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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ 」 災害事例を活かすとは

      2016/05/29

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仕事を行っていると、事故というものは決して切り離せません。
全く残念ながらなのですけれども、事故がゼロになることはありません。

しかし長い目で見ると、事故の件数は減ってきているはず。
単純に死傷者数だけで見ると、この30年で約5分の1まで減ってきています。
ここ数年は人数はやや下げ止まり感はあるものの、法的や設備、作業方法などの改善が効果を発揮しているようです。

実際に自分自身が事故にあったという人はそう多くありません。
多くの作業者の人にとって、大きな事故はそう身近なものではありません。一度も大怪我や命の危険にあうような事故に遭遇しないでしょう。

事故の件数は減ってきています。多くの人にとっては事故は身近ではないかもしれません。
しかし命を落としてしまうような事故は依然としてあります。そして毎年約1000人の作業者が命を落としています。

先日も神戸で橋桁が落下する事故があったのは記憶に新しいと思います。
大きな事故なので、ニュースでも報道されています。
しかし当事者や関係者などでないと、やはり身近なものではないでしょう。

事故の経験の少なさは、自信と油断を生みます。
危険な作業を方法をしていて、改めるように伝えても、「こんなやり方をしていても、今まで大きな事故にあったことがない」と言われてしまうことも、何度かあります。

事故の経験がないことは、今後も事故にあわないことを保証してくれるでしょうか?
答えはNOですよね。

事故にあった人は全員こう考えているはずです。
「俺は事故にあうはずはない。」

事故にを起こしてやろう、怪我をしてやろうと考えして仕事する人はいないはずです。
結構危険なこともやっていたとしても、誰も事故にあう日が来るなんて想像もしなかったはずです。

しかし自信と想像を超えて、事故は起こります。
自分の経験で「これくらいならば、事故にならない」と思っているのに、事故になったりもします。

経験は重要です。しかし事故を起こさないという保障にはなりません。
そして残念ながら、自分の経験だけでは、事故防止対策や知恵を得ることはできないのです。

自分の経験だけでは、対応できる事故対策に限りがあります。
自分だけの経験以上のアイデアを得るには、他人の知恵も借りる必要があります。

鉄血宰相ビスマルクの言葉にこのようなものがあります。

「愚者だけが自分の経験から学ぶと信じている。私はむしろ、最初から自分の誤りを避けるため、他人の経験から学ぶのを好む。」

本来はこういった言葉だったのですが、形を変えて
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ 」
という表現になっていたりします。

自分だけの経験、世界は狭いものです、
しかし他人の知恵も合わせれば、大きな知恵を生み出すのです。

他人な知恵とは、同僚や親しい他社からの経験にもなりるのですが、もっと簡単に得られる知恵があります。
それは事故事例です。

このブログでも事故事例を毎週のように紹介していますが、事故事例は「他人の経験」です。しかもそれは失敗の経験です。この失敗から原因と対策を学ぶことが、次に起こるかもしれない事故防止になるのです。

index_arrow事故事例を学ぶ

労働新聞社 の「安全スタッフ」(2016年3月15日 2254号)の特集に「要注カードで確信ズバリ」という記事がありました。

これは、同種の作業、工事で起こった事故事例から、特に注意しなければならないポイントを「要注カード」として紹介し、作業者に見せるものです。
いわば危険ポイントの見える化です。

実は事故が起こるのは共通するパターンがあります。
足場で手すりを外していたため落ちる、クレーンの玉掛けを無資格者にしていため落下したなどです。

それほど多くのパターンがあるわけではありません。事故パターンは限られています。
そして自分の事業場で当てはまるものも少なくありません。
事故事例を事例としてだけ見るのでなく、この事業場で共通するかということはないかを考えるのです。

事業場での事故防止対策としては、リスクアセスメントがあります。
リスクアセスメントでは、まずどんな危険があるのかを探していくことがスタートになります。
事故事例は、危険源探しに役立ちます。

また事故の原因、調査結果などか分かれば、どのような対策をすればよいのかというヒントにもなります。

これこそ他人の事故経験を活かすことになるのです。

事故事例を使ってのリスクアセスメントなどは安全教育訓練の際に行うのがよいでしょう。
自分たちで決めた対策は、実行されやすくなります。何よりこれだけで1時間は使えます。

その他にも「要注カード」ではないですが、事故事例を印刷し休憩所に置いておくと読まれる可能性は高くなります。
じっくり読んでほしいものは掲示より、休憩所の目につく場所に置いておくのが効果的です。

事故事例を現場の安全に活用しましょう。
そこには防げなかった事故の結果がありますが、私たちはその結果から学ぶことが出来ます。

自分の経験だけでは想定できることにも限りがあります。
類似の事故を防ぐために、他人の経験、歴史を学ぶことは大切なことといえます。

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