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特定機械の検査

      2015/06/11

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移動式クレーンは、特定機械という、少し特別に管理しなくてはならない機械のことです。
これらの機械は全8種あります。

移動式クレーンについて、性能検査についてまとめました。
性能検査は、特定機械が受けなければならない検査です。

移動式クレーンについて、その他どのような検査があるんかも、まとめようかと思います。

しかしその前に、全ての特定機械について、何の検査を受けなければならないのかを紹介してからの方が、整理しやすいかと思います。

今回は、特定機械が受けなければならない検査一覧を取り上げたいと思います。

特定機械については、次のとおりに規定されています。

【安衛法】

(製造の許可)
第37条
特に危険な作業を必要とする機械等として別表第1に掲げるもので、
政令で定めるもの(以下「特定機械等」という。)を
製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、
あらかじめ、都道府県労働局長の許可を受けなければならない。

2 都道府県労働局長は、前項の許可の申請があった場合には、
  その申請を審査し、申請に係る特定機械等の構造等が
  厚生労働大臣の定める基準に適合していると認める
  ときでなければ、同項の許可をしてはならない。

特定機械を製造するメーカーは、都道府県労働局長の許可を得なければなりません。
許可を得るためには、厚生労働大臣の定める基準に適合しなければなりません。

製造するだけでも、ハードルは高く設定されているのです。

許可の必要な特定機械は、別表1に掲載されています。
その機械とは、次の8種類です。

1)ボイラー
2)第一種圧力容器
3)クレーン
4)移動式クレーン
5)デリック
6)エレベーター
7)建設用リフト
8)ゴンドラ


しかし、これらの機械であれば、何でも特定機械に含まれる、というわけではありません。
なぜなら、クレーンでも0.1トンしか吊らないものもあれば、100トンまで吊れるものまで、能力に差があります。
それを十把一絡げにするのは、無理がありますよね。

そのため、大きさや能力によって、「一定以上」という制限があります。
この制限については、安衛令第12条に規定されています。

【安衛令】

(特定機械等)
第12条
法第37条第1項 の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等
(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

  1)ボイラー
  (小型ボイラー並びに船舶安全法 の適用を受ける船舶に
   用いられるもの及び電気事業法 の適用を受けるものを除く。)

  2)第一種圧力容器
  (小型圧力容器並びに船舶安全法 の適用を受ける船舶に
  用いられるもの及び電気事業法 、高圧ガス保安法、ガス事業法
  又は液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の
  適用を受けるものを除く。)

  3)つり上げ荷重が3トン以上
   (スタツカー式クレーンにあっては、1トン以上)のクレーン

  4)つり上げ荷重が3トン以上の移動式クレーン

  5)つり上げ荷重が2トン以上のデリック

  6)積載荷重(エレベーター(簡易リフト及び建設用リフトを除く。
   以下同じ。)、簡易リフト又は建設用リフトの構造及び材料に応じて、
  これらの搬器に人又は荷をのせて上昇させることができる最大の荷重をいう。
  以下同じ。)が1トン以上のエレベーター

  7)ガイドレール(昇降路を有するものにあっては、昇降路。
   次条第3項第18号において同じ。)の高さが18メートル以上の
   建設用リフト(積載荷重が0.25トン未満のものを除く。
   次条第3項第18号において同じ。)

  8)ゴンドラ

2 法別表第1第2号の政令で定める圧力容器は、第一種圧力容器とする。

簡単にまとめると、次のとおりです。

1)ボイラー
2)第一種圧力容器
3)クレーン(吊り荷重3t以上。スタッカー式においては1トン以上。)
4)移動式クレーン(吊り荷重3t以上。)
5)デリック(吊り荷重2トン以上)
6)エレベーター(積載荷重1トン以上)
7)建設用リフト(積載荷重0.25トン以上。ガイドレール18m以上)
8)ゴンドラ


