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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

移動式クレーンの変更・休止・廃止

      2015/11/24

entry-66
移動式クレーン等の特定機械は、様々な検査を経て、使用できるようになります。
しかし機械はいつまでも使えるわけでは、ありませんよね。
機械が古くなったりして、使わなくなることもありますし、仕事に合わせて改造することもありますよね。

特定機械を扱う限り、検査や各種報告が必ず行わなくてはなりませんが、今回は使用者に関する事柄についてまとめたいと思います。

移動式クレーンを使用するまでには、製造検査と使用検査を受けて、検査証を受けなければなりません。
そして使い続ける限り、2年(場合によっては2年を超え、3年未満)ごとに、性能検査を受け、検査証の有効期間の延長を行わなければなりません。


使用 → 性能検査 使用 → 性能検査

このサイクルは、3トン以上の移動式クレーンを使用する限り、いつまでも続きます。

では、もう使わなくなった時はどうするのか?
もう廃棄してしまうこともありますし、数年間は使わないということもあります。
また、仕事上、どうしても改造や変更して使いたいところも出てくると思います。

これらについては、それぞれで届出を出し、必要に応じて検査があります。
使用上のことなので、これらは使用する事業者の義務として行わなければなりません。

では、1つずつ見て行きたいと思います。
まず最初は、変更について。

製品として購入した移動式クレーンは、標準装備です。
ほとんどの場合は、何も手を加える必要もなく、使用するケースでしょう。

しかし、中には特殊な用途に用いたりして、どうしても、そのままでは使いづらいというのもあります。

例えば、クレーンワイヤーの先には、通常フックがあり、物が引っ掛けられる吊具がついています。
これをフックではなく、マジックハンドのように物を掴むものに取り替えたいという要望がある仕事があるかもしれません。

またジブ、つまり伸縮するアーム部をより太くガッチリさせたいということもあるかもしれません。

検査証は、当初検査を受けた性能や構造で、合否判定を行っています。
そのため、勝手に改造するのは、違反になるのです。

検査とは、都道府県労働局長や労働基準監督署長と、この性能や構造、条件で使用しますという約束、もっと固い表現だと一種の契約であると言えます。

契約内容を、一方的に破ったら問題ですよね。

特定機械の勝手な改造も、同じと言えます。
しかも、その改造によって脆弱な部分が発生し、事故にでもなれば、そのツケを払うのは使用者自身だったりします。
特定機械にかかる制限は非常に強いのです。

変更や改造を行う場合は、変更届を提出しなければなりません。

クレーン則の第85条から第88条までは変更についての規定です。

【クレーン則】

第5節 変更、休止、廃止等

(変更届)
第85条
設置されている移動式クレーンについて、次の各号の
いずれかに掲げる部分を変更しようとする事業者が、
法第88条第1項 の規定による届出をしようとするときは、
移動式クレーン変更届(様式第12号)に移動式クレーン検査証
及び変更しようとする部分(第5号に掲げるものを除く。)の
図面を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

  1)ジブその他の構造部分

  2)原動機

  3)ブレーキ

  4)つり上げ機構

  5)ワイヤロープ又はつりチェーン

  6)フック、グラブバケット等のつり具

  7)台車

2 第5条第2項の規定は、前項の規定による届出をする場合に
  ついて準用する。この場合において、同条第2項中
  「クレーン」とあるのは、「移動式クレーン」と
   読み替えるものとする。

3  事業者(法第88条第1項 本文の事業者を除く。)は、
  移動式クレーンについて、第1項各号のいずれかに掲げる部分を
  変更しようとするときは、同条第2項 において準用する
  同条第1項 の規定により、移動式クレーン変更届(様式第12号)に
  第1項の検査証及び図面を添えて、所轄労働基準監督署長に
  提出しなければならない。
(変更検査)
第86条
前条第1項第1号又は第7号に該当する部分に変更を加えた者は、
法第38条第3項 の規定により、当該移動式クレーンについて、
所轄労働基準監督署長の検査を受けなければならない。
ただし、所轄労働基準監督署長が当該検査の必要がないと認めた
移動式クレーンについては、この限りでない。

