあるのです。

開口部や墜落する恐れのある場所で、ショベルカーを使用する場合は、合図者を配置する必要があります。

また日々同様の仕事をしていて、開口部への接近に慣れてしまい、危険に陥ることもあります。慣れを抑え、危険に陥らないためにKYや安全教育で気を引き締めることも重要です。

対策をまとめてみます。

作業場の危険を調べ、作業計画を作る。
合図者を配置する。
KYや安全教育で安全意識を高める。

ショベルカーの使用にあたっては、どういった場所で作業するのかを調査し、対策を作業計画を作るのが重要です。
そして、ただ作っただけでは意味がありません。実行しなければ意味がないので、そのようなチェックも行う必要がありますね。

index_arrow違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

第154条
車両系建設機械を用いて作業を行なうときは、作業場所の地形、地質等を調査し、記録しておかなければならない。
第155条
車両系建設機械を用いて作業を行なうときは、調査結果を元に作業計画を定めなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

安全に車両系建設機械を使用するための措置

第159条
車両系建設機械の運転について誘導者を置くときは、一定の合図を定め、誘導者に合図を行なわせなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

安全に車両系建設機械を使用するための措置 その2

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