ボイラーのうち、小型ボイラー等は除外されます。
第一種圧力容器も小型圧力容器や第二種圧力容器は除外されます。
その他は、性能等が一定以上のものが対象になります。

特定機械の要件に満たない機械は、検査等がフリーかというと、当然そんなことはありません。
「厚生労働大臣が定める規格」や「安全装置を具備すべき機械」として管理されます。

これはまた別の機会に。

さて、この特定機械は製造許可を得たら、簡単に製造してもよいかというと、そうではありません。
プロセスごとに、検査を受けなければなりません。

この検査については、安衛法第38条に規定されています。

(製造時等検査等)
第38条
特定機械等を製造し、若しくは輸入した者、特定機械等で
厚生労働省令で定める期間設置されなかったものを設置しようと
する者又は特定機械等で使用を廃止したものを再び設置し、
若しくは使用しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、
当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、
当該特定機械等が、特別特定機械等(特定機械等のうち厚生労働省令で
定めるものをいう。以下同じ。)以外のものであるときは
都道府県労働局長の、特別特定機械等であるときは厚生労働大臣の
登録を受けた者(以下「登録製造時等検査機関」という。)の
検査を受けなければならない。
ただし、輸入された特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項
(次項において「輸入時等検査対象機械等」という。)について
当該特定機械等を外国において製造した者が次項の規定による検査を
受けた場合は、この限りでない。

2 前項に定めるもののほか、次に掲げる場合には、外国において
  特定機械等を製造した者は、厚生労働省令で定めるところにより、
  輸入時等検査対象機械等について、自ら、当該特定機械等が、
  特別特定機械等以外のものであるときは都道府県労働局長の、
  特別特定機械等であるときは登録製造時等検査機関の検査を
  受けることができる。

  1)当該特定機械等を本邦に輸出しようとするとき。

  2)当該特定機械等を輸入した者が当該特定機械等を外国において
   製造した者以外の者(以下この号において単に「他の者」という。)
   である場合において、当該製造した者が当該他の者について前項の
   検査が行われることを希望しないとき。

3 特定機械等(移動式のものを除く。)を設置した者、特定機械等の
  厚生労働省令で定める部分に変更を加えた者又は特定機械等で
  使用を休止したものを再び使用しようとする者は、厚生労働省令で
  定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で
  定める事項について、労働基準監督署長の検査を受けなければならない。

検査はおおまかに分けて、2つに区分できます。

まず第1項の検査。
これは、主に製造や海外で製造されたものを輸入した場合の検査です。
目的は、機械そのものが基準に適しているかどうかの検査です。


次は第3項の検査。
こちらは、設置後の検査です。
目的は、適切に機械が使用されるかの検査です。


第2項は、海外から特定機械を輸入しようとする場合についての補足事項です。
特定機械を輸入して、日本国内で使用する場合は、検査を受けなければならないということです。
これは検査の内、「使用検査」というものを受けます。

この条文に含まれていませんが、性能検査というものを定期的に受けなければなりませんので、補足しておきます。

さて、一覧表にまとめると次のとおりです。

対象機械等 第1項規定の検査(製造時検査)
構造検査 溶接検査 製造検査 使用検査
ボイラー
第一種圧力容器
クレーン
移動式クレーン
デリック
エレベーター
建設用リフト
ゴンドラ
都道府県労働局長又は登録製造時等検査機関による検査

 

対象機械等 第3項規定の検査(使用検査) その他
落成検査 変更検査 使用再開
検査
性能検査
ボイラー
第一種圧力容器
クレーン
移動式クレーン
デリック
エレベーター
建設用リフト
ゴンドラ
所轄労働基準監督署長または検査代行機関による検査