2 第55条第2項から第4項までの規定は、前項の規定による検査
  (以下この節において「変更検査」という。)について準用する。

3 変更検査を受けようとする者は、移動式クレーン変更検査申請書
  (様式第13号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
  この場合において、認定を受けたことにより前条第1項又は第3項の
  届出をしていないときは、同条第1項の検査証及び図面その他
  変更検査に必要な書面を添付するものとする。
(変更検査を受ける場合の措置)
第87条
第56条の規定は、変更検査を受ける場合について準用する。
この場合において同条第2項中「所轄都道府県労働局長」とあるのは、
「所轄労働基準監督署長」と読み替えるものとする。
(検査証の裏書)
第88条
所轄労働基準監督署長は、変更検査に合格した移動式クレーン
又は第86条第1項ただし書の移動式クレーンについて、
当該移動式クレーン検査証に検査期日、変更部分
及び検査結果について裏書を行なうものとする。


変更を行う場合は、変更届を労働基準監督署長に提出しなければなりません。

しかし、ボディの色を変える、内装を変えるなどの変更まで届出なければならないかというと、そんなことはありません。

それは別にいいです。いつでもOKです。

問題は、機械の機能や構造に関する変更を行う場合です。
第1項の各号にあるもので変更する場合は、届出を行います。

変更届は、所定の書式「変更届」(様式第13号)に、変更箇所が分かる図面などを添付して、提出します。

各書式については、こちらを参考にして下さい。
クレーン等安全規則関係

多くの部分の変更については、届出を出すだけ済みます。
しかし一部については、変更検査を受ける必要があります。

変更検査を受けるのは、「第1項第1号又は第7号」とあります。
これは、「ジブその他の構造部分」と「台車」ですね。
ジブを物を吊る部分で、台車は本体部分です。どちらも移動式クレーンの根幹をなす重要な部分なので、この2箇所は変更検査を受けるわけですね。

さて、変更検査に合格すると、検査証が更新されます。
しかし新たに発行されるわけではありません。検査証の裏書というものがなされます。

この裏書きがあって、初めて変更した移動式クレーンを使うわけができるわけです。
次回からの性能検査は、変更した内容を加味しての検査になっていきます。

性能検査でも触れたので、特に第87条は取り上げませんが、製造検査と同様に、必要あらば一部のボルトを外したり、外装を剥がしたりとしっかり検査しますということです。
これは、これ以降書く、使用再開検査等でも同様です。

移動式クレーンの検査証の有効期限は、多くの場合2年です。
使用を延期するためには、性能検査を受けます。

しかし、仕事内容が変わり、しばらくクレーンを使わないということもあるかもしれません。
その期間が検査証の有効期間を超えることもあると思います。

機械の使用を行わず、有効期間の延長も行わないことを、「休止」といいます。
つまり、将来使うかもしれないけど、しばらくは使うのを止めている状態のことです。

特定機械は、休止する場合も報告しなければなりません。
また休止から開けて、また特定機械を使う場合には、検査が必要になります。

このことは、クレーン則第89条から第92条に規定されています。

(休止の報告)
第89条
移動式クレーンを設置している者が移動式クレーンの使用を
休止しようとする場合において、その休止しようとする期間が
移動式クレーン検査証の有効期間を経過した後にわたるときは、
当該移動式クレーン検査証の有効期間中にその旨を
所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
ただし、認定を受けた事業者については、この限りでない。
(使用再開検査)
第90条
使用を休止した移動式クレーンを再び使用しようとする者は、
法第38条第3項 の規定により、当該移動式クレーンについて、
所轄労働基準監督署長の検査を受けなければならない。

2 第55条第2項から第4項までの規定は、前項の規定による検査
  (以下この節において「使用再開検査」という。)に
  ついて準用する。

3 使用再開検査を受けようとする者は、
  移動式クレーン使用再開検査申請書(様式第14号)を
  所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
(使用再開検査を受ける場合の措置)
第91条
第56条の規定は、使用再開検査を受ける場合について準用する。
この場合において、同条第2項中「所轄都道府県労働局長」とあるのは、
「所轄労働基準監督署長」と読み替えるものとする。
(検査証の裏書)
第92条
所轄労働基準監督署長は、使用再開検査に合格した
移動式クレーンについて、当該移動式クレーン検査証に
検査期日及び検査結果について裏書を行なうものとする。


