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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

その指示ちゃんと伝わってる?忙しい時ほどの伝達ミスはイラッとする

      2016/03/01

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私の会社は建設業で、主に公共工事を行っています。公共工事の発注者は自治体なので、様々なスケジュールは自治体に左右されます。特に工事の期日、工期は年度末に集中します。工事の竣工時検査は、2月から3月に集中します。(年度末以外だと6月くらいも多いそうですが。)

何が言いたいかというと、今の時期の建設業はめちゃくちゃ忙しいのです。
私が夏から担当しいている工事も、いよいよ竣工検査です。長い間ずっと携わってきましたが、ようやく開放です。まあ検査のために、2月は検査用の書類を大量に作りました。

忙しい時に起こりがちなのが、連絡ミスではないでしょうか。
これは忙しい時に限らずあるのでしょうけど。

私が担当していた工事でも、少なからず連絡ミス、伝達ミスなどがありました。

「前に言っていたのに、やってくれていない。」
「言ったとと違うことを、やってる。」

こういう経験はないでしょうか。

普段でもこういった意思疎通のズレは、腹が立ちます。
忙しい時、何かと期日が迫っている時に、これをやられるとキーっとなるでしょう。

伝達ミス、思い違いは腹が立つですまない時もあります。
場合によっては、大事故になることもあるのです。

今月の安全教育は、きちんと指示を伝えること、きちんと伝えられたことを理解することについてです。

index_arrow連絡ミスは大事故にもなる

情報伝達のミスが招いた事故の例として、1977年にテネリフェ空港ジャンボ機衝突事故というのがあります。
テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故

もう35年以上前の事故ですが、これはスペイン領カナリア諸島のテネリフェ島にあるテネリフェ空港の滑走路上で2機のジャンボジェットが衝突したというものです。
ジャンボジェット同士なので、多くの乗客が乗っていました。事故では583人もの乗客、乗員が亡くなりました。これは史上最悪の死者数になるのです。

この事故の原因は、空港が混雑していたり、霧が発生したりはありましたが、致命的なのは管制塔とパイロットとのコミュニケーションがいまいちだったことのようです。

離陸しようとしている飛行機が、滑走路の反対側から移動してきた飛行機に衝突したのです。 この時のやり取りについて書くと、長くなるので説明はwikiなどに任せますが、簡単に言うと管制塔とそれぞれのパイロットは、お互いに自分のやろうとしていることは相手に理解してもらっていると考えたのです。

しかし実際は、違っていました。
コミュニケーションのズレが多くの人の命を奪う結果になったのです。

このようの人が関わる事故は、ヒューマンエラーと言います。
ヒューマンエラーは書類の誤字脱字といった些細なものから、この事故のように致命的なものもあります。

この事故の後、同様のミスが起こらないような対策がされていますが、ヒューマンエラーは次から次へと出てくるのです。

情報伝達ミスによる事故も失くなりません。
大事故でなくとも、日常のイラッとする出来事も時を超え、現れるのです。

大事故は、機械や設備などで予防してくれる仕組みが発達していますが、日常の仕事での伝達ミスは自分たちで防止していくしかありません。

伝達ミスを防ぐ手段の1つは、情報伝達があった時点でお互いきちんと理解していることを確認することです。
そのためには、指示されたこと、伝えられたことをその場で復唱して確認することです。

index_arrowちょっとした復唱が連絡ミスを防ぐ

私は関西人なので、方言があります。方言はなかなかの伝達ミスを生み出してしまうものです。

例えば、「あの機械をなおしておいて」という指示があったとします。
この指示を受けた人は、どのように解釈するでしょうか。

「なおす」というと、一般的には「壊れたものを、修理する」と解釈するのではないでしょうか。しかし関西(あるいはもっと広範囲の西日本)では、「なおす」は「修理」以外に「片付ける」という意味も持ちます。

もし、指示した人が「なおしといて」を「片付けておいて」という意味で伝えていたのに、指示を受けた人が「修理する」という意味で聞いていたら、うまく指示が伝わっていないこともなりますよね。

どういう意味が確認せず、指示を実行したら、喜ばしい結果にはならないでしょう。
きっと「何でそんなとこ分からへんねん!」や「片付けるなら、きちんとそう言えよ!」とお互いイラッとしたのではないでしょうか。

どちらが悪いというわけでもないでしょうが、こういった誤解は多いのではないでしょうか。

もし指示を受けた時、「この機械はどこか壊れてるのですか?」など、聞き返せば、誤解は実行に移る前に解けたかもしれません。

疑問があればその場で聞くのが一番ですが、疑問がなくとも指示を復唱するだけでも、理解の度合いは測れます。
復唱をするのは時間にして、ほんの数秒から数十秒といったところでしょう。
この短時間の投資で、後のイライラが少なくなるのなら、十分価値のある投資ではないでしょうか。

私の信念は小さな投資で、安牌ゲットです。

毎月少額でも貯金をしていれば、10年も経つとそこそこの金額になっているように、
毎日10回程度の腹筋でも、1年も続けていれば、腹筋が6つに割れるように、
夏休みの初日から少しずつ宿題をしていると、明日から新学期でも軽やかな気持ちで迎えられるように、
ほんの少しの復唱する時間投資が、伝達ミスを減らします。

ほんの少ない時間で、とりあえず将来起こるかもしれないイラッとを摘めるのです。

「なおして」程度の違いなら、イラッとするくらいでしょうが、病院で薬の種類や量の伝達ミスがあれば、重大インシデントというものになります。
情報伝達ミスを防ぐ仕組み作りも重要ですが、復唱や疑問をその場で聞き返すというのも、すぐに取り入れられる手段ではないでしょうか。

自治体や建設業以外にも、これから年度末にかけて忙しいという会社は多いでしょう。
新入社員を受け入れる体制作り、また異動などが控えていれば、バタバタになると思います。

そんな忙しい中でも、情報伝達ミスによる事故を防ぐために、ちょっとした確認を心がけてみてはいかがでしょうか。
イライラは事故を引き寄せてしまうので、心の平安は、大切な事故防止ですね。

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