保楠田、転がる石にひらり、ひらりする

こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
 | 第92話「保楠田、転がる石にひらり、ひらりする」 |
猫井川は図面作成と作業計画の作成でうんうん頭を悩ませていましたが、ようやく一段落がつきました。 いったん提出してほっとしたのも束の間、数日後には修正指示が来たのでした。
修正指示を見ると、そこには結構な量の修正指示が。 多くは誤字の修正や、補足説明を加えるなどで台頭できそうでしたが、一部、どうしても現場を再調査が必要な場所もありました。
そこで犬尾沢に相談してみました。
「修正が帰って来て、ここもきちんと図示しろと言われたんですけど、 この部分どうしましょうか?」
猫井川は図面を示しながら言いました。
「どこの部分だ?」
犬尾沢は、示された図面をまじまじと見ながら、聞きました。
「ここはこの前現地調査した時に、草が多くて測れなかった場所なんですよ。 現場はいる時に草刈りして、測ろうかなと思って、とりあえず描いたんですけども。」
「そうか。あの時はまだ現場に入るわけにもいかなかったからな。 でも、そういう指示があるならば草刈りをしてもいいかを聞いて、調査するしかないんじゃないか。」
「そうですよね。連絡してみます。 今週は鼠川さんが休みみたいなんですけど、誰か一緒に行けそうですか?」
鼠川は先日の軽度の熱中症今週は、体調不良のため休みをとっているのでした。
「そうだな。体が開くのは保楠田さんかな。 今日は現場行ってるけど、保楠田さんが行けそうなら聞いてみろ。」
「分かりました。保楠田さんに、聞いてみます。」
「先に草刈りに入っていいかを確認してからな。 他の修正は大丈夫か?」
「ええ、調べるものはありますけど、大丈夫です。」
「そうか。任せた。」
こうして猫井川は、野虎に草刈りについて確認すると、入ってもよいとの許可をもらい、保楠田も行けるとの事だったので、再度現地に行くことにしました。
現場に到着すると、近くに建った現場事務所へ挨拶し、現地調査に入りました。
今回は草が生い茂っている場所の測量です。草は前回来た時よりも鬱蒼としています。
「ここなんですけど。刈っていきましょうか。」
猫井川は、保楠田に言いました。
「そうだね。結構広い範囲だね。」
「そうですね。この前来た時よりひどいことになっています。」
2人は草刈機を持つと、フェイスガード着け、エンジンを掛けました。
ウォーン、ウォーンとうなり上げる草刈機で、生い茂る草地に入って行きました。
バリバリと草を刈っていきます。しかし範囲が広く、草が密集しているので、なかなか進みません。 しかも斜面になっているので、足元も安定しません。
その日は晴れて、気温も高くなっていました。 それなりに重装備している2人は、こまめに休憩をとったのでした。
「それにしても、暑いね。」
ペットボトルの麦茶を飲みながら、保楠田が言います。
「そうですね。ここは日当たりだけはいいので、きついです。」
猫井川も水筒のお茶を飲みながら答えます。
「やっと半分くらいだけど、ここから斜面がきつくなるから、気をつけないと。」
保楠田は残りの草を見ながら言いました。
「そうですね。草に覆われていたら全然見えませんでしたけど、斜面きついですね。」
しばらく休憩をとると、作業を再開し、斜面に突入です。
保楠田は体を斜めにしながら、草を刈っていました。 すると、パラパラと小石が落ちてきます。
なんだろうと上を見ると、斜面の上で猫井川が狩っています。どうやら、猫井川が草を刈った時に、小石が落ちているようです。
まあ、いいかと思い作業を再開すると、また小石が落ちています。 流石に注意をしようと顔を上げたときでした。
今度は拳ほどの石が落ちてきたのでした。 猫井川が斜面を歩いた時に、落としたようです。
カラカラと勢いよく落ちてくる小石。 保楠田は、草刈機のエンジンを切り、とっさに避けたのでした。
石を避けてから、再び顔を上げ、口を開けた時でした。 もう1つ大きめの石が落ちていたのでした。
今回は猫井川も気づき、声を上げます。 保楠田はヒラっと体をかわすと、石は体の側を通り、落ちていきました。
「人が真下にいるところで、作業してたら危ないよ!」
いつになく厳しい注意です。
「すみません。保楠田さんの位置見えてませんでした。」
しょんぼりと謝る猫井川は、場所を変えた草刈りをしていくのでした。
保楠田は、猫井川が離れたのを見て、再度草刈りを始めました。
ほんの少し、気まずい雰囲気になりましたが、長い付き合いの2人です。次の休憩の時は、その気まずさは刈り払われているのでした。 |
 | ヒヤリ・ハットの補足と解説 |
今回は保楠田のヒヤリ・ハットです。猫井川の仕事は、まだ本格的ではありませんが、少しずつ進んでいるようです。
ということで、現地調査の続きですね。
現地調査で、草刈りが必要になったのでした。
斜面の上部で草刈りしていた猫井川が石を落とし、保楠田に当たりそうになったのでした。
高所に関わる場所では、上下作業は行わないようにしなければなりません。
斜面でも、上下作業は注意が必要なのです。
それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。
ヒヤリハット | 斜面の上下で作業していたら、石が落ちてきた。 |
対策 | 1.上下作業は行わない。 2.作業場は、お互いを作業位置を確認する。 |
上下作業などは、下にいる人を危険を招くようなことはしなければなりません。
斜面でも下に落石の恐れがある場所では、人がいないことを確認しなければなりません。
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○ショートストーリー”猫井川ニャンのHH白書” ヒヤリ・ハット, 飛来・落下, 草刈り