第1項の製造に関わる検査と、第3項の使用に関わる検査をまとめました。

各検査の詳細については、また改めますが、非常に多いというのは分かりますよね。

特にボイラーや第一種圧力容器については、製造から使用、廃止に至るまで、折々で検査を受けなければなりません。

一方クレーンやデリックは、製造に関わる検査はありません。
落成検査、つまり設置した時の検査以降は、こまめに検査を受けることになります。

ボイラーとクレーンの違いは、工場で製作される製品か、そうでないかということにあるようです。
ボイラーの本体はメーカー等の工場で製作してから輸送し、実際に使用する工場に設置されます。
つまり製造と設置が別の場所なのです。

一方、クレーンは現場組立です。設置する場所で部品を組み立てて、作り上げます。
つまり製造=設置になるわけです。

この違いが検査項目の違いになっていると言えますね。

移動式クレーンは、メーカーの工場で製造しますので、製造検査を受けます。
しかし、クレーンなどのように一箇所に固定されるわけではありません。
使用する場所は、まちまちです。
そのため設置時の検査である、落成検査は行わないわけです。

検査実施機関も、製造と使用では異なるもの注意ですね。
製造に関わるものは、都道府県労働局です。
使用に関わるものは、所轄労働基準監督署です。

この違いも、管轄範囲の違いと言えますね。
メーカーの工場で作っているだけでは、場所が特定されるわけではありません。
製造している県と、使用する県は違うことがほとんどでしょう。
それを所轄の労働基準監督署が管理せよとなると、とてもじゃないですが無理です。
誰が使用するか未定で、より幅広く管理する必要があるので、都道府県が管轄ということです。

しかし、使用する会社がはっきりすると、その会社がどの労働基準監督署の管内か分かります。
会社の管理ですので、労働基準監督署が管理するということです。

こんなふうに整理すると、検査が多いのは多いですが、理にはかなっているといえます。

これらの検査に合格すると、検査証が発行されます。
検査証のない特定機械の使用、譲渡等はできません。
また検査証には有効期間があり、この有効期間を過ぎては使えません。
有効期間の延期には、性能検査を受ける必要があります。


この検査証ですが、機械を使用しなくなったら不要になりますね。
またしばらく使わなくなるというケースもあります。

このような場合は、労働基準監督署等に廃止または休止の届出を行わなければなりません。

しかし、急に受注が増えてラインを増加するにあたって、現状の設備では足りない。
そうだ、廃止したものを復活させればいいじゃないか!
ということもありますよね。

そのような廃止したもののまた使いたい。休止してたものを使いたいという場合も、検査が必要です。

廃止したものを、再度使用する場合は、使用検査を受けます。
休止していたものを、再度使用する場合は、使用再開検査を受けます。


廃止と休止で、受ける検査は異なるので、注意が必要です。

ちなみに、廃止していたものを、違う工場に移設して使いたい場合は、どうなるでしょうか?

この場合は、使用検査と落成検査を受けなければなりません。
設置する場所の移動は、落成検査が必要になるわけです。

検査体系は、少々複雑ですね。

ここまで徹底的に、検査検査となるのは、当然のことながら事故を防ぐためです。
単純に事故が多いというのもありますが、事故が起こった場合の、被害が甚大になるというのも理由の1つでしょう。

もしボイラーが爆発すると、被害範囲は大きくなりますよね。
もし10トンの重さのものが、地上30mから落下してきたら、どうなるでしょうか。

特的機械の全ては、こういったリスクを抱えているのです。

慎重な検査とともに、慎重な使用が必要です。

同時に、これらを扱う人たちの高い技能があってこそ、維持される安全だとも言えます。

危険な機械を事故を起こさず使う、技能スペシャリストは、とても責任感を持った、かっこいい人達なのだと思います。

まとめ。
【安衛法】

第37条
特に危険がある機械の内、別表1にある機械は、製造に際してあらかじめ都道府県労働局の許可を受けなければならない。
第38条
特定機械の製造や輸入、使用にあたっては、都道府県労働局、登録製造時等検査機関、所轄労働基準監督署等の検査を受けなければならない。

【安衛令】

第12条
特定機械ごとの性能や大きさによる分類。

 

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