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外壁修理中に足場から落下 男性が死亡(栃木県宇都宮市)

      2016/03/30

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鉄筋コンクリートやRC造の建物は、素材むき出しのままということはありません。
いわゆる打ちっぱなしという状態のままだと、見た目も悪いですし、雨風にさらされることで劣化してしまいます。
コンクリートやが劣化し、ヒビ割れ、中の鉄筋まで錆びてくると、もう手の施しようがなくなります。

見た目をキレイにし、雨風から建物を守るものが、塗装なのです。
塗装作業はいわば、建物の化粧です。しっかり化粧を施すことで、中の肌(コンクリートなど)も守ってくれるのです。

塗装は屋外、屋内に施しますが、天井や外壁の高いところも漏れなく塗ります。
高いところの塗装では、とうてい届かないので足場を使用します。

足場作業は、高所作業です。
高所作業でつきまとう危険は、墜落・転落です。

栃木県宇都宮市で、倉庫の外壁の塗装作業中に墜落するという事故がありました。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

外壁修理中に足場から落下 男性が死亡 (平成28年2月27日)

27日午後4時ごろ、宇都宮市平出町の倉庫の外壁補修工事現場で、塗装業男性が足場から落下、頭などを強く打って死亡した。

宇都宮東署によると、男性は修理作業中だった。原因を調べている。

下野新聞(記事リンク切れ)


この事故の型は「墜落・転落」で、起因物は「仮設構造物(足場)」です。

この事故は、倉庫の外壁補修工事の時に起こりました。
倉庫の高さがどれくらいだったかは分かりませんが、足場を組んで作業していることから、5メートル以上はあったと思われます。もしかすると、10メートル以上だったかもしれません。

外壁の塗装のため、足場の上で作業していた時、地面に落下してしまいました。
墜落した作業者は、病院に搬送されたものの、亡くなられました。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow事故原因の推測

足場は作業床だけではなく、手すりや筋交いなどかが取り付けられ、墜落防止対策がついています。
そのため、普通に通路歩く、作業するという程度では落ちることは、100%ではないものの、極めて少ないです。

墜落するのは、手すりなどが取り外されていたなどの設備上の問題か、手すりの外に体を乗り出しすぎていたなどの作業方法の問題です。

今回の事故の原因が、設備にあるのか、作業方法にあるのかは分かりませんが、どちらも考えられます。

まず設備上の問題では、そもそも手すりがなかった、足りなかったという可能性もありますが、ひとまずこれは除きます。
よくあることは、最初足場を組み立てた時は構造上問題はなかったもの、途中手すりなどが作業の邪魔になり、取り外したりすることです。
塗装作業では、手すりが外壁に接近しすぎて、塗りにくいので、一時的に取り外すというのはあります。

次に作業場の問題ですが、作業床から手が届かない場所を塗る時、上の階層があればいいのですが、これもない場合は、手すりに足を掛けてより高くまで届かせることも、あります。現場でこのような光景を目にしたことは何度もあります。
危険ですし、本当は足場を構造変更するなどが必要ですが、作業者としてはほんの少しの作業だし、足場を替えるまで待ってられないということで、やってしまうようです。

これらの作業をしていた場合、足を滑らせたら、体を支えるものはありません。

もしこのような作業を行っていたとしても、きちんと安全帯を使用していたら、墜落は免れたかもしれません。
残念ながら、この時は使用されておらず、墜落を防いでくれませんでした。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

足場の手すりを外すなど構造を変えていたこと。
手すりの上に立つといった作業をしていたこと。
安全帯を使用していなかったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow対策の検討

足場の組立や解体作業は特別教育を受けた人が行うことになっています。
なぜ、そこまで厳しく制限されているかというと、下手な組み立て方だと、それを使って作業する人の命に関わるからです。

手すり1本欠けているだけで、墜落のリスクはぐんと高まるのです。

手すりなども取り外さないことは原則ですが、どうしても取り外す必要もあります。もし手すりを外すなどの一部構造を変えた時は、必要作業が終わったら速やかに復旧します。
そして作業中は、必ず安全帯を使用しなければなりません。

また手すりの上に乗るといった作業は、止めされなければなりません。
今ある足場では届かないというのであれば、計画ミスです。そんな作業をさせる前に足場を改造するなりを考えるのがいいです。

作業者がいつの間にか、勝手に危険作業をやるというのもあるでしょうが、監督がいかに監視の目を光らせるかは、かなり重要な危険抑止になるのではないでしょうか。

対策をまとめてみます。

足場の構造変更はしない。行った場合は速やかに復旧する。
安全帯を使用する。
危険作業防止のため、巡視と監視を行なう。

足場作業は墜落の危険と隣り合わせです。
このことはよくよく知られているものの、作業中には忘れがちなことです。

安全帯も腰道具と一緒に着けられているいるものの、使用されず常にまとめられているのもよく見る光景です。

墜落事故を防ぐためには、その設備の機能を発揮させることです。
今回の事故の原因が何かというのは分からないので推測になりますが、今の足場の構造では、よほどのことをしないと墜落しないと思います。それでも事故が絶えないのは、設備の面、人間的な面で、見直す点があるのでしょう。

index_arrow違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

【安衛則】

第564条
足場の組立解体の作業を行なうときは、適切な措置をとって行わなけれればならない。


これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

通路と足場 その6。足場の組立解体と点検

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