休止する期間が、有効危険を超える場合、所轄労働基準監督署長に報告しなければなりません。
この報告は、有効期間内に行わなければならないので注意が必要です。


この報告を行わずに、有効期間を超えてしまうと、使用を再開しようとした時などに影響するかもしれません。
忘れずに報告しましょう。

さて、休止していた機械を、再度使用しようとする場合は、また検査を受けなければなりません。
この検査は「使用再開検査」といいます。

「使用検査」と混同しそうですが、目的が異なる検査です。

ちなみに「使用検査」は、廃止した機械を、再度使用する場合に受けます。

休止 → 使用再開検査
廃止 → 使用検査


ややこしいですが、別物なんですね。

使用再開検査も、性能検査や変更検査と同様に、所定の様式に記入し、必要な添付書類とともに申請します。
申請後、労働基準監督署長の検査を受けることになるわけです。

検査に合格すると、労働基準監督署は検査証の裏書を行います。
変更検査と同じですね。
この裏書付きの検査証をもって、晴れて使用ができるようになるわけです。

休止は、将来使うかもしれないという可能性を残しつつ、しばらく使用停止することです。
一方で、もう完全に使いませんということもありますね。
この完全に使用しませんということを「廃止」といいます。

廃止する場合は、届出ではありません。
検査証を返還するという手続きを行います。


検査証の変換は、第93条に規定されています。

(検査証の返還)
第93条
移動式クレーンを設置している者が当該移動式クレーンについて、
その使用を廃止したとき、又はつり上げ荷重を3トン未満に
変更したときは、その者は、遅滞なく、移動式クレーン検査証を
所轄労働基準監督署長に返還しなければならない。


移動式クレーンを廃止する場合は、労働基準監督署長に検査証を返還します。
当然ですが、検査証のない特定機械は以後使用できません。

もう1つ検査証を返還する場合がありますね。
それは、特定機械ではなくなった場合です。
特定機械としての移動式クレーンは、吊り上げ荷重が3トンのものをです。
逆に言うと3トン未満のものは、特定機械としての要件を満たさないので、あれこれの検査が不要になるということです。

変更して、吊り上げ荷重を3トン未満とした場合、その移動式クレーンは特定機械ではなくなります。
そのため、検査証は返還しなければならないのです。

ただし、ジブ等の変更になるので、変更検査は受けないといけませんけどね。
その後は性能検査を受ける必要はありません。

1つ注意点がありますが、特定機械ではなくなったから、規制フリーとはなりません。
特定機械でなくなった移動式クレーンは、「厚生労働大臣が定める規格」や「安全装置を具備すべき機械」の要件を満たさないといけません。
また、定期自主検査も行う必要があります。

特定機械としての移動式クレーンを使用する場合は、何を行うにしても届出と検査が必要になります。
事業者にとっては、これらの維持管理は費用もかかるし、使いたいときに使えないし、何かと負担はあるものです。

しかし、これらの検査をクリアして、ようやく使用に耐える状態になるのですから、怠れないのもわかりますね。
大きな機械を所有し、使用する場合は、それに応じた責任があるのです。

機械の大きさは、責任の大きさとも言えますね。

まとめ。
【クレーン則】

第85条
設置されている移動式クレーンについて、変更を行う場合は、所轄労働基準監督署長に変更届を出さなければならない。
第86条
ジブや台車の変更を加えた移動式クレーンについて、所轄労働基準監督署長の変更検査を受けなければならない。
第87条
変更検査は製造検査の内容を準用する。
第88条
所轄労働基準監督署長は、変更検査に合格した移動式クレーンの検査証に検査期日、変更部分 及び検査結果について裏書を行う。
第89
移動式クレーンの使用を休止しようとする場合において、その休止しようとする期間が有効期間をすぎる場合は、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
第90条
使用を休止した移動式クレーンを再び使用しようとする者は、所轄労働基準監督署長の使用再開検査を受けなければならない。
第91条
使用再開検査は製造検査の内容を準用する。
(検査証の裏書)
第92条
所轄労働基準監督署長は、使用再開検査に合格した移動式クレーンについて、当該移動式クレーン検査証に検査期日及び検査結果について裏書を行なう。
第93条
当該移動式クレーンの使用を廃止したとき、又はつり上げ荷重を3トン未満に変更したときは、移動式クレーン検査証を所轄労働基準監督署長に返還しなければならない。
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